心筋梗塞のステント治療後は2剤抗血小板薬を6カ月で良い?
Six months versus 12 months dual antiplatelet therapy after
drug-eluting stent implantation in ST-elevation myocardial
infarction (DAPT-STEMI):
drug-eluting stent implantation in ST-elevation myocardial
infarction (DAPT-STEMI):
最近では冠動脈ステントも進歩して、薬剤溶出性ステントも第二世代となっているようです。
それを踏まえての研究が、雑誌BMJに発表されました。
従来よりステント治療後は、特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、少量アスピリンを含めた
抗血小板薬の2剤併用(DAPT)を1年間服用する事が推奨されています。今回の論文では6カ月で
DAPTを中止し、その後は単剤(例えば少量アスピリンだけのSAPT)とする単剤群(SAPT群)と、
2剤併用を継続する群(DAPT群)とに振り分けて18か月間経過観察をしています。
纏めてみますと、
1) 18~85歳のSTEMI(一般的には貫壁性の心筋梗塞)で、第二世代のステント治療をし、
その後にDAPTをしていた患者を登録しています。
経皮的冠動脈形成術(PCI、つまりステント治療)後に6カ月間は安定している患者を抽出し、
約900名をその時点で引き続きDAPTをした群と、単剤に変更したSAPT群に一対一に
振り分けて18か月経過を見ています。
2) 主要転帰は死亡、心筋梗塞の再発、血管再建術、脳梗塞、血栓症、大出血
3) 結果は、6カ月のDAPT(つまりSAPT群)は12か月のDAPTに非劣性でした。
(つまり劣っていない。)
この際に、少量アスピリンは全ての患者に出来る限り、継続服用を推奨しています。
尚、SAPTの中で14例は少量アスピリン以外の抗血小板薬を用いていました。
4) 少量アスピリン以外の抗血小板薬では、下記のPDFにも掲載しましたが、プラビックスよりも
新薬のエフィエントの方が有効との研究が既にありますが、国により採用がされていない
場合もあり、出血の副作用も懸念されプラビックスも捨てがたいとしています。
本論文では抗血小板薬の違いは結果には反映されていないとしています。
(エフィエントに関しては下記のPDFかアクセスをして参考にして下さい。)
5) 結論としては、最初のPCI後の24か月で主要転帰をみますと、6カ月のDAPT群では
4.8%で、12か月のDAPT群では6.6%でした。
(主要転帰に大出血も含まれているためと思われます。)
私見)
患者登録のベースラインを見ますと、新規抗血小板薬が多く採用されています。
第二世代のステントと併せて、この事が結果的に6カ月の優位性に寄与したのではと考えてしまいます。
参考書籍;HRRISON
STEMIに関しては下記のPDFを参照ください。
新薬に関して興味のある方は、下記にアクセスしてみてください。
https://medicalcampus.jp/di/
Six months versus 12 months dual antiplatelet therapy bmj.pdf
1 本論文より.pdf
2 STEMIについて.pdf
3 ガイドライン.pdf
4 PCI施行例における新規P2Y12阻害薬とclopidogrelの比較抗血栓療法トライアルデータベース.pdf
5 エフィエント(プラスグレル)の作用機序と副作用【虚血性心疾患】.pdf