心房細動ガイドライン 2019年版AHA
2019 AHA/ACC/HRS Focused Update of the 2014 AHA/ACC/HRS
Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation
Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation
アメリカの学会AHAから本年の心房細動のガイドラインが出ましたので、主にNOACを中心に纏めて
みました。
1) 脳梗塞のリスク評価のCHA2DS2-VAScスコアーで男性は2点、女性は3点以上で抗凝固薬が
適応となる。
(CHA2DS2-VAScスコアーに関しては下記のPDFを再度ご参照ください。女性だけで1点加算され
ます。)
男性が1点、女性が2点でも、NOACは脳梗塞を減少させるかもしれない。
2) ガイドラインは、NOACをワーファリンよりも推奨している。
3) ただし、僧帽弁狭窄症や機械弁ではワーファリンが勧奨されている。
4) NOACを開始する前に、腎機能と肝機能を評価しておくことが大事
5) ワーファリンのコントロールが不安定な場合は、NOACに変更を勧奨する。
但し、僧帽弁狭窄症や機械弁以外
6) 抗凝固薬の適応で腎機能低下の場合は(GFRが15以下か透析患者)、ワーファリンかエリキュース
を勧奨する。
7) エリキュースはクレアチニンが1.5以上、プラザキサはGFRが15~30、イグザレルトはGFRが
50以下、リクシアナはGFRが15~50の場合には用量を減ずる必要がある。
8) リクシアナはワーファリンに比べて、大出血の頻度が60mgでは2.8%対3.4%(危険率は0.80)、
30mgでは1.6%に減(危険率は0.47)
9) 生体弁置換術では少数例だが、エリキュースとリクシアナはワーファリンと同等の効果がある。
10) 心房細動の女性は、男性に比べて脳梗塞の危険が1.31倍である。
しかも75歳以上の場合にその頻度が最も高い。
最近の研究では、リスクが無い場合は男性と同等の危険率である。
65歳以上又は性別に関係なくリスクが2点以上の場合に、女性の性別の1点を追加するのは問題が
生じる事がある。
11) ワーファリンは、透析患者で脳梗塞と大出血の危険を減少すると言われていたが、最近の研究では
否定的見解もある。
腎機能低下(GFRが15以下か透析患者)では、ワーファリンかエリキュースを勧奨する。
透析はエリキュースのクリアランスに限定的な影響しか与えない。
12) 心房細動と急性冠症候群でのステント療法の合併の場合に、抗血栓薬の3者併用を行うが、その際
はエフィエントよりもプラビックスの方が有効である。
出血の危険がある場合は、プラビックスとワーファリンの2者併用の方が3者併用よりも安全である。
あるいはプラビックスと低用量のイグザレルト(15mg? 10mg)も選択肢とする。
3者併用を4~6週間かけて2者併用に変換も可能
13) 心房細動と急性冠症候群の合併症で頻脈が認められたら、ヘルベッサーかワソランを使用する
事も可能だが、その際に循環状態や心不全が重態でない事を確認する。
私見)
僧帽弁狭窄や機械弁以外では、全体的にみてワーファリンよりもNOACの方が優位の様です。
自分が興味のある点のみ記載しました。
また時間があれば読み直してみます。
尚、エフィエントに関しては下記のPDFに掲載します。
現在、本院ではエフィエントの処方は逆紹介の患者さんのみです。
【参考書籍】 : 薬の比較と使い分け 羊土社
1 心房細動ガイドライン.pdf
2 エフィエント書籍より.pdf
3 エフィエント.pdf
4 chadスコアー.pdf