小児のマイコプラズマ肺炎による入院の解析
Mycoplasma pneumoniae Among Children Hospitalized
With Community-acquired Pneumonia
With Community-acquired Pneumonia
マイコプラズマ感染症は一般の細菌性肺炎と比べても軽症で、自然に治癒する事も多いと軽んずる傾向
があります。
今回の論文では、マイコプラズマ肺炎へと進展し入院をした症例に限定して検討していますが、それ以外にも重症化はあり、警鐘を鳴らしています。
しかもマイコプラズマ症の臨床症状は、一般に考えられている以上に多岐に亘ります。
纏めてみますと
1) 2010~2012年の間にレントゲンで肺炎と診断され、入院した小児2,254人を対象にしています。
マイコプラズマ症(MP)の診断はPCR法を用いています。
182名(8%)がMPの診断でした。
平均年齢は7歳。その内12%が集中治療室に入院し、26%がレントゲンで胸水を認めています。
2) マクロライド系の薬剤抵抗性は4%に認められ、50例(28%)に他の細菌かウイルスの混合感染が
ありました。
個別に見ますと
3) 抗生剤の投与
入院前に抗生剤を投与していても、入院期間には影響がなかった。
この事から一般的なペニシリンやセファロスポリン系の抗生剤は、入院期間に関しては効果がない。
従来の報告と同様に、マクロライド+セファロスポリン系の投与も有効性に関しては疑問である。
4) 混合感染
マイコプラズマ肺炎の内178例で、他のウイルスと細菌の同定が出ています。
詳細は下記のPDFをご参照ください。
5歳以下のMPの場合に混合感染が多い傾向ですが、年齢が多くなるに従って一般的な肺炎に
比べて混合感染は少ない。
(下記のsuppleのPDFをご参照ください。)
ライノウィルス、RSウイルスの混合も多いようです。
5) マクロライド耐性
4%との報告ですが日本で考えられているよりも少ないようです。
しかし耐性の有無と転帰(入院後の予後)には関連性はありませんでした。
6) 結論として
・5歳以上の小児においてはMPが一番多い細菌性肺炎である。
・他の細菌性肺炎に比べて重症化は少ないと言われているが、10人中1人がICUに入院する。
・MP肺炎は症状だけでは他の肺炎やインフルエンザと鑑別が出来ない。
(聴診上はMPは所見がないと言われていますが、混合感染が意外に多い事も関係するのか
独自の要因なのかは分かりませんが、rale「呼吸音の異常」も認められています。)
つまり、PCR法などの診断テストが診断には必要となる。
・マクロライド耐性菌に関しては、今後の統計が必要である。
私見)
MP肺炎の症状と混合感染の詳細は、下記のPDFで説明します。
MP症に関する診断テストと抗生剤の適否に関しては、今後も充分に検討する必要がありそうです。
1 Mycoplasma pneumoniae Among Children Hospitalized.pdf
2 マイコプラズマ肺炎.pdf
3 マイコプラズマ supplementary_table_2.pdf