2018年09月15日

小児の軽症頭部外傷のガイドライン:CDCより

小児の軽症頭部外傷のガイドライン:CDCより
 
Centers for Disease Control and Prevention
Guideline on the Diagnosis and Management
of Mild Traumatic Brain Injury Among Children
 
JAMA Pediatr. doi:10.1001/jamapediatrics.2018.2853



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 海外では軽度頭部外傷を、mild traumatic brain injury;mTBIとして統一しているそうです。
軽症頭部外傷を、以下mTBIとします。
 今回小児のmTBIに関してアメリカのCDCよりガイドラインが出て、雑誌 JAMAから出版されています。
ガイドラインと言うよりはやや勧奨の色彩が強い印象です。
小児の頭部外傷に関しては、私の以前のブログ 「頭部外傷」 で検索してください。  
   (尚studyは下記のPDFを参照)

mTBIの定義は
 ・30分以内の混乱(confusion)、見当識障害、意識消失、
  24時間以内の意識消失、一時的な神経症状、痙攣
 ・受傷30分後の臨床医によるGlasgow Coma Scale(GCS)判定で13~15点
  特に小児の場合はこのGCSを重視しています。



纏めますと

 ◎診断に関する勧奨

 1) 臨床家はCT検査をルーチンで行わない事
    特に小児では、照射による発癌性にも留意する必要がある。
    実際にmTBIから外科的治療が必要な事例は稀である事を家族とも相談して、CT検査の必要性
    を検討する。
    CTを考慮する際にはPECARNを参考にする。 (下記PDF参照)

   下記のリスク因子を検討
    ・2歳以下
    ・嘔吐
    ・意識消失
    ・外傷の原因の重さ
    ・頭痛の程度
    ・意識喪失
    ・前頭部以外の血腫
    ・GCSの15点以下(下記のPDF参照)
    ・頭蓋骨骨折の疑い
    以上の内、頭蓋骨骨折とGCS以外は十分なリスク因子でない事を認識しておくことが大事
    色々なスケールが考案されており、それらを組み合わせて診断する事が有効

 2) MRI検査もルーチンで検査を行わない事
    本検査は時間を要するので、小児では鎮静剤を必要とする事に留意

 3) 頭蓋骨骨折のレントゲン診断は、63%の感度(正解率)である事に注意
    しかもmTBIの内、頭蓋骨骨折の頻度は7.1%である。

 4) 血液検査は全く無用


 ◎予後に関する勧奨
    mTBIの70~80%は、1~3カ月で症状は緩和する事を家族に説明する。
    緩和する経過はそれぞれ異なる事も理解する。
    症状の緩和には、家族との共同作業としての会話(health literacy)や行動が大事である。


 ◎緩和の妨げになる要因としては
    ・頭蓋内損傷のある場合の認知機能障害
    ・神経、精神的障害
    ・学習障害
    ・家族や環境の障害
    以上が挙げられる。4週間以上症状の軽快が無い場合はリスクである。


 ◎教育現場への復帰に関する勧奨
    臨床側と教育現場との密接な連絡が大事である。
    継続したアカデミックな両者の対応が求められる。
    慎重な復帰計画を作成する事が大事であるが、出来るだけ迅速に復帰の方向に計画を立て、
    やたら無駄な時間を弄して欠席を長引かせない事も肝要


 ◎mTBI後の頭痛に対する勧奨
    頭痛が継続したり悪化する場合はCT検査も考慮する。


 ◎不眠に関する勧奨
    健全な睡眠を指導する。
    専門家との連携が大事





私見)
 頭部外傷に対するツールと言うよりは、心構えが記載されています。
 職員の皆さん、私の以前のブログと併せ、患者さんへの対応をお願いします。





頭部外傷のstudy.pdf

gcs.pdf











posted by 斎賀一 at 15:59| Comment(1) | 小児科