2019年01月11日

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬は尿路感染症に無罪?

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬は尿路感染症に無罪?
 
Dose response of sodium glucose cotransporter-2
inhibitors in relation to urinary tract infections



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 糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬は、最近では糖尿病治療薬の第二選択肢に登り詰めようとしています。
効果も中等度にあり、体重減少、降圧作用、低血糖の頻度が低い、心血管疾患の予防効果、等良い面が
クローズアップされています。
しかし、近位尿細管でのグルコースの再吸収を抑制する機序から、尿細管のグルコース濃度が増加し
尿路感染症を誘発すると懸念されています。

 今回SGLT2阻害薬の副作用であるこの尿路感染症に対して、服用量との関係があるかを含めてメタ
解析した論文が載っていました。



1) 尿細管のグルコース濃度は、SGLT2阻害薬の用量と関連がある薬剤と、ほとんど関連性が無い
   薬剤もありマチマチであった。 (dose-response)

2) 以前の研究では最低24週の経過観察であったが、本来尿路感染症の発症は数週間で起きるので、
   短期の調査も必要である。

3) 本論文は105の論文をメタ解析しています。
   フォシーガのみが10mg以上の時に若干尿路感染症が増加していたが、その他の薬剤は統計学的
   処置によると、用量と尿路感染症の頻度とは殆ど関連性が無く、バイアスを考慮すると誘発はして
   いないと考えられる。
   例外として、フォシーガの高用量10mgはプラセーボと比較して、危険率は1.3と高めでした。
   逆にカナグルでは、低用量の時に危険率が1.23でした。
   また低用量のスーグラは高用量のカナグル、ジャディアンス、スーグラ、フォシーガと比較して
   リスクが低い傾向でした。

4) 薬剤用量と尿細管のグルコース濃度の用量依存性は、服用当初は認められるが、やがて横ばい
   となる。 (ceiling effect) 但し、フォシーガだけは用量依存性が継続する。
   尚、カナグルが低用量でリスクが高い点と、低用量のスーグラのリスクが低い点に関しては薬物動態
   からは説明できなく、今後の課題としています。





私見)
 SGLT2阻害薬が尿路感染症を誘発すると言う考えは、時代遅れとまで本論文では述べています。
 しかし、十分に注意する必要性は糖尿病という疾患から当然ですが、特に尿路感染症になり易い人に
 関してはフォシーガの高用量は避け、低用量のスーグラが推奨でしょうか。





sglt-2.pdf

SGLT2阻害薬一覧.pdf












posted by 斎賀一 at 21:38| Comment(0) | 糖尿病