2019年05月14日

乳酸菌のラクトバチルスは急性胃腸炎に効果なし?

乳酸菌のラクトバチルスは急性胃腸炎に効果なし?
 
Lack of Efficacy of Lactobacillus reuteri DSM 17938
for the Treatment of Acute Gastroenteritis



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 ポーランドからの報告です。
残念ながら、乳酸菌のラクトバチルスは、5歳以下の乳幼児の急性胃腸炎には効果が無いとの結果
でした。


1) 5歳以下の急性胃腸炎の乳幼児91名に、Lactobacillus reuteriとプラセーボを5日間服用して
   比較しています。
   主要転帰は下痢の回復までの期間です。2次転帰は点滴治療の必要性と入院期間です。

2) 本当に残念ながら、主要転帰と2次転帰共に差は無く、効果なしとの結果でした。





私見)
 Journal Watchのコメントでは、理論と実際(science)は異なるとしています。
 乳酸菌製品を続けるかは、親の財布次第と揶揄的な結論をだしています。
 以前の雑誌NEJMからの私のブログもご参照ください。 (ラクトバチルス で検索)
 軽症の急性胃腸炎の患児には、補水(アクアライト、又はリンゴジュース)が主体です。
 徐々に経口摂取を勧めるに当たり、乳酸菌製品もその中の一つと理論的に考えられます。
 お前は理論と実際を使い分けるのか、との批判的な声も聞こえそうです。
 ...そうなんです。





乳酸菌のラクトバチルスは急性胃腸炎に効果なし.docx











posted by 斎賀一 at 20:01| Comment(0) | 消化器・PPI

2019年05月13日

熱性けいれんと乳幼児の突然死;SUDC

熱性けいれんと乳幼児の突然死;SUDC
 
Potential Role of Febrile Seizures and Other Risk
Factors Associated With Sudden Deaths in Children



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 熱性けいれんと乳幼児突然死症候群の関係は、古くて新しい問題です。
今回雑誌JAMAに論文が掲載されていますので、紹介します。

 その前に用語の説明をします。
SIDS(乳幼児突然死症候群); 解剖所見、状況調査などあらゆる検討を行っても、説明不能な1歳未満の乳児の睡眠中における突然死。現在では睡眠との関係を重視して用いています。

SUID(予期せぬ乳幼児突然死); 1歳未満の突然死を包括した乳幼児期の予測不能な突然死のことで
SIDS及び原因が説明できる突然死も包括した用語です。

しかしSIDSとSUIDは混乱して用いられています。SUIDのUはunexpectedつまり予期せぬを意味する場合と、unexplainedつまり解剖をしても説明が出来ないを意味する場合と、unknownつまり分からないの意味する場合とで混乱しているようです。アメリカでは睡眠中の場合はSIDSとして、原因が不明の場合はSUIDと診断しているようです。

本論文を読む場合に更に注意が必要な点は、SUIDでなくてSUDCつまり1歳以上を対象にしている事
です。
Uunexplainedとして用いています。一方原因が説明できる場合はSEIDとしています。(原因としてはsuppleよりPDF化して下記に掲載しました。)

    1;Sudden unexplained death in childhood (SUDC)
    2;Sudden explained death in childhood (SEDC)
    3;Sudden Unexplained Infant Death (SUID)
    4;Sudden Infant Death Syndrome(SIDS)

結局、本論文は上の1と2に関しての記載です。
(これを理解するのに数日を要してしまいました。連休ボケのためにブログをサボっていたのではない事を職員の皆さん理解してください。)


 大変前置きが長くなりましたが、本論文を纏めてみました。

1) 一歳以下のSIDSは注目もされており、睡眠の対策もなされているが、一歳以上のSUDCはあまり
   検討されていない。それでも1歳から18歳のSUDCを調べると、その62.5%は1~4歳に発生して
   いる。
   本研究者より以前にSUDCの31%が熱性けいれんと関連しており、75%が発熱疾患を罹患して
   いたと報告しています。
   SUDCにおける熱性けいれんの危険率を調べるためにSEDCとの比較検討をしました。

2) 2001~2017年間で、1~17歳の622例のSUDCを調査しました。   
   その中で、1~6歳の391例が調査で対象に値しました。更に原因が判明したものはSEDCに組み
   込められました。
   対象の391例の中で熱性けいれんの既往歴は、26.6%(SUDCは28.8%で、SEDCは22.1%)、  
   一般的な熱性けいれんの発生頻度は2~5%です。
   明らかにSUDCの頻度は高率です。
   睡眠中に熱性けいれんで死亡する危険率を統計学的に処置すると、SUDCはSEDCに比べて4.6倍
   にもなります。
   これは、SUDCは癲癇の突然死にも匹敵する危険率となります。

3) 以前のデンマークの報告では熱性けいれんの突然死の危険は無いとしていましたが、最近ではその
   危険率は2倍ともしています。

4) SIDSとうつぶせ寝が問題視されていますが、SUDCもしばしば発見時にはうつ伏せでした。
   うつぶせ寝に対する啓蒙活動により、SIDSは最近では54%も減少していますがSUDCは漸増傾向
   です。アイルランドでは、最近の15年でSUDCは倍増しています。

5) 本研究でSUDCとSEDC共に、熱性けいれんが突然死の原因として関与している事が判明しました。
   SUDCとSEDCの違いは、単に明らかな睡眠中か否かの差でしかない様です。
   同胞の突然死の頻度は低い事より、熱性けいれんの啓蒙と両親における注意が対策として重要
   です。




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私見)
 熱性けいれんの20%は突発性発疹との報告もあります。(逆は真ではありませんが、突発性発疹の
 可能性がある時は、熱性けいれんに注意してもらっています。)
 熱性けいれんは多くが良性の経過です。
 過剰な心配は両親にとっても負担になります。
 しかし熱性けいれんは、突然死の一つのリスクとして医療従事者も捉えていたいと思います。






1 熱性けいれん 突然死.pdf

2 SUDC.pdf










posted by 斎賀一 at 20:32| Comment(1) | 小児科

2019年05月09日

フルニエ症候群(Fournier gangrene)とSGLT-2阻害薬?

フルニエ症候群(Fournier gangrene)とSGLT-2阻害薬?
 
Fournier Gangrene Associated With Sodium–Glucose
Cotransporter-2 Inhibitors: A Review of Spontaneous
Postmarketing Cases



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 壊疽性筋膜炎(Fournier gangrene)特に会陰部と糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬の関係に対する警告が、アメリカのFDAから出たとの報告が雑誌Annals of Internal Medicineに掲載されています。
内容はmedscapeにも載っていますので、それをまとめてみました。



1) FDAは以前、2013~2018年間で12例のFournier gangreneを報告しています。
   今回は更に55例を追加しての報告を、Annals of Internal Medicineに掲載しました。

2) 全ての患者が入院治療を必要としましたが、何れも診断に時間を要しています。
   全身症状に隠れて、会陰部疼痛が的確に診断されていないためです。
   一般症状としては、発熱、倦怠感、などの非特異的なものです。

3) SGLT-2阻害薬が発売になってからの6年間で55例が報告されているのに対して、他の糖尿病薬の
   歴史では35年間で19例の報告です。つまりFournier gangreneが、糖尿病だけが原因ならば
   35年間でもっと多くの報告があっていいはずだとしています。
   Fournier gangreneがSGLE-2阻害薬と深く関係している事を、臨床家は認識すべきだとして
   います。

4) Fournier gangreneの平均年齢は56歳、殆どが男性(39/55)で、SGLE-2阻害薬を服用して
   から発症までは、平均で9か月です。
   しかしその範囲は5日から49ヵ月と幅が広いです。
   病変は下肢にも及び、下肢切断まで至った例が2例ありました。3例が死亡転帰しています。
   初回の受診で診断が出来なかった例は6例もあったとの事です。





私見)
 極めて稀な症例報告ですが、診断に遅れる事があるようです。
 糖尿病患者さんで発熱の場合は、全身を診察する事が基本です。
 会陰部に関しては男性は私が、女性は看護師が気軽に視診する事としましょう。





Tsglt fournier-gangre.pdf

2Fournier Gangrene Alarm.pdf

3sglt.pdf

4NEJMより.pdf

5uptodateより.pdf

6SGLT2阻害薬一覧.pdf










posted by 斎賀一 at 15:11| Comment(2) | 糖尿病