母乳育児にはビタミンDのサプリ
日経メディカルより、母乳育児の場合にビタミンDが不足し易いとの記事がでていました。
私なりにビタミンDについて予備知識として纏めてみました。
1) ビタミンDには、動物由来のビタミンD3と植物由来のビタミンD2があり、
更に、体内でコレステロール合成の際の代謝産物に紫外線が照射され、皮膚表面で
形成されたビタミンD3があります。つまり、供給源としては体外から摂取する
ビタミンD2とD3に体内で合成されるビタミンD3の3パターンがある事になります。
何れも合成の際には紫外線が関与しています。ビタミンD2とD3では生理活性は
ほぼ同じですが、D3の方が効力が強いとするデータもあります。
2) いずれのビタミンDも蛋白と結合して腎臓に運ばれます。血中カルシウム濃度が低い場合は、
副甲状腺ホルモンの刺激により活性型ビタミンDとなりますが、血中カルシウム濃度が
正常か、高い場合には非活性型ビタミンDとなります。この非活性型は生理活性がありません。
3) 活性型は小腸でのカルシウム吸収を促進、腎臓のカルシウム再吸収促進や、
さらに骨破壊細胞の作用を刺激して、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとします。
カルシウム濃度が一定になると、活性型は非活性型に代謝されます。
一見ビタミンDは骨を破壊する感じですが、カルシウムの吸収が勝るので、結果的には
骨のリモデリング(構造変化)を起こして骨を丈夫にします。
骨粗鬆症にビタミンDは有効ですし、乳幼児においてビタミンDが不足すると骨の脆弱性が増し、
クル病になります。米国小児学会(AAP)では、母乳栄養児には400単位/日を推奨しています。
尚、非活性型製剤は安価で高カルシウム血症のリスクが少なく、副甲状腺ホルモンを抑えるため、
外国では腎機能障害患者に処方されることが多いとの事です。
4) ビタミンD中毒は食欲低下、体重減少、多尿、不整脈などですが、臓器にカルシウム沈着を起こし
臓器障害を招きます。腎結石のリスクは17%増加するともいわれています。
一般的な量では心配ありません。
私見)
最近、乳幼児のための非活性型ビタミンD製剤が発売されています。
文献からビタミンD関連を纏めて下記のPDF化しましたので参照ください。
(最近のNEJMの論文によりますと、ビタミンDには心血管疾患や癌に対する予防効果はない
とする結果を報告しています。)
下記のアクセスで製品について調べてください。
https://www.181109.com/item/00555/
参考文献;
小児科 v49 n2 2008;北村和宏
小児科 v45 n3 2004;矢野公一
小児科 V56 No10 2015;山本和歌子
1 母乳育児.pdf
2 ビタミンD文献より.pdf
3 BabyD (ベビー ディー) _ 森下仁丹の通販 《公式》.pdf
4 活性型ビタミンD製剤など.pdf
5 ビタミンDの可能性その臨床的効果.pdf