2018年05月23日

大腸ポリープの長期予後

大腸ポリープの長期予後
 
Association of Colonoscopy Adenoma Findings
With Long-term Colorectal Cancer Incidence



0523.PNG



 大腸ポリープは長期経過で徐々に悪性化する事があります。そのために大腸ファイバー検査をどの位の間隔で実施したら良いのか、患者さんに質問されます。
ポリープの種類によりガイドラインでは推奨しています。詳しくは以前のNEJMの総説に載っていましたので下記のPDFで紹介します。
 今回アメリカのJAMAより、ポリープから大腸癌の発生経過を調べた論文が掲載されました。ポリープの詳細な分類は行っていません。



纏めてみますと

1) PLCO癌スクリーニング研究より、データを解析しています。
   55~74歳(平均年齢は64歳)の154,900人を対象にしています。平均の経過観察期間は12.9年
   間です。
   S状結腸スコープを実施して陽性所見があった群(Time0)と、3〜5年後にやはりS状結腸スコープ
   を行い陽性であった群(Year3~5)との両方で、1年以内に全大腸ファイバーを実施して発見され
   たポリープを経過観察しています。(やや複雑なので下記のPDFで掲載します。)

2) 進行性腺腫(advanced)、非進行性腺腫(non-advanced)、非腺腫性の3タイプに分けています。
   進行性腺腫とは 1;直径1cm以上、2;高度異型、3;絨毛状パターン(Villous) の何れかを認めた
   ものとしています。(villous は下記のPDFを参照ください。   中村眞一氏書籍より)

3) 両群(Time0群とYear3~5群)より集積したポリープ症例15,935名を経過観察しています。
   内訳はadvancedが18.1%(2,882例)、non-advancedが31.8%(5068例)、no-adenomaが
   50.1%(7,985例)です。
   大腸癌の発生は196例でした。
   Advancedからは70例、non-advancedからは55例、no-adenomaからは71例でした。
   統計学的処理により、年間1万人当たりの発生率を調べ比較すると、
   Advancedは20.0、non-advancedは9.1、no-adenomaは7.5でした。

4) advancedの場合は、大きさが1cm以上か以内かでは差がありませんでした。
   一方、non-advancedが1~2個の場合は、no-adenomaと差がありませんでした。
   3個以上の場合は母集団が少なく結論付けられませんでした。

5) 結論的にはadvancedがリスクは高く、経過観察の重要性を述べていますが、検査の間隔について
   は温厚な表現になっています。





私見)
 論評では、本論文の限界として以前のポリープ切除の記載がない点と、S状結腸スコープでの最初の
 スクリーニングを行っているため、それ以前のポリープは不明である点を指摘しています。
 しかしスクリーニングとしては仕方のない事と理解します。
 大腸ファイバーの勧め方に説得力のある論文と思いました。





colon polyp.pdf

参考資料.pdf









 
posted by 斎賀一 at 19:06| Comment(1) | 消化器・PPI