2018年06月15日

糖尿病治療薬・メトグルコと乳酸アシドーシス;その1

糖尿病治療薬・メトグルコと乳酸アシドーシス:その1
 
Risk of lactic acidosis in type 2 diabetes patients
using metformin: A case control study



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 その昔、メトフォルミン製剤は乳酸アシドーシスを起こすので危険視されていました。
しかし、その中でもメトグルコは安全で、注意して処方すれば乳酸アシドーシスの頻度は低いとされ、メトフォルミンのルネッサンスとまで言われ、今では糖尿病治療の第一選択薬です。
更に最近では腎機能のe-GFRの50までは安全と言われています。

 今回、メトグルコと乳酸アシドーシスの関係について文献が2つほどありましたので掲載します。
先ずは庶民的な雑誌Plos ONEからの論文を纏めてみました。


1) U型糖尿病患者10,652名を登録して、乳酸アシドーシスで入院している人を解析しました。
   2009~2013年まで調査しました。
   乳酸アシドーシスの診断基準として、PH<7.35 and 乳酸≧2.0mmol/Lとしています。
   平均年齢は74歳   51.5%が男性

2) 163名が乳酸アシドーシスで入院しています。
   391人/100,000人/年 の頻度でした。
   コントロール群として年齢、性別が同じ集団を3,834名登録しました。
   チャールソンスコアー(合併症の重症度のスコアー化で、下記のPDFを参照)が2以上を調べてみま
   すと、乳酸アシドーシスの群では63.8%で、コントロール群では24.7%でした。つまり重い基礎疾患
   があれば乳酸アシドーシスになる頻度が高く、メトグルコの服用とは関係が無さそうです。
   メトグルコと乳酸アシドーシスの関係の危険率は0.79と低く、関連性はないと結論付けています。
   以前の論文では腎不全と心不全が基礎疾患として指摘されていましたが、本論文では腎機能は独立
   した因子で、呼吸器疾患と菌血症を含めた感染症が乳酸アシドーシスの危険因子としています。

3) 以前の乳酸アシドーシスとメトグルコの関連性を指摘している論文では、本論文と乳酸アシドーシス
   の基準が異なっており、乳酸アシドーシスの診断が入院時や退院時などでバラつきがある事も指摘
   しています。







私見)
 本院での乳酸アシドーシスの診断ツールは、以前のブログをご参照ください。
 小心者の私としましてはそれでも心配ですが、下記のPDFの表を見ると乳酸アシドーシスを起こした
 ケースの中でメトグルコを服用していないケースが多くあり、別の視点で注意が必要と感じました。





Risk of lactic acidosis in type 2 diabetes.pdf

本論文より (2).pdf

チャールソン.pdf









posted by 斎賀一 at 20:13| Comment(1) | 糖尿病