2018年08月02日

小児における喘息治療抵抗性とウイルス感染症

小児における喘息治療抵抗性とウイルス感染症
 
Respiratory Viruses and Treatment Failure
in Children With Asthma Exacerbation
PEDIATRICS Volume 142, number 1, July 2018



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 ウイルス呼吸器感染症の病原性により、小児の喘息において通常の治療に抵抗性が生じるとの報告が雑誌pediatricsに掲載されました。
 小児の喘息は、60~80%がウイルス性の呼吸器感染症によって誘発されると言われています。中でも風邪の王様のライノウイルスが、喘息増悪の因子として有名です。しかし喘息の重症化と、インフルエンザを始めとする、他のウイルスとの関係については未だ論争があります。

 今回の論文のDOORWAY研究では、ウイルス性呼吸器感染症と喘息との関連性を、二つの方向性で検討しています。
一つは増悪の因子、もう一つは治療抵抗性に関しての調査です。



纏めてみますと

1) 1〜17歳の中等度以上の喘息患者を2011~2013年に登録し、最終的には924名を検討しました。
   通常の治療とは、ステロイドの服用、ステロイドの吸入、気管支拡張薬の治療、重症例には抗コリン
   薬の吸入です。

2) 急性増悪は33.3%認められました。
   ウイルスが判明したもので比較しますと、ライノウイルスは、非ライノウイルスに比べて12.9%増悪
   例が多いようです。 

3) 通常の治療に抵抗性を示した例は、16.9%ありました。
   RSウイルスは21.4%、インフルエンザウイルスは37.5%、パラインフルエンザウイルスは46.7%
   に治療抵抗性がありましたが、問題のライノウイルスは非ウイルス性と同程度で、それ程顕著に
   治療抵抗性はありませんでした。

4) 考察として、ライノウイルスは初期には増悪を引き起こしますが、治療には案外反応するようです。
   つまり、ステロイドによる治療の感受性があります。
   一方で、RSウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザは治療に反応が悪いようです。 
   ヒトメタニューモウイルスは、RSと同等でした。
   増悪例や治療抵抗性に対しては、ジスロマックと抗コリン薬吸入を使用してみる事を勧めています。
   以上の事からも喘息既往の小児では、インフルエンザワクチンは積極的に受けるように指導すべき
   としています。






私見)
 喘息の小児が増悪や発熱した場合は、出来るだけウイルスの同定をして、治療抵抗性の予測を調べる
 事が大事なようです。
 更にウイルス呼吸器感染症で喘鳴を伴った、いわゆる小児喘息においても、RS、インフレエンザ、ヒト
 メタニューモに関しては、治療抵抗性があるかもしれないと認識しておいて良さそうです。
 現時点では、喘息患児に対しては積極的にインフルエンザワクチンを勧奨します。





Respiratory Viruses and.pdf





















posted by 斎賀一 at 15:28| Comment(0) | 小児科