2018年02月16日

ホットなお茶は食道がんの危険因子

ホットなお茶は食道がんの危険因子
            <ツイッター版>
Hot Tea and Esophageal Cancer



 アルコールやタバコを嗜む人にとっては、熱いお茶は危険因子となるようです。
中国からの報告ですのでhot teaとは紅茶でなく、一般的なコーヒーを含めたお茶を指すものと思います。

1) 2004~2008年間に456,155人を登録しています。
   30~79歳を2015年まで平均で9.2年間調査しています。
   食道癌は1,731例報告されました。

2) ホットなお茶だけを嗜む人と比べて、アルコールと喫煙を同時に嗜む人は明らかに食道癌が増加
   していました。

3) 極めて熱いお茶(burning hot tea)を飲んで、お酒も一日15g嗜むと食道がんのリスクは5倍
   増加、burning hot teaと喫煙をすると危険率は2倍増加する。

4) 論者はアルコールやタバコを嗜む人はホットなお茶は控えるべきとしています。
    (些か主客逆転の感がしますが ...。)

5) medscapeからの解説によりますと、ホットなお茶により食道の粘膜が阻害され、そこにアル
   コールやタバコの発癌性物質が作用(initiate)して食道癌が生じるとしています。
   149華氏(65°摂氏)以下を推奨しています。
   この温度は出来立てコーヒーの温度と同じです。一服置いてから飲むのが良いとしています。





私見)
 最近まで熱々のお湯をポットから注いでホット紅茶を作り、魔法瓶に入れて診療中に飲んでいましたが
 直ぐに止めます。






Hot Tea and Esophageal Cancer _ Annals of Internal Medicine _ American Colle.pdf












posted by 斎賀一 at 20:51| Comment(1) | 消化器・PPI

2018年02月14日

インフルエンザは空気感染する?

インフルエンザは空気感染する?
             <ツイッター版>
  
Infectious virus in exhaled breath of symptomatic
seasonal influenza cases from a college community



 どの様にしてインフルエンザが伝播するかに関しては、以前のNEJMの動画からも飛沫感染が主体で空気感染の可能性は低く、一般的なマスクで良いとしていました。 (私の思い違いかも?)
今回のPNASからの論文では空気感染の可能性もあり、しかも咳やクシャミをしていなくても呼吸だけで他人に伝播するとの事です。



1) インフルエンザと診断された大学内での142人が対象です。
   2012~2013年の季節性インフルエンザの時期に調査を行っています。

2) 患者サンプルは鼻咽頭スワブと30分間の呼気からです。(fineは5μ以下、courseは5μ以上で両者
   を採取。つまりfineは空気感染で、courseは飛沫感染を意味します。)

3) 登録者は発病3日以内で普通の呼吸、会話、咳、クシャミにおける状態で採取しています。

4) インフルエンザウイルスは、呼気のfine粒子の中に意外に長い時間いる事が分かり、空気中に漂う
   かもしれない様です。

     ※鼻咽頭のスワブで89%、呼気のfine粒子の中に39%存在していました。

5) 咳やクシャミをしなくても普通の呼吸でウイルスは飛散していました。





私見)
 勿論マスクは他人にうつさない点では重要ですが、個人の防御の点では不十分とのガイドラインです。
 手洗い励行も併せて推奨しています。
 どのマスクを用いるかは、来たる新型インフルエンザに備える観点からも重要になりそうです。
 日本での学級閉鎖は高く評価されています。
 また、以前のpmd09の際のCDCからの報告では空気感染の可能性は低いとする論文もありました
 が ...!?





seasonal influenza cases from a college community.pdf






posted by 斎賀一 at 19:16| Comment(1) | インフルエンザ

2018年02月13日

インフルエンザの抗原原罪説など

インフルエンザの抗原原罪説など

Epidemiological Data on the Effectiveness of Influenza Vaccine




0213.PNG


 

 IDSAより、インフルエンザ・ワクチンに対する総説がありました。
前段として、インフルエンザに対する抗原原罪説を解説します。
免疫細胞としてはTとBリンパ球があります。



        0213-2.PNG




 上の図のDCが最初にインフルエンザウイルスに接触して、その情報をNT(ナイーブT細胞)に伝達し
ます。
更に情報をもって、NTはCD8とCD4という抗体を作るT細胞に分化します。その後はCD8とCD4はアポ
トーシスを起こして死滅します。しかしインフルエンザの情報はTh1とTh2というT細胞に記憶されます。
その後再びインフルエンザに罹患すると、直接記憶細胞のTh1Th2が働き抗体を作ります。
 (ナイーブT細胞までさかのぼっては時間が掛かってしまいますので、最初から記憶細胞が作動します。
上の図はその辺がごちゃ混ぜになっています。)
これでめでたしといきたいのですが、新種のインフルエンザウイルスが出現した場合はナイーブT細胞から始めなくてはならないのですが、似たような部分がインフルエンザウイルスにあると、それが働いてナイーブT細胞の働きを抑制してしまいます。つまりインフルエンザウイルスが変異すると、それにマッチングした(適応している)ワクチンを接種しても、以前にそれに似たインフルエンザに罹ったことがある人は、抗体産生が抑制されてしまいます。これが原罪説です。
 (結局、以前に同じ系統のH1N1インフルエンザに罹患した人はウイルスに変異があると、それに対応したワクチンでも効きにくい。効果があるのはワクチンのお蔭と言うよりはワクチンのブスター効果で、60%あると推定されています。)


更に参考資料として、
1918 : スペインかぜはH1N1
1957 : アジアかぜとしてH2N2発生して、同時にH1N1は消失
1968 : 香港かぜはH3N2が発生して、同時にH2N2は消失
1977 : ソ連かぜはH1N1で再び登場

その後はH1N1とH3N2が同時に流行する。

2009 : H1N1pdmが発生 (真の意味のpandemicではありませんでした。)



以上を踏まえて論文を纏めてみました。


1) 2009年以来H1N1pdm09が流行していますが、マイナーな変異を繰り返しています。
   2013年に変異の6B-cladeが見つかり、2015年には6B1が同定されています。
   それに従って、H1N1に対するワクチンの効果も2010年では69%、2014年では56%、2016年
   では47%と低下しています。
   この2016年を世代で解析しますと、1958~1979年生まれの人は、ワクチンの効果はたったの
   22%でした。つまりこの間(1958~1979)はH1N1の流行が無い時期でしたが、1977年に再び
   H1N1が出現しています。
   1957年以前の人は、H1N1に晒されているので以前からある抗体が直接反応しましたが、1958
   ~1979年生まれの人は、1977年頃よりH1N1に晒されました。
   しかし、pmd09の流行の際には直接感染しても又はワクチンを受けても抗原原罪説により、ナイー
   ブT細胞が抑制されてしまい、十分な抗体産生に至りませんでした。
   その抗原原罪説の効果は、人生の早期に晒されればされる程(つまり1958年に近く生まれた人程)
   長期に亘り作用してしまいます。

2) インフルエンザウイルスの変異は人間の免疫機能が関与するという論文も紹介しています。
   それによりますと、H1N1pdm09の変異の6Bの部位にあるK163は1977年のウイルスにもあり、
   それが2009年のワクチン接種により呼び起こされて、しかもアミノ酸の一部が変化したためにその後
   のパンデミック、pdm09の流行になったと推定しています。
   研究段階であり確証はないが、今後の進展が待たれるとしています。

3) H3N2は一般的に変異が激しくて、ワクチンの卵での生成過程でも変化してしまう。

4) 今後は統計学的なデータの集積も重要だが、monoclonar抗体などの検査を駆使しての検討も大事
   である。





私見)
 ワクチンの効果は全年齢層を並べて考えるのでなく、特別に効果が少ない世代があると言う事実も重要
 なようです。
 その点は配慮の必要性がありますが、現実としてワクチンは有効な手段です。
 現段階ではブスター効果を期待して、毎年接種する事をお勧めします。






Epidemiological Data on the Effectiveness of Influenza.pdf

Monoclonal_antibody1.pdf















posted by 斎賀一 at 21:42| Comment(0) | インフルエンザ