2018年11月20日

感染性胃腸炎は炎症性腸疾患の原因?

感染性胃腸炎は炎症性腸疾患の原因?
 
Gastrointestinal Infection Increases Odds of Inflammatory
Bowel Disease in a Nationwide Case–Control Study



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 過敏性腸症候群(IBS)は、感染性胃腸炎が原因とのブログを以前に掲載しましたが、今回は炎症性腸疾患(IBD)との関係についての論文がありましたのでブログしました。


1) スウェーデンからの報告です。
   2002~2014年のIBD患者44,214名(潰瘍性大腸炎;26,450名、クローン病;13,387名)を登録
   しています。コントロール群として436,507名と比較しました。

2) 先行する感染性胃腸炎は、IBD群で7.0%に対してコントロール群では4.1%でした。
   感染性胃腸炎全体ではIBD群の危険率は1.67、細菌感染では2.02、寄生虫疾患では1.55、
   ウイルス性疾患では1.55でした。
   IBD確定診断に対して、先行感染の時期の1年、2年、3年を除外しても優位差は認められ、10年
   が経過してもその危険率は1.26でした。

3) IBDの診断確定以前に感染性胃腸炎の既往があると、その危険率は60%増加しています。
   寄生虫やウイルス性の感染性胃腸炎でも、危険率は50%の増加を認めています。
   特にサルモネラとクロストリディウムが一番関与している事が推定されました。
   他の予想されるリスク因子(遺伝、自己免疫疾患等)を補正しても、細菌性による感染性胃腸炎の
   リスクは2.0でした。

4) Jwatchの論評では「感染性胃腸炎が粘膜のバリヤーの変化をもたらして、その後のIBDの発症メカ
   ニズムを構築すると推測される。いわば芯に着火するようなものである。(match to the wick)」






私見)
 感染性胃腸炎は殆どが自然に治癒しますが、だからと言ってIBDやIBSとの関連も指摘されており、
 注意が必要です。







Gastrointestinal Infection Increases Odds of Inflammatory Bowel Disease in a.pdf












posted by 斎賀一 at 21:31| Comment(1) | 消化器・PPI

2018年11月19日

難治性の膀胱炎

難治性の膀胱炎
 
Poor clinical outcomes associated with community-onset
urinary tract infections due to extended-spectrum
cephalosporin-resistant Enterobacteriaceae



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 治療が長引いたり再発性の膀胱炎が時々ありますが、それに関しての研究論本が掲載されていました。


纏めてみますと

1) 腸内細菌による膀胱炎患者2,009人を対象に、887人を登録しました。
   更に広域セファロスポリン系の抗生剤に抵抗性の患者151人(exposed)を抽出し、それに対象
   として、広域セファロスポリン系に感受性の患者151人(unexposed)を抽出してコントロールと
   しました。
   (広域セファロスポリンとは、第二世代と第三世代です。本院で使用の薬剤では
    ○第一世代;ケフレックス、ケフラール、オラスポア、 ○第二世代;オラセフ、セフメタゾン、
    パンスポリン、 ○第三世代;バナン、フロモックス、メイアクト、セフゾン、ロセフィン注、
    セフトリア注  ※ 尚文献により若干異なります。)

2) 対象の平均年齢は56歳です。女性が79%で男性が21%でした。
   腸内細菌の原因菌としては、大腸菌が76%、 クレブシェーラが13%、エンテロバクターが9%です。

3) 一次転帰は臨床症状の改善です。
   ・発熱の持続 
   ・膀胱炎症状の継続 
   ・3日後の尿培養での腸内細菌が陽性 
   ・抗生剤の変更(感受性結果の報告による変更も含む)を不良転帰とします。  
    修正一次転帰は、膀胱炎症状の継続と尿培養の再検での陽性だけでも可
    除外として、菌血症と腎盂腎炎例は含まれていません。 

4) 結論的には
   ・セファロスポリンに耐性のある場合(exposed)と6か月前にセファロスポリンの服用の既往が
    ある場合(exposure)は、臨床症状の改善が不良でした。
     (本論文を読む場合にexposedとexposureを混同しないように注意)
   ・論者はそれだけでは十分に不良転帰を説明できないとしています。
   ・一般的なセファロスポリンの耐性が原因のβーラクタマーゼだけでなく、セファロスポリン耐性菌
    そのものが、膀胱炎にとって病原性が高いのではないか。
   ・症例は少ないが、エンテロバクターでは転帰が悪い。
   ・透析患者では免疫機能の低下が想定され再発が多い。
   ・逆に呼吸器疾患の患者では、感染症に対して広域抗生剤を使うというバイアスが掛かり、リスクが
    少なくなっている。

5) 検討として
   難治性膀胱炎は予後も悪い傾向です。初期治療には注意が必要ですが、更に3日後の尿培養での
   再検査も重要で、治療方針の再検討を心掛ける。




私見)
 初期治療での尿培養は欠かせませんが、本医院でも3日後の尿沈渣再検と尿培養を併せて、検討の
 余地がありそうです。 
 兎も角としまして、膀胱炎の患者さんは日頃から水分摂取(目標は1.5L)を心掛けてください。




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uti cephalosporin-resistant - コピー.pdf
















posted by 斎賀一 at 20:44| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2018年11月17日

本院におけるミルクチャレンジテスト

本院におけるミルクチャレンジテスト

業務連絡用



 以前のブログで、小児のミルクアレルギーに対しては焼き菓子か、加熱ミルクでの耐性獲得が有効
との論文を掲載しましたが、その後ミルクチャレンジを実施するにあたり、本院でもこの文献を参照に
変更する必要性がありました。
検討を重ね、熱心な職員の無償の奉仕により、下記のストラテジーを作成してもらいました。
今後、本院ではこれに則って耐性獲得を指導していきます。
下記のPDFを参照ください。


注意事項)
 一般的に食物アレルギーに対しては、早期の(6ヶ月以降、本院では10ヶ月に設定)介入が耐性獲得に
有効とのエビデンスが確立されていますが、牛乳に関しては、1歳以下での摂取は貧血を誘発するため
注意する事が知られています。
よって本ストラテジーを実施する場合は、1歳以降とします。
従来のストラテジーも下記にPDF化しました。



ミルクチャレンジテスト.pdf

牛乳アレルギーについて.pdf









posted by 斎賀一 at 16:44| Comment(1) | 小児科