2018年06月19日

蜂蜜がボタン電池の誤飲に有効

蜂蜜がボタン電池の誤飲に有効
 
pH‐neutralizing esophageal irrigations as a novel
mitigation strategy for button battery injury
           

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 ボタン電池やコイン電池はキラキラしてキャンディの様で、6歳以下の小児には美味しく見えるようです。アメリカでもこの種の誤飲は5.8倍に増加し、死亡率も12.5倍となっているそうです。
食道に引っかかっている電池を迅速に取り出さなくてはいけません。救急病院に担ぎ込むまでに蜂蜜を
頻回に与える事により、食道損傷を防げるという論文が出ました。
 色々なネットで紹介されていますがmedscapeより纏めてみました。


1) 実験は子供の豚の生体と死体で行っています。
   10~15分毎に色々な蜂蜜を与え、60分間経過観察をしました。
   生体反応と生体外反応共に同じ結果で、蜂蜜が最も効果的でした。

2) 電池が食道に接触するとそこで放電が起こり、PHが変化して食道粘膜に損傷をきたします。
   更に進展して筋層まで病変が及ぶと、穿孔を併発する場合もある事が実験で証明されました。

3) 蜂蜜は食道粘膜を保護する事により、放電からも回避出来るようです。

4) 実際は蜂蜜を10分おきにスプーン2杯与えるとの事です。これを救急施設に到達するまで行います。
   蜂蜜アレルギーのある小児や1歳以下の乳幼児ではブツリヌス菌の問題もあるため、蜂蜜を与える
   場合は配慮しなくてはなりません。




私見)
 下記に日本での報告と書籍を掲載しました。
 迅速な対応と家庭内での認識も重要な様です。





◆ 参考書籍

  @ 小児診療のコツ   改訂版 : 細谷亮太氏  羊土社
  A 小児科4月臨時増刊号 乳幼児診療 AtoZ 2011年 : 中島健太郎






1 pH‐neutralizing esophageal irrigations as a novel mitigation strategy for bu.pdf

2 Honey Limits Caustic Effect of Ingested Button Batteries.pdf

3書籍より.pdf

4ボタン電池.pdf













posted by 斎賀一 at 20:15| Comment(1) | 小児科

2018年06月18日

アナフィラキシーにエピネフリン鼻用スプレーが有効?

アナフィラキシーにエピネフリン鼻用スプレーが有効?
 
Epinephrine Nasal Spray in Development for Treatment
of Anaphylaxis Shows Promise as Potential Alternative to
Intramuscular Injection



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 食物アレルギーのアナフィラキシー反応に対しては、エピペン(エピネフリン注射)が第一選択です。
以前の私のブログ( “エピペン” で検索 )をご参照ください。
 しかしエピペンには色々な問題点があります。
最大に懸念される点は、保護者の方が注射に慣れていない事です。更にエピペンは0.15mgと0.30mgの2製剤しかありません。実際には食物アレルギーで、アナフィラキシーのなかでも重症型のショックを起こす例は、全国規模でも蜂アレルギーより少ないと言われています。
しかし、食物アレルギーの増加傾向と相まって、関心が多方面で増えています。

 今回のレポートでは、エピペンと同じ内容のエピネフリンを鼻スプレーで投与する代替方法です。
利点は保護者、教育関係者でも習得が容易である点と、体重換算が個々人で可能と言う点です。
本論文では、季節性アレルギーの60名を対象にエピネフリン注と同量の0.3mgを鼻スプレーで投与しました。
結果は薬理的動態に、注射と鼻スプレーは同じであったとの報告です。
更なる安全確認により、この製剤が早く上市されることを期待します。




私見)
 私の孫も食物アレルギーで、軽いアナフィラキシー(嘔吐)を起こしたことがあります。
 体重が10kg前後でしたのでエピペンは使用できません。
 私の全くの個人的責任で、エピネフリンのボスミン注射薬を体重換算で与え指導しましたが、保護者で
 ある娘に激しく拒否された経験があります。
 この論文を知って、本院自前で鼻スプレーを作り置きしたい気持ちです。

 さあどうしましょう!?

 (本院では熱性痙攣重積発作にドルミカムの鼻用スプレーを使う事もあります。)




アナフィラキシー.pdf








 
posted by 斎賀一 at 19:05| Comment(1) | 小児科

2018年06月16日

糖尿病治療薬・メトグルコと乳酸アシドーシス:その2

糖尿病治療薬・メトグルコと乳酸アシドーシス:その2
 
Association of Metformin Use With Risk of
Lactic Acidosis Across the Range of Kidney
Function A Community-Based Cohort Study



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 メジャーな雑誌のJAMAより、腎機能のeGFRが30以上あればメトグルコの投与は可能との論文が
出ました。


纏めてみますと

1) メトグルコは安価な薬剤ですし、服用による体重の増加もなく心血管疾患に対しても有効に作用
   します。問題点としては、腎機能低下の患者には注意が必要とされていました。
   しかし最近では、アメリカのFDAから使用時にeGFRが45以下の場合は適用注意で、30以下の  
   場合は禁忌とする緩和な方向のガイドラインが出ています。それにやや反論するガイドラインも
   出ていますが、腎機能低下患者を対象にした十分な研究はあまりなく、エビデンスが無いのが実情
   です。

2) 本論文では、U型糖尿病患者の75,413人を登録しています。
   平均年齢は60.4歳  51%が女性
   約半数の34,095人が登録時にメトグルコを服用しており、13,781人が、経過観察中にメトグルコを
   服用しています。コーホ研究より複製したデータではSU薬は14,439人でした。
   (下記のsuppleを参照)  経過観察は5.7年間です。
   入院するような乳酸アシドーシスが2,335名に発生していました。

3) time-dependentでもメトグルコの服用と乳酸アシドーシスの関連はありませんでしたし、危険率は
   0.98です。
   腎機能のeGFRが30以上では、乳酸アシドーシスとは関連性がありませんでした。
   eGFRが30以下では、危険率が2.07でした。

4) 以上より、全てではないが多くの糖尿病患者に慢性腎疾患(CKD)があっても、メトグルコを服用
   できるとしています。
   メトグルコの多面的有効性を重視して、eGFRが30~44でもSU薬よりもメトグルコの方を選択すべ
   きとしています。






私見)
 新しい効果のある糖尿病薬も登場しています。
 腎機能のeGFRが45以下になっている場合や、メトグルコが服用できない患者さんにとっては選択肢が
 多くなったとのコメントに説得がありました。




JAMA.pdf

jama supp1_prod.pdf

糖尿病治療薬.pdf
















posted by 斎賀一 at 14:51| Comment(0) | 糖尿病