2018年03月31日

尿酸値と痛風との関係

尿酸値と痛風との関係

Relationship between serum urate concentration and clinically
evident incident gout: an individual participant data analysis



0331.PNG




 痛風とは、尿酸が関節に沈着し、それを異物と認識した白血球が遊走してきて貪食をする炎症過程が
痛風発作です。従って尿酸値が高いだけでは、又沈着だけでは痛風発作は起きません。
しかし以前より言われていますが、6−7−8の理論といって尿酸値が6が正常、7が要注意、8で
痛風発作とされていました。患者さんにも8以上では5人に1人は痛風発作が起きるから注意しましょう
と指導していましたが、今回その辺の事情を示す論文が出ました。
(男性と女性で正常値が異なると言った誤った情報がありますが、これは女性が閉経前では尿酸値が
低いから平均値が当然低値となるのであって、正常とはかけ離れた問題です。つまり、正常値は男女
とも同じです。)


前置きはさておき本論文を纏めてみますと、

 1) 女性では尿酸値が高くても、男性に比して痛風になりにくいのは高尿酸血症になって3年間だけで、
    やがて10〜15年経つと男性と同等の痛風罹患率となる。
    つまり、女性では高尿酸に晒されるのが閉経後だから、高尿酸血症が長くなればなるほど痛風の
    罹患率は男女とも結局同じ様に増加する。

 2) 212,363人の痛風の既往のない人を対象に研究しています。
    平均経過観察期間は11.2年です。

 3) 痛風発作の累積を3年、5年、10年、15年と調べました。

 4) 最初のベースラインの尿酸値が6mg/dlと比較すると、15年間の長期に高尿酸血症に晒されると
    6.0~6.9では3倍、7.0~7.9では6倍、8.0~8.9では15倍、9.0~9.9では30倍、10.0以上では
    60倍の痛風発作率です。
    結論的には15年間の累積では6.0以下では1.1%であるが、10.0以上では49%の痛風発作の
    発生頻度であった。
    つまり性差、年齢、高尿酸血症の期間が痛風発作の要因となる。

 5) 中等度の高尿酸血症では痛風発作の頻度は低いし、高度な高尿酸血症でも必ずしも痛風発作に
    なるとは限らない。長期間でも発作が無い場合もある。
    なぜ痛風発作にならないかは尿酸の結晶形成を促進する因子、遺伝的背景、環境因子、
    炎症の反応の相違が関係しているかもしれないとしています。




私見)
 痛風発作の既往が無い人には、高尿酸血症があるからと言って直ちに薬物療法をしなくても良いかも
しれません。
 但し、心血管疾患との関係も問題視されていますので他の危険因子とも勘案して注意深く観察する
必要はあります。
  以前の私のブログも参照ください(尿酸で検索)



Relationship between serum urate concentration and clinically e.pdf









posted by 斎賀一 at 15:01| Comment(2) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2018年03月30日

治療抵抗性高血圧症にはスピロノラクトン

治療抵抗性高血圧症にはスピロノラクトン
          <ツイッター版>
 
Spironolactone Versus Clonidine as a Fourth-
Drug Therapy for Resistant Hypertension





 ブラジルのReHOT研究の報告です。
降圧剤としては降圧利尿薬、カルシウム拮抗薬(CCB)、ARB(または ACE-I)の3種類が主ですが、
その併用を3か月間行っても、目標血圧140/90以下にならない場合を治療抵抗性としています。その
場合はスピロノラクトンを追加する事が裏ワザとして知られていますが、今回の論文はそれを検証する
研究です。



1) 高血圧患者1,597名を対象にしています。その内187名(11.7%)が治療抵抗性でした。
   この治療抵抗性患者は脳梗塞、糖尿病、腎機能低下になる可能性が高いとされており看過できない
   問題です。

2) 治療抵抗性の内162名をスピロノラクトン(アルダクトンA、セララ)、またはクロニジン(アプレゾリン)
   を従来の処方に追加した2群に分けて検討しました。

3) スピロノラクトンはクロニジンに対して非劣性であり、24時間血圧計では優位、で副反応も同程度
   であった。しかし、目標血圧の到達は21%程度であった。





私見)
 アプレゾリンは現在使用していません。
 (私の医師に成りかけの時はダイクロ-Sかセルアプでした。このアプがアプレゾリンです。) 
 本院でも第四の薬剤としてスピロノラクトンを使用していますが、そのような治療抵抗性患者は1/10人
 おり、第四の降圧剤を追加しても、その目標達成は1/5人と少ない事を認識しておくことが大事なよう
 です。予後の点を考えて、治療抵抗性患者には処方の検討や、更なるライフスタイルの改善を勧めて
 いかなくてはなりません。




https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT01643434

reHOT研究.pdf

降圧剤 カルデナリン アプレゾリン.pdf







posted by 斎賀一 at 19:58| Comment(0) | 循環器

2018年03月29日

糖尿病治療薬(DPP-4阻害薬)と潰瘍性大腸炎

糖尿病治療薬(DPP-4阻害薬)と潰瘍性大腸炎
 
Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and incidence of
inflammatory bowel disease among patients with
type 2 diabetes: population based cohort study



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 DPP-4阻害薬は今や糖尿病治療薬の中で重要な薬剤であり、第二〜第三選択肢となっています。
しかし予期しない作用も懸念されています。DPP-4は色々な細胞表面に存在しており、生物学的作用をしているとの事です。その代表が自己免疫に関する作用です。それに対して阻害作用引き起こす事が、生物学的にどのような結果をもたらすかが懸念されています。
 動物実験では、DPP-4阻害薬が潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の活動を抑制的に働く、とのデータもあります。しかし逆に人体では、正常者に比して潰瘍性大腸炎患者では血液中にDPP-4の濃度が減少しているとのデータもあり、この事から推測すると、DPP-4阻害薬は潰瘍性大腸炎にとっては不利益に働くことになります。
それらを踏まて、DPP-4阻害薬と炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)との関係を調べた論文が、英国のBMJより発表になりました。


纏めてみますと

1) 新たにU型糖尿病と診断された18歳以上の人で、インスリン以外の治療を開始した人を対象にして
   います。1988~2016年に登録をしています。
   141,170人の登録の内、DPP-4阻害薬を服用していた人は 30,488人 (21.6%)でした。

2) 平均3.6年間経過観察して、208人の新たな炎症性腸疾患(IBD)が発生しています。
   37.5人/100,00人/年の率です。

3) DPP-4阻害薬を服用していると、75%の増加でIBDが発生する。
   DPP-4阻害薬と他の糖尿病治療薬を比較すると、53.4対34.5/100,00人/年で、危険率は1.75と
   増加しています。
   発生は服用後徐々に増加して3~4年がピークとなるが、その後は減少してくる傾向でした。
   発生頻度はかなり低率です。
   最初に2年間では2,291人に1人、4年間では1,177人に1人の割合です。

4) 自己免疫疾患や家族歴に炎症性腸疾患がある人に対しては、DPP-4阻害薬は注意が必要として
   います。





私見)
 かなりの低率でホッとしましたし、本院では潰瘍性大腸炎と糖尿病を合併している人は殆どいません。
 但し、薬剤は全身の受容体に働くことも、常に認識していなくてはいけないようです。




Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and incidence of inflammatory.pdf

DPP‐4阻害薬.pdf












posted by 斎賀一 at 13:28| Comment(1) | 糖尿病