2018年07月26日

軽症脳梗塞と一過性脳虚血発作に対する併用抗血小板療法の有用性と安全性

軽症脳梗塞と一過性脳虚血発作に対する
併用抗血小板療法の有用性と安全性
 
Clopidogrel and Aspirin in Acute
Ischemic Stroke and High-Risk TIA
N Engl J Med 2018;379:215-25.


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 雑誌NEJMに、軽症脳梗塞と高リスクの一過性脳虚血発作(TIA)の発症後に、抗血小板薬のアスピリンとプラビックスの併用と、アスピリン単独との比較試験が掲載されていました。

 軽症脳梗塞とは、NIHSSスケールで3点以下、高リスクのTIAはABCD2スケールで4点以上としています。
以前より軽症脳梗塞とTIAは、発症後90日間で3~15%に脳梗塞の再発があるとされています。
アスピリンとプラビックスの併用は、急性冠動脈症候群ではその有効性が証明されています。

今回はTIAと軽症脳梗塞に対して研究されました。POINT研究と命名されています。
同時期に中国でも同様の研究発表がされていて、CHANCE研究と命名されています。このCHANCE研究では、発症後24時間以内に治療を開始したところ、併用療法の方がアスピリン単独より32%のリスク軽減があり、出血などの合併症は同程度であったとの報告です。


本研究を纏めてみますと

1) 2010年から2017年にかけて、10か国で登録された18歳以上の4,881名が登録されました。
   登録と除外のクライテリアは下記のPDFをご参照ください。
   82.8%がアメリカ人でした。
   無作為化試験において、軽症脳梗塞または高リスク TIA の患者に、クロピドグレルを 1日目に
   負荷用量 600 mg、その後は75 mg/日投与し、アスピリン(50〜325 mg/日)を併用する群と、
   アスピリンのみを同じ用量範囲で投与する群に割り付けました。
   主要有効性転帰は、90日の時点での主要虚血性イベントの複合リスクとし、脳梗塞、心筋梗塞、
   虚血性血管イベントによる死亡と定義しています。

2) データ安全性モニタリング委員会が、クロピドグレルとアスピリンの併用は、アスピリン単独と比較
   して、90日の時点での主要虚血性イベントのリスクが低いことと、重大な出血リスクが高いことの
   両方に関連すると判定したため、試験は予定患者数の 84%が組み入れられたあとに中止されま
   した。
   主要虚血性イベントは、クロピドグレル+アスピリン群 2,432 例中 121 例(5.0%)とアスピリン
   +プラセボ群 2,449 例中 160 例(6.5%)に発生し(ハザード比 0.75)、大部分は初回イベント
   後1週間に発生しています。
   重大な出血は、クロピドグレル+アスピリン群の 23 例(0.9%)とアスピリン+プラセボ群の 10 例
   (0.4%)に発生しました。(ハザード比 2.32)

3) 結論的には、90日間の経過で患者1,000人に対して15人の虚血性疾患の予防が出来るが、5人の
   重大な出血性疾患が発生する。
   中国初のCHANCEと異なる結果だが、投与方法が異なっている点やアジア人はプラビックスの活性
   型への遺伝子が多型であるのが原因かもしれない。
   (脳梗塞の発生は1か月以内が多いが、出血の副作用は一貫してある事から、その想定でCHANCE
   は投与方法を設定しています。しかし脳梗塞の発生は1か月過ぎても多いとの報告もあります。
   私のブログをご参照ください。)

4) 軽症脳梗塞または高リスク TIA を起こした患者のうち、クロピドグレルとアスピリンの併用療法を
   受けた患者は、アスピリン単独療法を受けた患者と比較して、90日の時点での主要虚血性イベント
   のリスクは低かったが、重大な出血のリスクが高かった。






私見)
 併用療法の利害に関しては、十分に患者さんとコンセンサスをとる事が肝心ですが、急性期を過ぎて
 逆紹介された時に、併用療法から単独療法に切り替えるかは、かなり思案しそうです。






文献より (2).pdf










posted by 斎賀一 at 14:08| Comment(0) | 脳・神経・精神・睡眠障害

2018年07月25日

少量アスピリンの効果に体重換算が必要

少量アスピリンの効果に体重換算が必要
 
Effects of aspirin on risks of vascular events
and cancer according to bodyweight and dose



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 現在、心血管疾患の予防に少量アスピリンが汎用されています。アスピリン・パラドックスと言われ、
量が多くなるとその抗血小板作用は減弱してしまうので、100mg以下がよいとされています。
 しかし、今回雑誌LANCETから、体重70kg以上の人ではアスピリンの用量を増加しなくては効果が無い
との論文がでました。
アスピリンを100mg以下と300~325mgとに分け、登録者を体重70kg以下と以上の2群に分けて危険率を比較しています。


纏めますと

1) 一次予防として117,279人が登録しました。

2) 体重70kg以上では、アスピリンを325mgに増量したほうが有効でした。
   この結果は男女、糖尿病の罹患、二次予防、身長との関係でも同様でした。

3) 少量アスピリンは大腸癌や他の悪性疾患の予防にも効果があるとする研究結果もありますが、    
   それも併せて検証しています。
   体重に対してアスピリンの量が多いと、逆に危険率が増加していました。
   70歳以上の人で特に体重が70kg以下では、アスピリンによる癌のリスクが却って増加していま   
   した。

4) 体重の多い人は体内にエステラーゼが多く、アスピリンを代謝してしまうと説明しています。
   また、体重が多い場合は喫煙やアスピリン腸溶錠で効果が低下していました。

5) 詳細は下記のPDFのグラフをご参照ください。





私見)
 禁煙は勿論ですが、体重が70kg以上の人ではバイアスピリン(腸溶錠100mg)よりもバファリン
 330mgの方が有効でしょうか?
大腸癌の予防に関しては、大腸ポリープも含めて高齢者には害がありそうです。






文献より.pdf

Effects of aspirin on risks of vascular events.pdf











posted by 斎賀一 at 19:08| Comment(0) | 循環器

2018年07月23日

ヒロシのぼっちキャンプ

ヒロシのぼっちキャンプ
 
私からの暑中お見舞い
 


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 髭男爵の山田ルイ53世の書籍「一発屋芸人列伝」が評判になっています。
一発屋芸人のその後を取材しています。試行錯誤して一発の芸を磨いて、やがて運に恵まれブレイクする様が記載されています。

失礼ながら単純に解釈しますと
一発屋は人生の敗北を認め自首した人。人付き合いが下手な人。つまり人間関係が希薄な人。才能は余りなく普通の人。人生が随分と余ってしまい、今でも真剣に人生をしている人。本当に困ったときにプライドを捨てて他人に救いを求めて手を差し出す人。世の中で忘れ去られていても、それでも今でも消えずにいる人・・・。

 本では単に一発屋を自虐的に眺めるのでなく、人生そのものを温かく捉えているところが評判のようです。洋の東西を問わず、人は健康の事、家族の事、お金の事、将来の事について等しく悩んでいます。
 開業医の私も所詮は一発屋だと以前から思っています。
そんな挫けそうな一発屋が集まって、かのレイザーラモンHGが「一発会」を発足したそうです。
まるでNPO団体の様で今後の若手芸人の助けにもなりたいとの事です。

 その一発会に私の愛するヒロシは参加していません。
なぜなら「ぼっち」だからです。キャンプ芸人で有名になったヒロシが、BS-TBSで毎週水曜日午後11:30より「ヒロシのぼっちキャンプ」を放送しています。YouTubeのヒロシキャンプの延長線上にあります。
熱い夏にシティボーイの私はキャンプ場にも行かず、クーラの部屋でヒロシを満喫しています。
職員の皆さん、バーベキューに向けて腕を磨いてください。

医院長は夏バテです・・・。
ぼっちブログをしています・・・。










posted by 斎賀一 at 20:09| Comment(1) | 日記