2018年05月21日

軽症喘息の場合はシムビコートの頓用(as needed)は有効

軽症喘息の場合はシムビコートの頓用(as needed)は有効
 
Inhaled Combined Budesonide–
Formoterol as Needed in Mild Asthma
n engl j med 378;20 nejm.org May 17, 2018



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 ある程度コントロールされている喘息の場合、配合剤のシムビコートを必要な時だけ短期で吸入する
事は、(as needed)継続吸入に比較して非劣性(劣っていない)である。
との論文がNEJMより掲載されました。   (SYGMA-1研究)



纏めますと

1) 軽症喘息の定義として
   ・発作時に短期作用型気管支拡張薬(SABA)の吸入を使用
   ・低用量のステロイド吸入を持続している。
   ・抗ロイコトルエン薬の服用のみ     
     以上でコントロールしている場合をいいます。
    
   このような軽症喘息は、喘息患者の50~75%を占めている。
   軽症と言えども気道炎症は持続しており、30~40%が増悪や入院の危険がある。
   しかも短期作用型気管支拡張薬の吸入(SABA)は、喘息の増悪を誘発する可能性が指摘されて
   いる。


2) 12歳以上の軽症喘息患者を対象に、52週間の二重盲検試験を行った。
   患者を次の3群に割り付けた。

   ・プラセボ 1 日 2 回投与+テルブタリン(0.5 mg)頓用(テルブタリン群)
   ・プラセボ 1 日 2 回投与+ブデソニド・ホルモテロール配合剤(ブデソニド 200μg、ホルモテ
    ロール 6μg)頓用(ブデソニド・ホルモテロール群)
   ・ブデソニド(200μg)1日2回投与+テルブタリン頓用(ブデソニド維持療法群)

    尚、テルブタリンとはSABAで日本では発売されていません。
   ブデソニド・ホルモテロール配合剤はシムビコート、ブデソニドはパルミコートです。
   ついでにホルメテロールは長期作用型気管支拡張薬(LABA)、ブデソニドはステロイド吸入薬


3) 3,849 例を無作為化し、3,836 例(テルブタリン群 1,277 例、ブデソニド・ホルモテロール群
   1,277例、ブデソニド維持療法群 1,282 例)

   コントロールが良好であった週の割合の平均に関して、ブデソニド・ホルモテロール配合剤はテルブタ
   リンに対しては優越性を示したが、ブデソニド維持療法に対しては劣性を示した。
   (34.4% 対44.4%、オッズ比 0.64)

   重度の増悪の年間発生率はテルブタリン群で0.20、ブデソニド・ホルモテロール群で0.07、ブデソニ
   ド維持療法群で0.09 でした。
   ブデソニド・ホルモテロール群における1日のステロイド定量噴霧吸入量の中央値(57μg)は、ブデソ
   ニド維持療法群(340μg)の 17%であった。


4) 結論として、シムビコートの頓用はSABAの頓用より明らかに有益性であり、パルミコートの継続吸入
   に対してもほぼ同程度の有益性をしました。(非劣性)しかもステロイドのトータルとしての吸入量は
   1/5に減少出来ている。
   これは頓用と言えどもステロイドが配合されているので抗炎症作用が期待され、更にステロイドの副
   作用も軽減できている。
   下記のPDFに結果のグラフを掲載しました。





私見)
 本院でもシムビコートの頓用を軽症喘息患者さんには行っています。
 その際に注意点として、軽快しても血液循環の回復のため3日間は吸入の継続を勧めています。
 最近、1年ぶりに来院された患者さんがいました。シムビコートで順調との事でした。しかし今後は喘息
 日誌に記載してもらう等注意が必要だと感じました。
 (時々しか来ない子供に対しては、少し説教をしたくなります。そうすると来なくなるのは分かっているの  ですが、心の中では縁の切れ目が金の切れ目だと思ってしまします。)

 以前よりSMART研究と言うのに二つほどありました。
 一つはLABAを使うと喘息死が増加するので必ずステロイド吸入を併用しなくてはいけないとするものです。 もう一つが、シムビコートの頓用が有効との研究です。
 なにやら真逆の感じですが、其々注意が必要と感じています。

 (スマートには2つの意味がありそうです。そういえばグラマーにも・・・・・イケナイ イケナイ!
  何時ものように今流行のセクハラが始まってしまいました。)
 



シムビコート.pdf








posted by 斎賀一 at 20:17| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

軽症喘息に対するシムビコート頓用とパルミコート継続のガチンコ勝負

軽症喘息に対するシムビコート頓用とパルミコート継続のガチンコ勝負
 
As-Needed Budesonide–Formoterol versus
Maintenance Budesonide in Mild Asthma
n engl j med 378;20 nejm.org May 17, 2018



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 配合剤のシムビコートの頓用(as needed)とステロイド吸入薬のパルミコート継続のガチンコ比較が、NEJMに掲載されていました。 (SYGMA-2研究)


纏めてみますと

1) 軽症喘息を有し、吸入ステロイドの定期投与に適格であった12歳以上の患者を対象に、52週間
   の二重盲検多施設共同試験を行った。
   患者をプラセボ1日2回投与+ブデソニド・ホルモテロール(シムビコート)頓用群と、ブデソニド
   (パルミコート)1日2回による維持療法+テルブタリン(短期作用型気管支拡張薬、SABA )頓用群
   に、無作為に割り付けた。
 
2) シムビコート頓用は重度の増悪に関して、パルミコート維持療法に対する非劣性を示し、重度の増悪
   の年間発生率はそれぞれ 0.11 と 0.12(95% CI 0.10〜0.14)であった。
   初回増悪までの期間は、2群で同程度であった。

3) 結果のグラフは下記のPDFで掲載します。





私見)
 前のブログ(SYGMA-1研究)をご参照ください。




SYGMA-2.pdf












posted by 斎賀一 at 19:15| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2018年05月19日

心房細動の生涯発生頻度と危険因子

心房細動の生涯発生頻度と危険因子

Lifetime risk of atrial fibrillation according to optimal, borderline,
or elevated levels of risk factors: cohort study based on longitudinaldata
from the Framingham Heart Study



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 英国のBMJより、生涯においてどの位の頻度で心房細動が発生するのかを調べた研究が発表に
なりました。心房細動に罹患したら脳梗塞になる年間の危険率はスコア化されていますが、患者さんに
今後の治療方針を説明する際にそれを使って説明しています(CHADS2-VASscore)。
しかし、心房細動になる確率を調べた研究は余りなかったようです。


本論文を纏めますと、


 1) フラミンガム研究のデータを基にして、3世代を対象に55歳、65歳、75歳を指標年齢として
    危険因子を比較しています。勿論、登録以前に心房細動が発生した人は除外しています。
    3世代は1948年、その子の1971年、更にその孫の成人世代の2002年に登録しています。
    最長95歳まで調べていますが、死亡例や心房細動発生の時点で終了としています。
    最大限に手紙やメールでの登録もしています。
    指標年齢(index age)に関しては、例えば50~55歳の間に危険因子を測定出来たら
    その時点で開始して、55歳のindex ageとしています。
    つまり、55歳で登録して95歳までですから最大で40年間の経過観察となります。

 2) 危険因子を最適(optimal)、境界(borderline)、危険領域(elevated)、の3分類に
    しています。喫煙、飲酒、BMI、血圧、2型糖尿病、心疾患の既往が危険因子ですが
    そのborderlineに関しては、下記の表を参照ください。


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 3) 55歳以上の人で生涯に心房細動の発生は37%でした。
    55歳をindexとすると、危険因子が全くない人では23%、境界では34%、危険因子が一つでも
    あれば(eleveted)38%でした。
    つまり、1/3人に心房細動は発生しますが、危険因子が無ければ1/5にまで減少できる。

 4) 男性の方が女性より心房細動の発生が多いのはアルコール摂取や喫煙の量が多いからと推測
    しています。

 5) 其々の危険因子における心房細動の発生頻度は下記のPDFのグラフを参照ください。



私見)
 血圧、糖尿病、心血管疾患の適切な治療を施して、更に禁煙、アルコール摂取の制限(節酒)
を達成できれば1/3人が1/5人に減少できますが、もしかしたら厳格な治療と相まって、1/6人にまで、
つまり半分に減らすことが出来そうです。何はともあれ禁酒と禁煙のようです。



Lifetime risk of atrial fibrillation.pdf


文献表.pdf







posted by 斎賀一 at 15:04| Comment(1) | 循環器