2018年06月14日

原発性胆汁性胆管炎に対するベザフィブラート(ベザトールSR)の効果

原発性胆汁性胆管炎に対するベザフィブラート(ベザトールSR)の効果
 
A Placebo-Controlled Trial of Bezafibrate in Primary Biliary Cholangitis
  n engl j med 378;23 nejm.org June 7, 2018



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 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、進行が緩徐ですが肝硬変に進展する可能性があり、30歳以上の女性に多い疾患です。病因は自己免疫性疾患が考えられています。症候性(sPBC)と無症候性(aPBC)に分かれます。皮膚掻痒症、黄疸、腹水などの症状がありますが、無症候性のまま数年が経過する場合も
あります。
ビリルビンが2mg/dl以上をs2PBCと呼び、以下をs1PBCと言います。
検査ではALP,γ-GTPが上昇し、抗ミトコンドリア抗体が90%陽性です。

治療としてはウルソが基本ですが、効果が乏しい時は以前より脂質異常症(特に中性脂肪)の薬剤であるベザトールSRが、裏ワザとして使用されていました。
 今回、NEJMよりウルソとベザトールSRの併用が進展を遅らせるばかりでなく、症状の改善に繋がるとする論文がでました。


纏めてみますと

1) 2012~2014年にかけて、年齢は18歳以上のパリ基準 II (下記PDF参照)でウルソによる治療
   効果が不十分であった100 例を、ウルソの継続投与に加え、ベザトールSR 400 mg/日を追加
   投与する群(50 例)とプラセボを投与する群(50 例)に無作為に割り付けて、24ヵ月の時点
   での転帰を調べました。
   対象は95%が女性で、平均年齢は53歳でした。しかも54%が進行期でした。
   (組織学的にbridgingからcirrhosis。パリ基準では24カ月の経過でウルソの効果を判定として
    いますが、本論文では6か月以上の経過での判定となっています。詳細は下記のPDF)

2) 主要転帰として、総ビリルビン値,アルカリホスファターゼ値、アミノトランスフェラーゼ値、アルブ
   ミン値、プロトロンビン指数(プロトロンビン時間から算出される指標)が正常であることと定義して
   います。

3) 主要転帰つまり正常化は、ベザトールSR群の 31%で発生し、プラセボ群では 0%でした。
   (当たり前で、効果が無い人を選んだので0%です。)
   副作用として、腎機能のクレアチニン値はベザトールSR群ではベースラインから 5%上昇し、プラ
   セボ群では 3%低下していました。筋肉痛がベザトールSR群の 20%とプラセボ群の 10%に発生
   していました。
   腎機能、糖尿病、高血圧の基礎疾患に気を付ける必要があるとしています。

4) ベザトール作用機序としては、抗脂質作用、ビリルビン産生抑制、免疫抑制作用、肝内の炎症促進
   サイトカインの抑制、PPAR-δ agonistic effects(これの胆汁鬱滞の改善効果)が想定されて
   います。

5) ウルソとベザトールSRを併用する事で、検査結果の改善が1/3に認められました。





私見)
 PBCは意外に多い疾患です。
 再度、ベザトールSRの採用を本院でも検討します。




本論文より.pdf










posted by 斎賀一 at 13:59| Comment(0) | 消化器・PPI