2019年01月15日

母乳育児にはビタミンDのサプリ

母乳育児にはビタミンDのサプリ



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 日経メディカルより、母乳育児の場合にビタミンDが不足し易いとの記事がでていました。
私なりにビタミンDについて予備知識として纏めてみました。


 1) ビタミンDには、動物由来のビタミンD3と植物由来のビタミンD2があり、
    更に、体内でコレステロール合成の際の代謝産物に紫外線が照射され、皮膚表面で
    形成されたビタミンD3があります。つまり、供給源としては体外から摂取する
    ビタミンD2とD3に体内で合成されるビタミンD3の3パターンがある事になります。
    何れも合成の際には紫外線が関与しています。ビタミンD2とD3では生理活性は
    ほぼ同じですが、D3の方が効力が強いとするデータもあります。

 2) いずれのビタミンDも蛋白と結合して腎臓に運ばれます。血中カルシウム濃度が低い場合は、
    副甲状腺ホルモンの刺激により活性型ビタミンDとなりますが、血中カルシウム濃度が
    正常か、高い場合には非活性型ビタミンDとなります。この非活性型は生理活性がありません。

 3) 活性型は小腸でのカルシウム吸収を促進、腎臓のカルシウム再吸収促進や、
    さらに骨破壊細胞の作用を刺激して、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとします。
    カルシウム濃度が一定になると、活性型は非活性型に代謝されます。
    一見ビタミンDは骨を破壊する感じですが、カルシウムの吸収が勝るので、結果的には
    骨のリモデリング(構造変化)を起こして骨を丈夫にします。
    骨粗鬆症にビタミンDは有効ですし、乳幼児においてビタミンDが不足すると骨の脆弱性が増し、
    クル病になります。米国小児学会(AAP)では、母乳栄養児には400単位/日を推奨しています。
    尚、非活性型製剤は安価で高カルシウム血症のリスクが少なく、副甲状腺ホルモンを抑えるため、
    外国では腎機能障害患者に処方されることが多いとの事です。

 4) ビタミンD中毒は食欲低下、体重減少、多尿、不整脈などですが、臓器にカルシウム沈着を起こし
    臓器障害を招きます。腎結石のリスクは17%増加するともいわれています。
    一般的な量では心配ありません。



私見)
 最近、乳幼児のための非活性型ビタミンD製剤が発売されています。
 文献からビタミンD関連を纏めて下記のPDF化しましたので参照ください。
 (最近のNEJMの論文によりますと、ビタミンDには心血管疾患や癌に対する予防効果はない
とする結果を報告しています。)
 下記のアクセスで製品について調べてください。
  
 https://www.181109.com/item/00555/


 参考文献;

小児科 v49 n2 2008;北村和宏
   小児科 v45 n3 2004;矢野公一
   小児科 V56 No10 2015;山本和歌子



1 母乳育児.pdf

2 ビタミンD文献より.pdf

3 BabyD (ベビー ディー) _ 森下仁丹の通販 《公式》.pdf

4 活性型ビタミンD製剤など.pdf

5 ビタミンDの可能性その臨床的効果.pdf







posted by 斎賀一 at 21:54| Comment(1) | 小児科