2018年02月02日

マイコプラズマ症の今日的問題点

マイコプラズマ症の今日的問題点

雑誌小児科:1月号・2018年  成田光生


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 実地医家にとってマイコプラズマ症は大きな関門だと思っています。
実際に治療するためばかりでなく、鑑別診断をするためにも避けては通れない疾患です。
小児科の今月号に論文が載っており、認識を新たにしましたので纏めてみました。


1) マイコプラズマは表在感染で、組織の中に侵入する能力はなく、増殖は極めて遅く感染力も強くない。

2) 検査感度は流行状況により左右される。

3) 検査法に関しては私の以前のブログをご参照ください。

4) 抗生剤の耐性についてテトラサイクリンは起きないが、キノロン系は高率に耐性となるので警戒を
   要する。
   マクロライド系ではジスロマックが耐性の原因で、クラリスより変異が入り易く耐性菌増加に繋がる。
   中国では耐性率が90%以上であるのは全例ジスロマックで治療しているからで、台湾では耐性率が
   30%と低いのはクラリスも使用しているからと思われる。スウェーデンのガイドラインでは、ジスロ
   マックは反推奨されており、耐性率は0%である。日本では耐性率が地域差の狭い範囲において
   著明である。
   マイコプラズマは濃厚接触により感染するので集団感染が発生するが、この場合耐性菌が優位と
   なることがある。

5) 耐性菌は増殖能力が劣る。耐性が出現しても臨床経過は良好で、耐性は治癒を左右する因子では
   ない。

6) マイコプラズマ肺炎の重症度の指標として、血清LDHが推奨されている。
   重症例ではプレドニンは1mg/kg/日の短期使用を勧めている。

7) 現在、耐性化率は減少している。マクロライドの効きが多少悪いのは、耐性化が関係しているとは
   思えない。
   クラリスを優先的に用いて、安易なキノロン系の使用を避ける事が大事。





私見)
 マイコプラズマの治療に関しては変遷があったと思います。
何かわからない呼吸器感染症に対してはマクロライド系を使用したり、重症例にはマクロライド系+キノロン系(又はセフェム系)を被せたり、クラリスは効果が無く、ジスロマックに頼っていたり、そうこうするうちにマクロライドの耐性化が問題に浮上してテトラサイクリン系が良いとなり、ミノマイシンの幼児での使用も許可されたり、結局小児科学会からはクラリスの第一選択を推奨する案内が出たりと、実地医家にとっても右往左往の感じでした。


今回の論文より本院では
第一選択にはクラリス、やや重症感があればテトラサイクリン系
しかし、印象では切れ味はオゼックスが一番だと思いますので、キノロン系は最後にとっておく。  
それにしましても、キノロン系の多用は実地医家にとって十分に警戒しなくてはなりません。




マイコプラズマ抜粋.pdf





posted by 斎賀一 at 21:30| Comment(1) | 小児科