2019年02月15日

降圧薬のオルメテックの消化器症状;稀ながら

降圧薬のオルメテックの消化器症状;稀ながら
 
Olmesartan Associated Enteropathy: A Rare Underdiagnosed
Cause of Diarrhea and Weight Loss



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 以前より降圧薬・ARBのオルメテックに、稀ながら下痢症状の副作用がある事が報告されていました。
病理的にはcollagenous colitisとして注目されています。
他の薬剤関係としては、胃酸分泌抑制剤のPPIや鎮痛薬などとの因果関係も指摘されています。
 今回、降圧薬のオルメテックに関する症例報告がありましたので、再度注意したいと思いブログに
しました。


1) 2012年のMayo Clinicからの報告が最初のようです。その後は症例報告も数例で、一般的には
   殆ど心配はないとの見解でした。

2) 症例は59歳、男性で3週間にわたる嘔吐、下痢症状が続き体重減少を伴って医療機関を受診して
   います。
   血液生化学検査では脱水の所見以外特に異常はなく、便培養でも細菌を証明できていません。
   大腸ファイバー検査でも特に所見を認めていませんが、病理検査においてlymphocytic colitis
   の報告がありました。 これはcollagenous colitisと同義です。
   胃カメラ検査でも、十二指腸に同様の病理変化を認めています。

3) オルメテックを休薬して直ぐに下痢症状は改善しています。

4) 文献的な検索では、オルメテックの服用後に症状が発現するには、数か月から5年と幅が広いので
   すが、平均では3年と意外に長い感じです。
   内視鏡所見は肉眼では明白でなく、病理で粘膜下のコラーゲン様物質の沈着、リンパ球浸潤、十二
   指腸の絨毛の平定化を認めています。
   原因は不明ですが、オルメテックによる粘膜のアポトーシスが関与しているものと推定しています。
   他のARBでも報告があるとの事です。

5) 治療は特になく、休薬が最良とのことです。







私見)
 オルメテックは優れた薬剤です。本院でも汎用しています。

 下記に書籍  「薬の比較と使いわけ」 : 羊土社  の一文を掲載します。


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 以前、ある循環器の教授にお聞きした時に、オルメテックが一番効果的なARBとご教授していただき
ました。オルメテックは他のARBと異なり、ダブルチャンネルが特徴との事もメーカから教えてもらって
います。その事とこのような事例が関係しているのでしょうか。
下痢が長引く場合は全てのARBをチェックする必要がありそうです。
 尚、以前の文献と雑誌 「胃と腸の特集号」 からの序論及び用語集を失礼いたしました。





1 オルメテック下痢.pdf

2 オルメテック胃腸炎.pdf

3 オルメテック.pdf

4 添付文書改訂:オルメサルタンの下痢.pdf

5 胃と腸 序論.pdf

6 胃と腸 collagenous colitis.pdf










posted by 斎賀一 at 21:53| Comment(0) | 循環器