2018年04月06日

心房細動患者のNOAC(抗凝固薬)使用のガイドライン

心房細動患者のNOAC(抗凝固薬)使用のガイドライン
 
The 2018 European Heart Rhythm Association Practical
Guide on the use of non-vitamin K antagonist oral
anticoagulants in patients with atrial fibrillation



0406.PNG



 心房細動患者に対する抗凝固薬NOAC使用のガイドライン2018年版が、ヨーロッパのEHRAより発表されました。(アメリカではDOAC、ヨーロッパではNOACと言うようです。)
特徴は、よく纏められた図表にあります。簡単に説明して、詳しくは図表で説明します。
本院従業員の皆さん、患者さんには図をもって説明してください。
尚、いつもの如く本院の身の丈に合った部分だけ纏めましたので、悪しからず。


1) 本ガイドラインでは、ワーファリンよりもNOACの方が優れていると明言しています。

2) PPI(胃酸分泌抑制剤)の併用を推奨
   胃潰瘍の既往のある人や、他の抗血小板剤を併用している場合は特に服用を推奨している。

3) NOACの服用は厳格にしなくてはならない。
   なぜなら服用後12〜24時間で、その効果は減弱してくるから。

4) 薬の服用手帳を常時持ち歩く事が大事で、来院時でもチェック項目を記載し、管理する事が大事
   である。

5) ワーファリンからNOACへの移行は、INRが2.0以下なら直ちに、2.0〜2.5では翌日が良い。
   ワーファリンは服用後5〜10日で、やっと治療領域になる。
   NOACからワーファリンに変更する際は、この点を考慮して投与量を決める。
   NOAC同士での変更は、腎機能の低下が無ければ次の服用の際に変更しても良い。
   抗血小板薬との併用の必要がなければ、抗血小板薬の中止後直ぐにNOACを服用して良い。
   (勿論併用の方が多いのですが。)

6) 食事との関係では、イグザレルトは食事の摂取が大事なので食後服用が原則
   他のNOACは食事との関係は無いので、何時でも服用可能
   PPIやH2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制剤との吸収に関する変化は、無視して良い程度
   薬剤を粉砕して投与しても影響は無いが、プラザキサは脱カプセルにより不安定になるので禁止
   されている。

7) NOACと他の薬剤の相互作用に関しては、以前の私のブログに簡単に纏めてありますのでご参照
   ください。本ガイドラインでは更に詳細に記載してありますので、下記にPDF化しました。

8) 合併症により多剤服用している場合はそれだけで相互作用の心配が生じますが、5剤以上や9剤
   以上でのアウトカムの変化はありませんでした。
   多剤服用に関しては十分な注意が求められますが、服用の利点が優先されるようです。

9) 代謝及び血液検査指標に関しても図表をご参照ください。

10) 出血に関する管理
   脳内出血や重態な出血に関して、NOACはワーファリンよりも優れています。
   しかし、NOACにも重態な出血の報告があり十分な注意管理が必要です。
   特に用量の適切化、過度のアルコール摂取、ステロイド服用、鎮痛解熱剤服用、抗血小板薬の併用
   等にも気を配らなくてはなりません。
   凝固検査はNOACの効果のみを反映していません。特に出血が重態な時は尚更です。
   一般的には利尿薬を使用し、NOACの半減期は短いので、その作用の減弱を待ちます。

11) 微小出血
   患者も医療従事者も軽く考える傾向だが、重大な出血に繋がる事もあるので、軽微な症状も把握
   するように患者の指導が大事である。
   一般的にはNOACの服用を遅らせるか、1回スキップする事で対応する。

12) 重態でない出血
   圧迫、内視鏡的処置、外科的処置、輸液が中心
   適切な利尿薬が全てのNOACに勧奨されている。
   特にプラザキサが有効(腎排出のため)

13) 重態な出血
   省略しますので原文をご参照ください。

14) リスクが微小な処置に対する対応
   一般的には12〜24時間空けてから処置を行う。
   実際には1日服用しないで処置を行い、6時間後に服用を再開する。

15) リスクが低度(low)の処置に対する対応
   腎機能が正常の場合は1日空けてから処置を実施する。

16) リスクが高度な処置
   2日空けてから実施する。
   ヘパリンへのbridgingは勧奨していない。

17) 脳梗塞後ではNOACにより出血を併発する可能性があり、注意が必要
   しかしワーファリンよりも安全とされている。
   一過性脳虚血発作(TIA)の場合は、MRIで脳内出血が無いのを確認後に、1日空けてNOACの
   服用を再開する。

18) 75歳以上
   年齢が増すに従って、心房細動は脳梗塞のリスクも増加させる。
   高齢者は当然NOACの服用適応である。しかし腎機能などの問題で、高齢者にはリクシアナが適
   している可能性があり、現在日本でスタディが進行中

19) 認知症
   家族等が服用に携わるのが適切である。

20) 肥満、痩身
   考慮しなくても良い。

21) 転倒の危険
   高齢者のフレイルと転倒は、NOACを服用する際に最も注意が必要です。
   しかし、その事だけでNOAC服用の禁忌事項にはならない。
   なぜならそのような高齢者は、最も脳梗塞のリスクが高いからです。
   エリキュースとリクシアナがこの場合、適応になるとしています。





私見)
 患者さんにNOACの利点を十分に理解してもらって注意事項を説明しないと、逆効果な時が間々
 あります。
 十分な時間をかけるように、スタッフの皆さん頑張りましょう。





noac The 2018 European Heart Rhythm Association.pdf

のNOAC文献より図表.pdf



         NOAC.png















posted by 斎賀一 at 19:50| Comment(0) | 循環器