2018年01月11日

65歳以上の高齢者には毎年インフルエンザのワクチンを接種しましょう

65歳以上の高齢者には毎年インフルエンザのワクチンを接種しましょう

Repeated influenza vaccination for preventing severe and fatal influenza
infection in older adults: a multicentre case–control study



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 前シーズンのインフルエンザワクチンの効果が残っていると言うデータと、それに反対するデータがありますが、今回のスペインからの論文からは、毎年インフルエンザワクチンを接種することにより重症化を防げるとしています。
特に65歳以上の高齢者には顕著でした。


纏めますと

1) スペインでは、2013~2014年と2014~2015年にはA(H1N1)とA(H3N2)が流行していますが、
   何れもワクチンとマッチングしていました。   
   A(H1N1)は325名、A(H3N2)は256名を対象にしています。

2) 当該シーズンといずれかの3シーズン前のインフルエンザワクチンを接種しておけば、入院率を31%
   減少させ、ICUの受診も70%に減少していました。

3) 繰り返してインフルエンザワクチンを接種する事が、インフルエンザの重症化を防いでいます。

4) この解釈として論者は、ワクチンの液性抗体には限界があるが、細胞免疫であるT-細胞が予防効果
   には主流とのことで、このT-細胞が特に高齢者では減弱しているためとしています。





  
私見)
 細かい結果は下記のPDFを参照してください。
 何はともあれ巷間に流布しているワクチン無用論に対して力強い論文といった印象です。来シーズンも
 ワクチン接種を勧めてまいりましょう。





E3.full.pdf

インフワクチンの効果.pdf














posted by 斎賀一 at 15:05| Comment(2) | インフルエンザ

2018年01月09日

高カリウム血症の診断と治療

高カリウム血症の診断と治療
 
Diagnosis and treatment of hyperkalemia



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 最近、本院で高カリウム血症の患者さんが受診されました。
たまたまCleveland Clinic Journalの11月号で、総説が掲載されていましたので纏めてみました。


1) カリウムの98%が細胞内にあり、残りの2%が細胞外に存在しています。
   その電位差が、心臓と神経の細胞の興奮に関与しています。
   この電位差をコントロールしているのはインスリンとβ-交感神経です。
   腎機能が正常ならば大量のカリウムを腎臓から排出するので、高カリウム血症は起きない。
   石器時代の人類は、現在より4倍も多くのカリウムを摂取していたので、腎臓のカリウム排出能力は
   進化してきたが、農耕文化の発展によりカリウムの摂取は低下して、代わりにナトリウムの摂取が増
   加した。
   石器時代から遺伝子的にコードされているナトリウムを腎臓で再吸収して、カリウムを排出すると
   言った機能とは裏腹に(従来は大事なナトリウムを再吸収して、余分なカリウムを排出するといった
   Na-Kチャンネル)現在の食事は高ナトリウムで、以前より低カリウム食となっている。
   つまり、ナトリウムが既に体内に余分に蓄積しており、その結果Na-Kの交換チャンネルがそれ程
   一生懸命に働くなり、結果的にカリウムの排出が低下しやすい状況となっている。
   この食事とのミスマッチングが高血圧、脳卒中、腎結石、骨疾患に繋がると言われている。


2) 高カリウムの原因     ※下記のPDFを参照
   1 : 採血時の問題 ・・・ 採血の針が細すぎる、溶血等
   2 : 食事 ・・・ ポテト、メロン、アボカド、ジュース等の摂り過ぎ
   3 : 細胞内から細胞外へのカリウムの移動
       a : (組織破壊) 外傷、横紋筋融解症、溶血性疾患、腫瘍             
       b : (インスリン不足) 食事後のカリウムは、腎排出が作用する前にインスリンが
                      カリウムをコントロールしているのでインスリン不足は
                      直接的に高カリウムとなる。
       c : (運動とβブロッカー) 運動により筋肉からカリウムが排出
       d : (代謝性アシドーシス) 血清のナトリウムとクロールで判定 (Na−Clが30以下)
                         次回にブログで予定。
       e : (高浸透圧) 高血糖

   4 : 腎疾患
        随時尿でカリウム/クレアチニン比が20以上では、腎臓は正常に反応している。
        反対に1以下なら低カリウムの原因は腎臓意外。
        尿量を測定する事は重要、特に乏尿では急性腎障害を考える。
        慢性腎疾患(CKD)では腎の予備能力があるので、GFRが15以下にならないと高カリウム
        とはならない。

   5 : 薬剤性
        ステロイド、降圧薬 (ARB 、アルダクトン、セララ)
        NSAIDs(鎮痛解熱剤)、βブロッカー、ヘパリン(アルドステロンの合成が可逆的に阻害さ
        れる。)     ※ 下記のPDFを参照
          
   
3) 症状は筋肉の痙攣、神経の錯感覚症。進展すると麻痺
   問題は心臓
   心筋細胞の脱分極に関与するので重要
   しかし心電図変化は高カリウム血症でも16/90例しか認められず、不整脈や心停止が起った場合に
   1/14例しか心電図に高カリウム血症の変化が出ていない。
   心電図に高カリウム血症の変化が出現した場合は直ぐに治療を要するが、心電図変化が無いと
   言って安心は出来ない。    ※下記のPDF参照


4) 急性治療
   カルシウムの点滴
   インスリン点滴
   ブドウ糖50grに対してインスリン10単位
   β-刺激薬

  
5) 慢性治療
   NSAIDsの中止、漢方薬のチェック、
   ACE-IとARBは投与量を最小にする。
   利尿薬を処方
   サイアザイド系はGFRが30以上の時
   ループ利尿薬はそれ以下の時





私見)
 高カリウム血症の診断は、多岐に亘り慎重を要します。
 場合により緊急性もあります。
 UPTODATEのストラテギーを下記に掲載します。
 5.5以上は要注意のようです。
 また、酸塩基平衡とも関係しますので次回にブログして勉強しましょう。





hyperkalemia.pdf

高カリウム血症.pdf   

uptadateよりのストラテジー.pdf

カリウム足りてる.pdf














posted by 斎賀一 at 20:51| Comment(1) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2018年01月06日

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期治療の注意:LABAとLAMAに関して

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期治療の注意:LABAとLAMAに関して

Association of Cardiovascular Risk With
Inhaled Long-Acting Bronchodilators in Patients
With Chronic Obstructive Pulmonary Disease



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 COPDの治療に長期作用型の気管支拡張薬であるLABAとLAMAは、色々な研究よりその有効性が
証明されていますが、喘息の時にLABAに対する注意勧告が出たように、COPDに関しても大丈夫か
との心配がありましたが、やはりと言うか、台湾より警告する論文が出ており、多数のネットでも紹介
されています。
その有効性を鑑みて本院の方針を記載したいと思います。



論文の主旨は

1) 40歳以上で、1年間に2回以上の外来受診か1回の入院歴のあるCOPD患者に新たにLABAか
   LAMAを処方して、心血管疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全、脳梗塞)の発生を調べています。

2) 146,139名中37,719名が重症の心血管疾患を併発していました。

3) 処方後の30日以内での心血管疾患の危険率は
   LABAで1.5、LAMAで1.52、LABA+LAMAで2.03でした。
   しかし、30日を過ぎると危険率は下がり、70~240日で、処方していない患者との差は無くなって
   いました。

4) 尚、心血管疾患や、以前のCOPDの急性増悪の既往歴とは関連性がありませんでした。またLAMA
   の用量とも相関関係を認めていません。






私見)
 心血管疾患のある患者さんに処方する前に、心血管のチェックをする事は大事ですが、それだけで安心とは言えないようです。COPD患者さんが吸入を追加していく場合は急を要するので、著者は心血管の治療を並行して行う事を勧めています。
 ガイドラインに添って先ずLAMAより開始するようにしますが、少量なら安全、ともいかないようです。
対策として処方する場合は、効果と心疾患の発生のチェックのため、1週間隔の来院が大事なようです。
用量とは関係ないとの事ですが、LABAとLAMAの合剤は1吸入ずつを1日2回としてはどうかと思いますが?(本院では以前よりそうしていましたので...。これは自己満足?)





Cardiovascular Risk and Inhaled Long-Acting Bronchodilators _ A.pdf

気管支拡張薬外用剤型一覧(1).pdf

スピオルト レスピマット 60吸入.pdf















posted by 斎賀一 at 15:15| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー