2018年06月25日

内視鏡検査後の感染症

内視鏡検査後の感染症
 
Rates of infection after colonoscopy and osophagogastroduodenoscopy
in ambulatory surgery centres in the USA



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 胃内視鏡及び大腸ファイバー検査後の細菌感染症発生(大腸菌、クレブシェラなど)に関して、英国の
医師会雑誌のBMJのGUTより論文が出ていましたので掲載します。
 (なんでアメリカのデータなのでしょうか?)


纏めますと

1) 2014年のアメリカの6州で調査をしました。
   外来診療のセンター(ambulatory surgery center)で実施した胃カメラ700万人と大腸ファイバー
   1,500万人を、マンモグラフィーと比較しています。(マンモグラフィーは感染を誘発しないとの前提
   です。)

2) 検査実施後1週間以内での感染症発生頻度は
   マンモグラフィーで    0.6人/1,000人 
   大腸ファイバーのスクリーニング検査では    1.1人/1,000人
   非スクリーニング性大腸ファイバーで    1.6人/1,000人
   胃カメラでは    3.0人/1,000人 でした。

   検査後1か月では、マンモグラフィーで    2.9人/1,000人  
   大腸ファイバースクリーニングで    4.0人/1,000人
   非スクリーニング性大腸ファイバーで    5.4人/1,000人
   胃カメラで    10.8人/1,000人 でした。

3) 施設間差がありました。この点の解析が必要と述べています。

4) この論文には明らかな限界とバイアスがあります。
   従来から感染症があり、検査を実施しなくても細菌感染症は起きていたかもしれません。
   しかし、検査後の胃腸症状の増悪に関しては、因果関係を検討すべきとしています。
   また危険因子として、高齢者、1か月以内の入院歴、頻回の内視鏡検査、を挙げています。





私見)
 日本では自動洗浄装置が普及していますし、学会でのガイドラインの遵守を基本としています。
 張本さんの言うようにアメリカのやっている事ですので。
 しかしコンプライアンスのチェックは、さすがアメリカと思いました。
 今まで通りにガイドラインの遵守に努めましょう。





内視鏡 感染.pdf







posted by 斎賀一 at 19:55| Comment(1) | 消化器・PPI

2018年06月22日

扁桃腺摘出術後の長期予後

扁桃腺摘出術後の長期予後
 
Association of Long-Term Risk of Respiratory, Allergic,and
Infectious Diseases With Removal of Adenoids and Tonsils in Childhood
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. doi:10.1001/jamaoto.2018.0614
Published online June 7, 2018.



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 扁桃腺摘出後の短期的なリスクや予後は報告がありますが、長期的な予後に関してはあまりないよう
です。
今回、雑誌JAMAより論文が出ましたので掲載します。


纏めますと

1) 1979~1999年にかけてデンマークで生まれた1,189,061人を対象に、10歳までに扁桃腺摘出を
   行った人を30歳まで経過観察しました。
   内訳は、扁桃腺摘出が11,830人、アデノイド摘出が17,460人、扁桃腺・アデノイド両方摘出は
   31,377人でした。

2) 一般的に扁桃腺摘出は、繰り返す扁桃腺炎や中耳炎のために行います。
   扁桃腺は経時的に萎縮するので、摘出をしても問題ないとの観点から扁桃腺摘出が行われていま
   した。しかし若年層での摘出には、生涯における免疫力の低下も懸念されます。
   そこで、28疾患についてそれぞれ相対性リスク、絶対的リスク、NNTで評価しました。

3) 結論的には、扁桃腺摘出により上気道感染症は3倍の危険率でした。
   上気道感染症とは、喘息、インフルエンザ、肺炎、COPDの類も含まれます。
   絶対性リスクも18.61%増加していました。
   アデノイド摘出に関してはCOPDが2倍の危険率、上気道感染症と結膜炎も2倍に近い危険率
   でした。
   アデノイド及び扁桃腺摘出では、中耳炎や副鼻腔炎が4〜5倍の危険率でした。
   結果的には、扁桃腺摘出の効果は短期的でしかなく、長期予後に関しては小児の免疫機能を司る
   扁桃腺、アデノイドを摘出してしまうデメリットが大きいと指摘しています。
  
  詳しい結果は下記のPDFの表をご参照ください。





私見)
 ある論評では、この結果はバイアスがかなりありそうだとの指摘です。
 更に「経過において喫煙、アルコール摂取などの因子は考慮されておらず、本論文は観察研究である。
  (観察研究ではデータの仮説に対しての提唱には適していますが、実証には適していないとされて
   います。)
 しかも、現代では手術の適応が再発性の扁桃腺炎ではなく、閉塞性睡眠時無呼吸症候群である。
 保護者は、この結果から扁桃腺摘出を躊躇してしまうかもしれない。このような論文もある、との参考
 程度にするには良いかもしれないが。」としています。

 私のような実地医家にとっては、このような論文はかなりの価値です。
 本論文の筆者が、最初から色眼鏡で扁桃腺摘出を考えていたとしても...。




扁桃腺摘出の本論文.pdf

リスク.pdf









posted by 斎賀一 at 20:00| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2018年06月20日

本院における乳酸アシドーシス関連の検査方法

本院における乳酸アシドーシス関連の検査方法
        <常務連絡用>




  以前のブログ(2018-05-01、2018-05-11)で紹介しましたが、再度確認します。

1) 乳酸アシドーシスは、何らかの原因で乳酸が蓄積して生ずるアシドーシスです。
   基礎疾患にもよりますが、重症例(乳酸が5mmol/dl以上)では致死率が50%との報告です。
     タイプA : ショック状態か低酸素血症が存在するケース
     タイプB : 低酸素血症を伴わないケース。 本院で扱う疾患はこのタイプです。

   私のブログでも紹介しましたが、メトグルコを服用していない場合でも糖尿病患者で感染症、心不全、
   敗血症、肺炎を併発している場合に、乳酸アシドーシスを起こす可能性が指摘されています。
   糖尿病患者にはメトグルコ服用の有無に関らず、乳酸アシドーシスを想定しておく必要がありそう
   です。

2) タイプ B の場合は薬歴のチェックが必要です。
   アルコール、アセトアミノフェン(カロナールなど)、アスピリン、結核治療薬のヒドラ、そして
   問題のメトグルコ

3) 乳酸値が<2mmol/l(18mg/dl)は正常、
   2~5mmol/l(18~45mg/dl)は経過観察、
   >5mmol/l(45mg/dl)は即対応とガイドラインでは記載されています。
   本院では2mmol以上で当該薬剤の中止とします。

4) 検査センターからの報告では、乳酸値はmg/dlで表示されてきます。
   これを9で割った値がmmol/lです。
   つまりデータを9で割ってその値が2以上なら乳酸アシドーシスを疑います。

5) アシドーシスの診断は
   Na−Clが正常では36前後と仮定しますと、30以下をアシドーシスとします。
   イオン化カルシウムは正常値(2.41~2.72)の上限の2.72以上で、アシドーシスの可能性とします。
   以上の2点とカリウムで判断します。

6) 採血の注意点
   乳酸検査は特別な採血管で採血する。
   イオン化カルシウムは遠心分離を速やかに行い凍結保存する。




私見)
   疑う者は救われる!











posted by 斎賀一 at 18:51| Comment(0) | 糖尿病