2018年09月18日

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬と膣カンジダ症

糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬と膣カンジダ症
 
Incidence and risk of vaginal candidiasis associated with SGLT2
inhibitors in real‐world practice for women with type 2 diabetes



0918.PNG

      

 SGLT-2阻害薬は効果があり、糖尿病治療薬の第一選択薬になる勢いです。
本院でもその実感を持ち始めています。
当初懸念されていた副作用も少なく、高齢者や体重の少ない人に対しても少量処方で注意深く診療して
いけばと思っています。尿路感染症の副作用も市販後の調査では少ないとの事で安心していましたが、
今回日本からの報告で、実地臨床の現場では膣カンジダ症が多いとの報告です。



纏めてみますと

1) U型糖尿病患者の女性114名(平均年齢、53.3歳)を対象にしています。
   膣症状のない人で、SGLT-2阻害薬を服用して6カ月と12か月に膣検査(スワブ)をしています。
   ベースラインでは、膣スワブで膣カンジダが17名陽性でした。

2) 6か月の時点で40名がドロップアウトしています。
   残りの74名を調べています。この内、当初よりカンジダが陽性なのは9名です。(ベースライン)
   つまり65名が当初陰性でしたが、24名(36.9%)が6カ月で陽性となり、15.8%に症状が出現
   しています。
   ベースラインでは若い人の方がカンジダは多いのですが、これはエストロゲン誘因の糖が膣粘膜に
   多いからで、SGLT-2阻害薬を服用すると、今度は逆に閉経後の女性の方が、糖尿病による微小
   血管障害の病変によりカンジダが顕著になってしまうと説明しています。

3) 1年後まで調査できた49名を解析しますと、3.1%が陽性で、8.1%にカンジダの症状が出て
   いました。 (6〜12か月でドロップアウトしたのは25名で、カンジダ症が原因も含まれます。)






私見)
 実地臨床では膣カンジダは多いようで、事前にコンセンサスが大事なようです。





sglt2 尿路感染症1.pdf













posted by 斎賀一 at 20:59| Comment(0) | 糖尿病

2018年09月15日

小児の軽症頭部外傷のガイドライン:CDCより

小児の軽症頭部外傷のガイドライン:CDCより
 
Centers for Disease Control and Prevention
Guideline on the Diagnosis and Management
of Mild Traumatic Brain Injury Among Children
 
JAMA Pediatr. doi:10.1001/jamapediatrics.2018.2853



0915.PNG
     
      

 海外では軽度頭部外傷を、mild traumatic brain injury;mTBIとして統一しているそうです。
軽症頭部外傷を、以下mTBIとします。
 今回小児のmTBIに関してアメリカのCDCよりガイドラインが出て、雑誌 JAMAから出版されています。
ガイドラインと言うよりはやや勧奨の色彩が強い印象です。
小児の頭部外傷に関しては、私の以前のブログ 「頭部外傷」 で検索してください。  
   (尚studyは下記のPDFを参照)

mTBIの定義は
 ・30分以内の混乱(confusion)、見当識障害、意識消失、
  24時間以内の意識消失、一時的な神経症状、痙攣
 ・受傷30分後の臨床医によるGlasgow Coma Scale(GCS)判定で13~15点
  特に小児の場合はこのGCSを重視しています。



纏めますと

 ◎診断に関する勧奨

 1) 臨床家はCT検査をルーチンで行わない事
    特に小児では、照射による発癌性にも留意する必要がある。
    実際にmTBIから外科的治療が必要な事例は稀である事を家族とも相談して、CT検査の必要性
    を検討する。
    CTを考慮する際にはPECARNを参考にする。 (下記PDF参照)

   下記のリスク因子を検討
    ・2歳以下
    ・嘔吐
    ・意識消失
    ・外傷の原因の重さ
    ・頭痛の程度
    ・意識喪失
    ・前頭部以外の血腫
    ・GCSの15点以下(下記のPDF参照)
    ・頭蓋骨骨折の疑い
    以上の内、頭蓋骨骨折とGCS以外は十分なリスク因子でない事を認識しておくことが大事
    色々なスケールが考案されており、それらを組み合わせて診断する事が有効

 2) MRI検査もルーチンで検査を行わない事
    本検査は時間を要するので、小児では鎮静剤を必要とする事に留意

 3) 頭蓋骨骨折のレントゲン診断は、63%の感度(正解率)である事に注意
    しかもmTBIの内、頭蓋骨骨折の頻度は7.1%である。

 4) 血液検査は全く無用


 ◎予後に関する勧奨
    mTBIの70~80%は、1~3カ月で症状は緩和する事を家族に説明する。
    緩和する経過はそれぞれ異なる事も理解する。
    症状の緩和には、家族との共同作業としての会話(health literacy)や行動が大事である。


 ◎緩和の妨げになる要因としては
    ・頭蓋内損傷のある場合の認知機能障害
    ・神経、精神的障害
    ・学習障害
    ・家族や環境の障害
    以上が挙げられる。4週間以上症状の軽快が無い場合はリスクである。


 ◎教育現場への復帰に関する勧奨
    臨床側と教育現場との密接な連絡が大事である。
    継続したアカデミックな両者の対応が求められる。
    慎重な復帰計画を作成する事が大事であるが、出来るだけ迅速に復帰の方向に計画を立て、
    やたら無駄な時間を弄して欠席を長引かせない事も肝要


 ◎mTBI後の頭痛に対する勧奨
    頭痛が継続したり悪化する場合はCT検査も考慮する。


 ◎不眠に関する勧奨
    健全な睡眠を指導する。
    専門家との連携が大事





私見)
 頭部外傷に対するツールと言うよりは、心構えが記載されています。
 職員の皆さん、私の以前のブログと併せ、患者さんへの対応をお願いします。





頭部外傷のstudy.pdf

gcs.pdf











posted by 斎賀一 at 15:59| Comment(1) | 小児科

2018年09月14日

犬と猫の唾液による感染症

犬と猫の唾液による感染症
 
Bacteria spread through dog saliva linked
to death of South Milwaukee woman



0914.PNG

 

 アメリカから、犬の唾液による人への感染症が報告されました。
3歳の男の子が飼い犬に噛まれて、両手と下肢の切断を余儀なくされた症例と、やはり飼い犬に噛まれた女性にインフルエンザ様症状が出現し、その後不幸な転帰を辿ったと言う2例です。

 原因菌はcapnocytophaga canimorsusです。日本でも報告があるようです。
その多くが免疫機能の低下している人や、脾臓のない人が感染している可能性が高いとの事です。
残念ながら多くの犬や猫の口腔内にこの菌はいるとの事で、獣医で治療してもその効果は一時的です。
新しくペットを飼う場合は、この疾患について知っておく必要があるとのことです。
 症状は、ペットに噛まれたか接触した後の3~5日で敗血症、臓器障害、髄膜炎を併発するとの事です。
10人中3人が死亡との報告もあります。
基礎疾患のある方は特に、ペットやペットを預けた時など注意が必要です。





私見)
 ペットを飼っている皆さん、老婆心(老人心)からのブログです。
 怒らないでください...。






1犬 唾液.pdf

capnocytophaga canimorsus.pdf

IASR 31-4 Capnocytophaga canimorsus, イヌ・ネコの咬傷, 敗血症, 血液培養, 菌分離.pdf










posted by 斎賀一 at 20:08| Comment(1) | その他