2018年02月28日

超音波は胎児に安全か?

超音波は胎児に安全か?

Association of Prenatal Ultrasonography and Autism Spectrum Disorder
JAMA Pediatrics Published online February 12, 2018



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 超音波は安全で繰り返し検査が出来る点からも、日常の診断にとっては今や欠かせません。
また、胎児への影響もなく妊婦における検査も周産時診断、及び治療の目まぐるしい進歩と相まって
盛んに行われています。
しかし、安全と言っても以前の超音波装置でのデータであり、最近の超音波の急速な発展においては
そのエネルギーが大きくなり、胎児での安全性を検証した論文は皆無とのことです。
今回のJAMAの論文は、最新の超音波装置での自閉症との関係を調査しています。



論文を纏めてみますと

1) 自閉症は、欧米では現在 1人/68人の発生と増加傾向になっています。
   これは、診断基準が以前と変わったことが一番の原因と思われていますが、その他には環境毒性、
   妊婦の肥満、糖尿病、単純ヘルペスなどが挙げられている。
   しかしその中で超音波装置の妊婦への使用頻度は、以前と比べても著しく増加している。  
   その点で安全としているデータは殆どが1992年以前の論文であり、使用していた超音波装置も現在
   の装置と比べてパワーが弱い物を用いていた。

2) 自閉症と社会経済的問題が関係しているとのデータもあり、特に貧困家庭では医療機関へのアク
   セスが悪く、そのため自閉症児ではエコー検査を受ける頻度が少ないと言うバイアスがあるかもしれ
   ない。

3) 対象を自閉症群、発達遅延群、正常発達群の3群に分けて検索しています。
   妊娠初期、中期、後期における超音波装置の使用程度を調べました。

4) 結論的には
   ・自閉症では発達遅延群と比較して妊婦初期での超音波装置の深さ(depth)と関係があった。
   ・自閉症は正常発達群と比較して、妊娠初期と中期での超音波装置の深さとの関係があった。
   ・しかし、超音波装置の暴露の使用頻度や期間との因果関係はハッキリとしなかった。
    またカラードプラー、3D、4D、とも関連性は認めていない。

5) depthとの関連があるのは、次の様に解析しています。
   超音波が深ければエネルギーは減弱するが扇型に超音波は拡散していくので、全体としては胎児へ
   の影響は多くなる。また解散した超音波が胎児の頭蓋骨に当たり、熱を帯びるため周辺の神経組織
   にも悪影響となる。

6) 論者は次のように結論付けています。
   ・ドプラーはパワーが強く発熱効果も高いので、必要性を十分に勘案すべきである。
    アメリカ産婦人科学会では3Dと4Dの有用性を認めていない。
   ・一般的には超音波検査は安全と思われているが、影響を受けやすい胎児もいると想像されるので、
    検査を行なう場合はdepthなどのパワーの制限等に十分な注意が必要である。






私見)
 それ程の心配はないものと思いますが、妊婦では十分な配慮が必要なようです。
 其々のデータは下記のPDFで掲載します。
 (若干、超音波検査に対して最初より色眼鏡で見ていないかと思ってしまいますが、現時点では未だ
  グレイゾーンの部分もあり、depth等のパワーを制限しての検査が必要なようです。)






自閉症とエコー.pdf

least-square-method.pdf









posted by 斎賀一 at 19:36| Comment(0) | 小児科

2018年02月27日

降圧剤の他剤追加処方は有効

降圧剤の他剤追加処方は有効

Incremental effects of antihypertensive
drugs: instrumental variable analysis



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 以前のブログでも紹介しました厳格療法(120以下を目標)を推奨した、SPRINT研究での観察研究という方法を操作変数法で解析し直した論文が、BMJに少し前に発表になっています。
降圧薬の多剤併用を患者さんにお勧めしている関係で、本ブログでも掲載いたします。

 以前は降圧剤を追加するに従って、その効果は残念ながら減少してしまい、却って副作用が増してしまうと言った報告がありましたが、今回の解析結果では、作用機序の異なる降圧剤を追加する事により降圧効果は増してゆき、しかも副作用は同程度で、累積的に増加はしないとの事です。

詳細な結果はPDFのグラフをご参照ください。





私見)
 論者も述べていますが、問題は費用対効果です。
 また、アドヘアランス(飲み忘れ予防効果)の為にも合剤が有効との事で今後本院でも検討してまいり
 ます。





降圧剤の併用.pdf

Incremental effects of antihypertensive drugs.pdf








 
posted by 斎賀一 at 20:18| Comment(0) | 循環器

2018年02月24日

高血圧症の初期治療

高血圧症の初期治療
 
Initial Treatment of Hypertension
N Engl J Med 2018;378:636-44.



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 NEJMに高血圧症の初期治療に関する総説が載っていましたので、参考になる部分だけを纏めて
みました。



1) 高血圧症の増加に伴い、年ごとに高血圧の診断基準の閾値が低下傾向である。
   AHAの高血圧の診断基準を、140から130に下げた。
   (AHAのガイドラインはSPRINT研究の発表前にコンセンサスが得られていたため、その結果は反映
    されずコメントとなったようです。)

2) 家庭血圧の測定方法は、5分間座位で安静後に測定する。

3) 仮面高血圧症を疑う場合は、医院での血圧が安定しているのに家庭血圧が高い場合や、血圧が
   安定しているのに臓器障害が進んでいる場合に疑う。
  
4) 高齢者の場合は座位ばかりでなく、起立での血圧の測定も同時に行う。

5) ステージTの場合は、10年リスクの判定をして10%以上の時に薬物療法を考える。

6) 食塩制限、運動、アルコール制限、カリウムの摂取、鎮痛薬(NSAID)服用のチェック、タバコ、
   心身の安定などのライフスタイルの改善

7) 過去の重要なスタディ(研究)を挙げている。
   ALLHATは降圧利尿薬の有効性を証明
   ACCORDは厳格治療の不利益性を提示
   SPRINTは逆に厳格治療の利点を証明し高齢者にもこの事が適用されるとした。(私のブログを参照
   してください。)

8)薬物治療に関しては
  65歳以上に降圧利尿薬を第一に選択する場合は注意が必要となる。
  2週間後には電解質の検査が必要で、もし低ナトリウム血症が進んでいたら、他の薬剤に変更
  カルシウム阻害薬では浮腫、便秘に注意
  一剤の量を増やすより多剤少量療法の方が効果があり、且つ副作用も少ないとのデータが最近でも
  蓄積されている。 
  合剤の方がアドヘアランス(飲み忘れ予防)が高いので推奨





私見)
 ガイドラインの比較は下記のPDFをご参照ください。
 またAHAのガイドラインに関しては、私のブログ(2017-11-20)をご参照ください。




初期治療高血圧.pdf






 
posted by 斎賀一 at 16:14| Comment(0) | 循環器