2018年03月27日

胃癌の内視鏡的切除後の胃癌予防のための除菌療法

胃癌の内視鏡的切除後の胃癌予防のための除菌療法
 (異時性胃癌予防)

Helicobacter pylori Therapy for the Prevention of Metachronous
Gastric Cancer N Engl J Med 2018;378:1085-95



0327.PNG
      



 異時性胃癌の発生は、年間で3%あると言われています。
日本ではUemuraの論文が有名で、早期胃癌の粘膜切除(EMR)後にピロリ菌の除菌を行うと、その後
の早期胃癌の発生を抑制できるとされていました。しかし、その後の論文ではそれを否定するものも出ています。
以前に私のブログでも紹介しましたが、ある程度進展した萎縮性胃炎では(私の意見としては55歳以上)、除菌してもno-returnで、癌の進行を抑制出来ないとする見解もあります。WHOでも症状のない人での除菌は、エビデンスが低い事から推奨していません。

 今回、NEJMの韓国からの報告では、早期胃癌の粘膜切除後に除菌をすると、その後の胃癌発生を予防する事が出来たとしています。
韓国は日本と同様に胃癌の発生が多く内視鏡的切除術の発達した国ですので、結果は尊重しなくてはなりません。
やや複雑ですのでプロトコールを下記に示します。


           0327-3.PNG
 
 見づらいので後でPDF化します。

 最初にITT解析をして、粘膜切除の3年後に組織学的検査が出来なかった例などは除外して、更に解析したものをhistologic-analysisとしました。ITT解析もhistologic-analysisも同様の結果となり、除菌の効果は確かとしています。

1) 396人をランダマイズ化して治療群とプラセボ群に分けました。
   追跡は約6年間です。年齢は18~75歳です。
   治療群では14人に早期胃癌が発生して、プラセボ群では27人が発生していました。
   危険率は50%減少です。
   ピロリ菌が持続感染していた場合は、32/42に対して除菌成功例では9名が胃癌発生で、危険率は
   0.32と更に低下していました。

2) 萎縮性胃炎のグレードも除菌例では48.4%の改善でしたが、プラセボでは15.0%の改善に留
   まっていました。






私見)
  ITT解析についてはネットで調べましたのでPDF化しました。
 日本と同様に胃癌に対して撲滅を掲げている韓国からの報告ですので、胃癌治療後の除菌について
 参考にしなくてはならない論文だと思います。
 少し注意が必要なようで、早期胃癌の概念が世界と日本では異なり、今回の論文もVienna分類と
 なっています。
 また、対象年齢が平均で60歳ですし萎縮性胃炎も高度ですが、年齢別の解析は報告されていません。
 それにしても、有症状や胃癌治療後の除菌は考慮しなくてはならないようです。




NEJM.pdf

医療論文で見る統計用語【ITT( Intention to treat )解析】って何ですか?.pdf



















posted by 斎賀一 at 19:59| Comment(1) | 消化器・PPI