2018年09月08日

ゾフルーザに関する編集者のコメント

ゾフルーザに関する編集者のコメント

A Step Forward in the Treatment of Influenza
n engl j med 379;10 nejm.org September 6, 2018

 
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 雑誌NEJMの編集者のコメントが同時に掲載されており、この方が実地医家にとって参考になります
ので掲載します。


纏めますと、


 1) 本試験は基礎疾患のない12~64歳の外来患者に対して、インフルエンザと診断されて
    48時間以内に服用しています。

 2) 症状の緩和に関しては、タミフルと同程度でした。
    この事は、基礎疾患のない人では、早期に服用すれば効果は同じことを表します。

 3) ゾフルーザは半減期が長いので、一日一回の服用でよく、服用が容易です。
    (アドヘランスが良い)
    しかし、症状出現の24時間以内に服用した方が、明らかに遅れて服用するよりも、
    症状の緩和に繋がっていた。

 4) ゾフルーザは細胞内でのm-RNAの変異を誘発して、インフルエンザの増殖を防ぎます。
    この変異のエスケイプ(変異から逃れる)が起ると、ゾフルーザは効果が無くなります。
    つまり、耐性化です。それが10%程認められています。
    症状が出現してから後になればなるほど、エスケイプは多くなるようです。
    治療5日後のウイルスを調べると、エスケイプが91%に認められていました。
    この事が、症状の遅延例に認められるのではと推測しています。
    但し、このエスケイプしたウイルスは伝播する能力はなく、感染には関与しないとの
    実験データがあるようです。

 5) 明らかに本薬剤は有効ですが、今後頻回に使用されるにしたがって、この耐性化の問題が
    浮上するかもしれない。



私見)
 タミフルは、インフルエンザの後期に服用しても入院率を下げ、重症化を防ぐとのデータもあります。
又、基礎疾患のある人にも特に効果があります。
 今のところ、本院では24時間以内ではゾフルーザを処方して、症状が3日過ぎていたら、タミフル
でしょうか。基礎疾患のある人に対しては、今後のデータを注目したいと思います。
 尚、ゾフルーザの作用機序に関しては、ネットで調べて下記にPDF化しました。



ゾフルーザ(バロキサビル)の作用機序・類薬との使い分け【インフルエンザ治療薬】.pdf








posted by 斎賀一 at 17:16| Comment(2) | インフルエンザ

インフルエンザ新薬のゾフルーザ

インフルエンザ新薬のゾフルーザ

Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza
in Adults and Adolescents
n engl j med 379;10 nejm.org September 6, 2018



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 本年当初より新薬のゾフルーザが上市され、注目されています。
今回、雑誌NEJMより12~64歳の合併症のないインフルエンザ以外は、健康な外来患者を対象に
新薬のゾフルーザを用いた比較試験の報告が載っていました。


 纏めてみますと、


 1) ゾフルーザ群は体重に基づく用量(40 mg または 80 mg)の単回投与としました。
    タミフル群の用量は、75 mg を 1 日 2 回、5 日間です。
    それと、コントロール群を比較しています。
    主要転帰は、インフルエンザ症状緩和までの時間としています。

 2) 第 3 相試験の 1,064 例では、罹病期間の中央値は、ゾフルーザ群で53.7 時間
    であったのに対し、プラセボ群では 80.2 時間であった。
    罹病期間は、ゾフルーザ群とタミフル群とで同程度であった。
    しかし、ウイルス量を調べると、ゾフルーザはプラセボ群やタミフルと比較して、
    レジメン開始後 1 日の時点におけるウイルス量のより大きな減少をしていた。

 3) 副作用はゾフルーザ群では20.7%に対して、タミフル群では24.8%と明らかに低下していた。
    ゾフルーザに対する感受性低下をもたらす変異の出現(薬剤耐性)は、第 2 相試験と
    第 3 相試験のそれぞれで、ゾフルーザ投与例の 2.2%と 9.7%で認められた。

 4) 日本とアメリカで研究がされましたが、同様の結果でした。
    ゾフルーザはタミフルやコントロールよりも優れており、副作用も低下していました。
    しかも一日一回の服用でウイルス量が減少しているとの事で、ウイルスの伝播による流行を
    より防げることが期待できます。
    ウイルス量の減少は、ゾフルーザの方がタミフルより早期ですが、症状の緩和は同程度でした。
    その因果関係は不明とのことです。

 5) 尚、投与時期に関してはタミフルと同様に、発症24時間以内が最も効果的でした。



私見)
 下記のPDFに結果のグラフを掲載します。
 ゾフルーザに関してのNEJMの編集者からのコメントが有用でした。

 (昨日よりのwowowの申し込みにイラついていて職員の皆さん、
  多大なご迷惑をおかけしました。ただいま漸く見られるようになりました。
  なおみの言葉を借りて一言「キョウ ワタシガンバッタヨ」)




プレゼンテーション1.pdf

ゾフルーザ.pdf







posted by 斎賀一 at 16:41| Comment(2) | インフルエンザ

2018年09月06日

C型肝炎治療後の肝線維化の改善について

C型肝炎治療後の肝線維化の改善について
 
Regression of liver fibrosis after curing chronic hepatitis C
with oral antivirals in patients with and without HIV coinfection



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 経口治療薬のDAAの登場により、続々とC型肝炎の治療成功例(SVR)が本院でも認められ嬉しい限りです。しかし注意すべき点は、SVRと言っても必ずしも肝線維化(慢性肝炎や肝硬変の状態)が好転したとは限らない点です。

 今回の論文は、SVR後の肝線維化の改善度を示したスペインからの報告です。
私の以前のブログも併せてご参照ください。


纏めてみますと

1) 対象者は、C型肝炎の治療のDAAでSVRとなった246名です。
   肝線維化の程度は、特殊エコーのFibroscanを使用しています。
   ベースラインとしては以前の研究とは異なり、57.2%が慢性肝炎進行例、18.4%が代償性肝硬変、
   42%がHIV(エイズ)合併でした。

2) 肝線維化の改善度は、軽度線維化例では22.5%に対して、高度線維化例では52.3%と顕著に
   改善傾向がありました。 (まあ、当たり前ですが、進行しても改善があると言う事です。)
   しかし逆の意味では進行した肝線維化例では、41.4%に改善が認められなかったとの報告です。

3) 結論として、代償性の肝硬変に進行した症例では、SVRになっても肝癌発生の早期発見に注意を
   しなくてはならないとしています。





私見)
 本論文を直接読んでいないので、観察期間など詳細は分かりません。また本論文にはHIVの混合
 感染例が多い印象です。しかしDAAによる治療例を集積しての論文ですので、それなりの価値がある
 と思います。
 肝線維が進行している場合は、SVRとなっても約半分の人は肝癌の進行があるかもしれません。
  (以前の私のブログと併せて理解しますと、進行肝線維化例では、SVRになっても20~40%は進行
  するかもしれないと推測できます。)
 年に2回のエコーを含めた経過観察が必要です。






hcv.pdf









posted by 斎賀一 at 13:09| Comment(0) | 肝臓・肝炎