2018年04月04日

PPI(胃酸分泌抑制剤)と大腿骨骨折の関係

PPI(胃酸分泌抑制剤)と大腿骨骨折の関係
 
Proton pump inhibitor use and risk of hip fractures among
community-dwelling persons with Alzheimer’s disease



0404.PNG




 PPIを服用するとカルシウムの吸収が低下して骨粗鬆症に繋がり、大腿骨骨折の危険が増加すると
言われています。また、PPIはビタミンB12欠乏症や筋疾患とも関係して、大腿骨骨折を引き起こすとも
言われています。
しかしそれに反対する論文も散見され、メカニズムとしてPPIとカルシウムの吸収の関係を否定する見解もあり、論争が起きています。

 今回の論文は、アルツハイマー病を罹患している人を対象に累積性で長期に渡り因果関係を調べて
います。対象をアルツハイマーに限定したのは合併症が多く、且つ大腿骨骨折の危険が高い疾病だから
です。従ってPPIの服用頻度も多くなります。


詳細は下記のPDFの表を参照して頂き、内容を簡単に纏めてみますと

1) 下記の如くアルツハイマー患者の70,718名の内、新たに大腿骨骨折を起こした4,818名の骨折群
   と、大腿骨骨折を起こしていない19,235名をコントロール群として調べています。
   平均年齢は84歳で75%が女性です。



        0404-2.PNG



2) 1年以上の長期及び累積性にPPIを服用しても、大腿骨骨折は増加していませんでした。
   ただ、現時点で服用している短期の場合に関しては若干の増加を認めています。

3) この関係はPPIの種類には関係ありませんでした。

4) PPIを服用する場合はそれなりの合併症を有する事を意味しますし、その事が結果に混乱を招いて
   しまいます。以前の関係ありとする論文は、この事の反映と長期に渡って調べていないからと論者は 
   解釈しています。

5) 今回の結果から、少なくともPPIの治療が必要な時には、PPIの長期処方はすべきと結論付けて
   います。





私見)
 PPIと大腿骨骨折の危険性は一応否定的ではありますが、肯定する論文もあり、私としては解析を十分
 に出来ませんので、長期にPPIを処方する場合は、力価の少ないPPIを使用すべきと考えます。
 また、H2ブロッカーで事足りればそれでよしと思っています。





大腿骨骨折 PPI.pdf

論文の表.pdf











posted by 斎賀一 at 19:10| Comment(0) | 消化器・PPI