2018年08月31日

鎮痛解熱剤(NSAIDs)と心筋梗塞の関係

鎮痛解熱剤(NSAIDs)と心筋梗塞の関係
 
Risk of myocardial infarction with use of selected
nonsteroidal anti-inflammatory drugs in patients
with spondyloarthritis and osteoarthritis


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 古くて新しい話題が、雑誌BMJに掲載されていました。
私のブログもご参照ください。 (NSAIDで検索)


纏めてみますと

1) 対象疾患は、SpA(脊椎関節炎)とOA(変形性関節症)です。
   SpAは炎症性疾患であり、心筋梗塞も炎症の側面があります。更にNSAIDsを服用すると、心血管
   疾患を誘発するとのデーターもあり、注意が必要です。
   炎症性の意味合いが強いSpAが、NSAIDsに晒されるとどうなるかを、退行性疾患のOAと比較対象
   で調べています。
   そこで、比較的選択制のあるナイキサンとボルタレンを用いて、心筋梗塞発生の危険率を調べて
   います。

2) SpA患者8,140人と、OA患者244,339人を登録しています。
   其々115人と6,287人の心筋梗塞患者が発生しています。

3) ナイキサンの危険率は1.19で、ボルタレンの危険率は3.32でした。
   ボルタレン服用に関して見ますと、SpAはOAに比較して2.64倍の心筋梗塞発生でした。





私見)
 心血管疾患の危険がある人や少量アスピリンを服用している人には、従来通りにナイキサンかセレコックスを処方して、しかも長期処方は避ける選択肢が良いかもしれません。





NSAIDs.pdf











posted by 斎賀一 at 19:09| Comment(2) | 循環器

2018年08月30日

クループ症候群にステロイドは有効

クループ症候群にステロイドは有効
 
Glucocorticoids for croup in children



0830.PNG

      

 クループ症候群は、小児の代表的な吸気性呼吸障害で犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)が特徴
です。その多くがウイルス性で軽症ですが、夜間に増悪します。
夏のクーラーが誘因の場合もあります。
ステロイド(デカドロンシロップ)の服用と、ボスミンの吸入が有効です。
最も大事な点は急性喉頭蓋炎との鑑別です。この点に関しては下記のPDFに纏めましたので、職員の
皆さん、参照してください。

 今回、クループ症候群に対するステロイド服用の効果を調べた論文が発表されましたので、掲載します。



簡単に纏めますと

1) 0~18歳のクループ症候群患者、4,565人を対象

2) ステロイドの使用により2時間で改善がみられ、その効果は24時間継続する。

3) 更に、再受診率の低下も認められています。 (危険率は0.52)






私見)
 稀な疾患ではありません。そのため安易に診断はせず、常に鑑別診断をすべきとの事です。

 ・まず重症度の判定・・・ Spo2が90以下は重症。初期対応に反応しない場合は入院治療も考慮する。
 ・初期治療とは・・・本院ではデカドロンシロップ(0.5cc/kg/回の少量)及び
             ボスミン吸入0.5~1.0cc+5%食塩水
 ・治療中も常に重症度の判定と、鑑別疾患を念頭に置く。





 【参考書籍】
      ・ これから出会う物語 : 中山書店
      ・ 子どものプライマリ・ケア : 医学書院
      ・ 小児診療のピットフォール : 日経メディカル
      ・ 雑誌小児科 : Vol.54 NO.9 2013
      ・ 徴候から見抜け 小児救急疾患 : 日本医事新報社
      ・ NEJM :  july 5 2012
      ・ その他





職員研修用 クループ.pdf

クループ症候群 本論文.pdf

Steeple Sign of Croup.pdf













posted by 斎賀一 at 14:35| Comment(0) | 小児科

2018年08月28日

今シーズンのインフルエンザ・ワクチンのガイドライン

今シーズンのインフルエンザ・ワクチンのガイドライン
                 アメリカのCDCより
  
Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines:
Recommendations of the Advisory Committee
on Immunization Practices−United States,
                    2018–19 Influenza Season



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 夏休みが終わろうとしています。
職員の皆さん、頑張ろうとは言いませんが気を引き締めてインフルエンザに対抗しましょう。

何はともあれ、纏めてみました。


1) 今シーズンのワクチンは下記の4種類が含まれます。
    ・H1N1 (パンデミック09)    ・H3N2 (シンガポール) 
    ・B (ヴィクトリア)          ・B (やまがた)

2) 接種の時期
   2回接種の場合は、できれば4週間あける。
   1回目は入荷次第接種を勧めて、2回目は11月初めには終わらせておく。
   小児も高齢者も再接種は勧奨していない。
   インフルエンザ流行期間中にワクチンの効果がなくなるのでは、という懸念がある。
   しかし、効果の消失に関してはバイアスが係っている。つまりワクチンのミスマッチ、ワクチン接種後
   の抗体検査の不正確さなど。ワクチン効果の減少の報告もある。
   H3N2とBでは1か月に7%の効果減、H1N1は1か月に6~11%減
   特に乳幼児と高齢者には、減少の幅が多く認められている。
   しかし、6カ月経過しても効果はゼロにはならない。
   ヨーロッパの報告では、H3N2に対しては111日で効果がゼロになったとの報告もあるが、H1N1と
   Bに対する効果の減少は緩やかで、インフルエンザシーズンを通して50~55%は残っている。
   シーズンにより、流行の開始は予測が出来ません。また流行の型も様々です。
   勧奨としては10月末までには接種を完了しておく、としています。
   しかし、理想的にはインフルエンザが流行するまでに完了するのが効果的である。
   つまりインフルエンザが流行していても、12月末に接種する事が一番効果的である。
   (しかし、しかし、それにはインフレエンザが流行していても本人は罹患しないという条件が必要。
    理想を求めるか、はたまた現実に妥協するかです。勿論、本院は院長の性格から、現実を採り
    ます。)

3) 妊婦に関しては、例年通りに何時でも(any time)接種を勧めています。

4) ギランバレー症候群を6週間前に罹患した人は、ワクチンを控える。

5) 卵アルルギー
   製造過程で卵成分は0828-2.PNG 倍まで希釈されている。
   卵アレルギーの人でも軽症、中程度では接種をしても良い。
   しかし、他のワクチン同様にアジュバンドを含有しており、ワクチンそのもののアレルギー反応には
   注意が必要。 ACIPは接種後、15分の観察を勧めている。 (本院では従来通りとします。)

6) インフルエンザ治療薬との併用
   ワクチンを接種して48時間以内にインフルエンザ治療薬を投与すると、ワクチンの効果は2週間
   途絶える。  (受験生のように、ワクチンを接種して更に予防投与する場合を想定しての事だと
   思います。)

7) 他のワクチンとの同時接種
   副反応や効果に問題ないとの色々なデータが示されていますが、そのデータも限定的との事です。
   本院では例年通り、同時接種は行いません。




私見)
 毎年のインフルエンザ対策が、本院の診療体制の進化に結びついています。
 職員の皆で知恵を出し合いましょう。




Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines_ Recommendations .pdf










posted by 斎賀一 at 20:02| Comment(0) | インフルエンザ