2018年06月02日

仮面高血圧は脳卒中と関係;家庭血圧の測定の意義

仮面高血圧は脳卒中と関係;家庭血圧の測定の意義
 
Association of Cardiovascular Outcomes
With Masked Hypertension Defined by Home Blood Pressure
Monitoring in a Japanese General Practice Population
JAMA Cardiol. doi:10.1001/jamacardio.2018.1233
Published online May 23, 2018.



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 家庭血圧を測定する事により、仮面高血圧症を診断する事が出来ます。
仮面高血圧は脳卒中に繋がりますが、冠疾患(狭心症や心筋梗塞)には余り関与しないようです。
JAMAに掲載された日本からの論文です。


纏めてみますと

1) 心血管疾患の既往があるか又はそのリスクのある4,261名を調査しました。
   従来より高温多湿の日本では、24時間血圧計(ABPM)はあまり評判がよくありません。
   しかも睡眠障害を起こしてしまいます。それに代わって本研究では、家庭内での血圧測定(HBPM)を
   早朝と夕方に測定し、高血圧症を4分類しています。
   測定は14日間行っています。結局、早朝血圧だけが有効として、下記の分類に採用しています。
   またベースラインでは、全体の79.2%が降圧剤を服用していました。

   1:仮面高血圧―家庭では高血圧(135/85以上)でクリニックでは正常(140/90以下)
   2:白衣高血圧―家庭では正常(135/85以下)でクリニックでは高血圧(140/90以上)
   3:持続高血圧―家庭でもクリニックでも高血圧
   4:コントロール群―家庭でもクリニックでも正常(注意が必要ですがこの群の多くが降圧剤を服用
    していますし、そもそもリスクをもっています。)

2) 平均年齢は64.9歳です。経過観察は3.9年でした。
   74例の脳卒中が発生(4.4例/1000人/年)、冠疾患は77例(4.6例/1000人/年)でした。
   統計のmodel-1は未補正、model-2は補正後(補正には年齢、性、体重やベースラインの疾患も含
   まれます) model-3はUACRとBNPlevelsの補正後です。

3) 仮面高血圧は脳卒中の危険率が2.77でした。この危険率は心血管疾患のリスク因子とは独立して
   いました。しかも尿アルブミン/尿クレアチニン比(腎機能関係)とBNP(心臓機能関係)とも無関係
   で独立した因子でした。
   逆に仮面高血圧は、冠疾患とは関連性がありませんでした。
   結論として、仮面高血圧は脳卒中と関連するとの事です。

4) 白衣高血圧は降圧剤を服用している場合は心血管疾患にあまり関与しないかもしれないとの事
   です。 (白衣高血圧では降圧剤を服用する事が大事と言う事でしょうか?)

5) 仮面高血圧は食塩の摂取、仕事のストレス、心因的なストレス(いらいら、疲労感)血圧の変動、
   などが関与していると推定しています。






私見)
 仮面高血圧の診断、更に降圧剤の服用の仕方、食塩を含めた生活の改善等実地医家にとって意義のある領域のようです。

 独断的に解釈しますと、「血圧患者を治療していて、なかなかコントロール出来ない人は当然注意が必要ですが、コントロールされていても他の危険因子があれば冠疾患に注意。
一方、白衣高血圧は人前で血圧が高いなんてかわいいものですが、仮面高血圧はしたたかで意外に根が深く曲者です。」
 (仮面高血圧の患者さん御免なさい。)






文献より.pdf














posted by 斎賀一 at 15:19| Comment(0) | 循環器