2018年03月24日

小児の片頭痛

小児の片頭痛



0324.PNG

       

 小児の片頭痛は典型的でなく、時に腹部症状のみで頭痛を伴わない事があります。
雑誌小児科より、小児に関する片頭痛の総説が載っていました。
良くまとめられていましたので掲載します。


1) 一次性頭痛(primary)と二次性頭痛(secondary)に分けます。

2) 筋緊張性(肩こり)頭痛から片頭痛に進展するものもあると解釈されていましたが、嘔吐悪心、
   光や音の過敏があれば、片頭痛として対処したほうが良いとしています。

3) 片頭痛は、中学生で4.8%、高校生で15.6%の頻度と意外に多いです。

4) 治療はイミグラン点鼻薬か、マクサルト経口が安全である。

5) 頭痛と一見関係ない症状が、片頭痛に移行する事が分かってきた。下記の4疾患がそれに含ま
   れる。


         0324-2.PNG

   小児の頭痛は持続時間が短く、前頭部がなり易い。
   頭痛前の、食欲不振や気分の変調といった漠然とした症状を予兆と捉え、視覚症状、感覚症状、
   言語障害は前兆とされる。

6) 本論文の表を下記にPDF化しました。





私見)
 本院でのストラテジーは、簡略に下記の様にしています。

 a : 腹痛で片頭痛を疑う場合は、ぺリアクチンシロップ
 b : 体重30kg以下の場合は、イミグラン鼻用を検討 (高価)
 c : 体重30kg以上の場合は、MRI実施後にマクサルト1/2錠を、保護者の了解のもとで処方
 d : 何れの場合も、頭痛があればブルフェンを併用

 本院では小児に頭部MRIを行い、血管異常(A-V malformation)が無い事を確認してからトリプタン  
 を処方しています。
 各トリプタンの特徴については、下記のPDFをご参照ください。

 尚、下記の書籍より、上記の反復性疾患について抜粋しました。



 a : 乳幼児診療AtoZ、小児科、2011年4月臨時増刊号
 b : 日本医師会雑誌、2015年、5月号
 c : その他関連文献を同時に掲載します。
 d : 失礼ながら、以前の雑誌小児科より拝借したものも掲載します。






雑誌小児科より本論文.pdf

周期性症状.pdf

トリプタンについて.pdf

雑誌、小児の片頭痛.pdf

小児の頭痛.pdf

文献小児の頭痛.pdf















posted by 斎賀一 at 15:43| Comment(1) | 小児科

2018年03月22日

血管炎;特にANCA関連血管炎

血管炎;特にANCA関連血管炎



0322.PNG
 


 MindsよりANCA関連血管炎のPART-Tが一般公開されましたので、この機会に勉強してみました。
尚、Mindsから以前に古いバージョンが出ていますが、内科学会教育講演から適切な総説が載って
いましたので、それを掲載します。 (ANCAとは抗体検査です。血管炎の診断には必須です。)

CHCC2012版より病名が変わっていますので注意いたします。



         0322-2.PNG



私が病理で勉強していた時は、この結節性動脈周囲炎が中心でしたが、上記の様に変遷しています。



         0322-3.PNG

         画像が悪いかもしれませんので下記にPDF化します。


ANCA関連血管炎(細血管炎)に関して、2012年前後にcleveland and clinic journalから総説が
出ていました。今でもそれが大変参考になっていますので、纏めてみます。


1) 細血管とは、細動脈、毛細血管、細静脈を意味し、そこに起きる血管炎では、臨床的に皮膚が主と
   なる。またそこで赤血球が漏出するため、触知出来る紫斑が出現。更に狭窄により標的臓器に循環
   障害を伴うため様々な症状が出現する。
    ・多発血管炎性肉芽腫症 (GPA)
    ・顕微鏡的多発血管炎 (MPA)
    ・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA)  の3種類がある。

2) GPAは90%に呼吸器系が侵される。 
   73%に耳、鼻腔に所見が現れる。
   蛋白尿、血尿が20%ある。 
   尿沈渣では変形した赤血球が認められる。
   疣贅などの皮膚病変が46%出現。

3) MPAは肉芽腫がない。
   腎症を82%起こす。
   皮膚、関節、肺を侵す。 
   肺出血(肺胞出血)は生命予後に関与する。

4) EGPAは喘息と好酸球症が特徴
    a. 前駆期、喘息と鼻炎
    b. 好酸球期、血液及び組織に認められる。 血液では好酸球が1,500以上
    c. 血管炎期、他の好酸球症と区別できるのは多臓器病変である。
      つまり神経、肺、消化器、腎、心臓を侵す。
      ほぼ100%に喘息、72%に多神経炎を伴う。

5) ANCA陽性率は下記の通りです。


         0322-4.PNG

 
  

下記の書籍を参照しました。

 1) 外来で診るリウマチ・膠原病Q&A : 日本医事新報社
 2) 見逃すと怖い血管炎 : 日本医事新報社
 3) 血管炎による消化管病変 : 胃と腸、10月号、2015年
 4) 小児科 : 8月号、2017年 (御免なさい)
 5) NEJM : 11月号、2017年 (本当に御免なさい)





私見)
 実地医家は、何時も研ぎ澄まされた感覚を持っていなくてはなりません。
 しかし直ぐに刃こぼれがしてしまいます。
 そのため、診断に関しては簡略化が最も大事です。
 例えば心雑音と発熱は心内膜炎、小児の発熱が続けば川崎病など。
 血管炎に関しては、肺病変、尿所見、皮膚疾患、消化器所見、どれかがあって、分からなければ
 血管炎!
 それじゃ〜なんでもありかよって。
 そうなんです!それでいいんです!私はAIには負けません!!






Clinical features and diagnosis of small-vessel vasculitis.pdf

見逃すと怖い血管炎新版.pdf

ANCA関連疾患.pdf

Polyangiitis.pdf

血管炎の消化器.pdf

血管炎教育講座.pdf

非典型的皮膚症状 anca.pdf













posted by 斎賀一 at 16:44| Comment(0) | 循環器

2018年03月20日

高齢者ではコレステロールが高い方が認知症にならない?

高齢者ではコレステロールが高い方が認知症にならない?

Outcome age-based prediction of successful
cognitive aging by total cholesterol
Published by Elsevier Inc. on behalf
of the Alzheimer’s Association



0320.PNG



 この件については、テレビなどでまことしやかに語られたり、脳は脂肪で出来ているからコレステロールを薬で下げると認知症になってしまう、とか言う話が流布しています。
一般的には高いコレステロールによる動脈硬化で、認知症にも負の影響があると懸念されています。
 今回の論文では高齢者、特に85歳以上を対象(outcome-age)にフラミンガム研究より、統計学的に調べています。


纏めますと

1) outcome-ageとは最終の調査対象年齢、threshold-ageとは認知機能が正常な最後の年齢、
   entry-ageとは中年で、コレステロールを最初に測定した年齢
   entry-ageからoutcome-ageまで、約40年前後となります。
   last cholesterolはthreshold-ageまでで最後に測定したコレステロール値、正常コレステ
   ロールは200mg以下で、高コレステロールは200mg以上を指します。

2) フラミンガム研究から5,079名を対象に、最終的に1,897名に絞りました。
   (早期の認知症発症例は除外していますので、小規模の人数となっています。)
   2つのグループ(outcome-age)に分けて検討しました。
   75~84歳(1,041名)の10年間と85~94歳(391名)の10年間です。

3) entry-ageからthreshold-ageまでのコレステロールの変化を、5つに分けました。
  (entry-ageで高コレステロール値、threshold-ageで高コレステロール値、平均値、直線状に増加、
   2次関数的に増加 : low もあり。)

4) {75~84}ではコレステロールが直線的に増加すると、認知症も36.7%増加する。
   一方、{85~94}では逆にコレステロールが直線的に増加すると、認知症のリスクが23.3%減少
   していた。



         0320-2.PNG



     
5) つまり経時的なコレステロールの変化と、outcome-age(統計の最終年齢)が変数(独立因子)と
   して重要である。

6) 高齢者では、高コレステロールが認知症の予防にとって有利に働いているのではなく、高齢になって
   も危険因子の高コレステロールに打ち勝つ何かがあるから、認知症にならないと推測しています。
   このような人の解析が今後の課題だと結んでいます。
   (揶揄した意見もありました。若い頃からバンバン、コレステロール値が高いのに、認知症になら
    ない人を研究したほうが良いのではと!)




私見)
 うまくまとめてくれてありがとう! と言いたい論文です。
 表はPDFで掲載します。
 日本の高齢者脂質異常のガイドラインを掲載します。




Outcome age-based prediction of successful cognitive aging by total choleste.pdf

認知症とコレステロール.pdf

高齢者脂質ガイドライン.pdf
















posted by 斎賀一 at 20:41| Comment(0) | 脂質異常