2018年01月31日

インフルエンザは心筋梗塞を誘発する

インフルエンザは心筋梗塞を誘発する

Acute Myocardial Infarction after Laboratory-Confirmed
                n engl j med 378;4 nejm.org January 25, 2018


0131.PNG


 

 ウイルス性呼吸器疾患、特にインフルエンザ感染後に心筋梗塞になる確率が高い、との報告がNEJMに掲載されていましたので纏めてみました。


1) カナダのOntarioからの報告です。
   2008~2015の心筋梗塞で入院した人を対象にしています。
   研究のデザインと対象者の選別については、下記のPDFを参照にして下さい。
    (かなりユニークなデザインだと感心しています。)

2 )インフルエンザ陽性判定の前後それぞれ 1 年以内に発生した急性心筋梗塞による入院は 364 件
   同定された。このうち 20 件(1 週あたりの入院件数 20.0 件)はリスク期間に発生し、344 件
   (1 週あたりの入院件数 3.3 件)は対照期間に発生していた。
   リスク期間における急性心筋梗塞による入院の対照期間と比較した発生率比は 6.05(95%信頼
   区間 [CI] 3.86〜9.50)であった。




         0131-2.PNG



上のグラフの淡いグリーンがリスク期間中で、濃いグリーンが対象期間を表します。
結論的にはインフルエンザに罹患しているリスク期間中(1週間)はコントロール期間と比較すると6倍の危険率です。
特にインフルエンザ同定の3日以内が危険率も高いようです。

3) インフルエンザのワクチン接種の有用性に関する研究デザインでないので、それに関してのコメ
   ントは控えています。しかし他の文献やガイドラインより、ワクチンの接種及び手洗い励行などの
   予防は必須と論者は述べています。

4) 急性冠症候群は炎症が関与しており、インフルエンザを含めた感染症の炎症ストレスが、血管内皮
   の障害や血小板の活性、低酸素、血管収縮を起こして血栓形成に繋がると推定しています。






私見)
 65歳以上のインフルエンザ患者さんでは、罹患の1週間は急性冠症候群の症状に注意が必要です。
データは下記のPDFを参照ください。





インフと心筋梗塞.pdf










posted by 斎賀一 at 20:14| Comment(0) | 循環器

2018年01月30日

慢性腎疾患における高血圧治療の意義

慢性腎疾患における高血圧治療の意義
                               帝京;寺脇博之教授講演より

          

0130.PNG




1月25日に五井グランドホテルで講演があたので、纏めてみました。


1) 血液透析患者の、その当日の早朝血圧が心血管疾患と関連していた。

2) 腹膜透析患者の心肥大は、早朝高血圧が深く関連していた。

3) 慢性腎疾患(CKD)に白衣高血圧はあまり関係なく、仮面高血圧や持続性高血圧が関連していた。
   その際に降圧剤を服用しているかは問題でなく、早朝血圧がコントロールされているかがCKDの
   予後に関連していた。

4) 降圧剤を就寝前に服用する事は早朝高血圧の治療に効果があり、且つ尿蛋白の抑制にもつながる。
   その場合、夜間血圧の低下の心配はない。
   (寺脇先生の説明では寝ている時は臥症であるから、就寝前での降圧薬の服用による血圧の変動の
   心配はなく、寧ろαブロッカー(カルデナリン)は日中の血圧変動があるので、就寝前の服用が大事
   との事。)

5) 利尿薬の服用では、ループ利尿薬は交感神経を刺激する事があり注意が必要。
   一般的にはサイアザイド系を用いる。
   ARBの服用に関して腎機能の悪化が稀にあり、注意が必要。
   (上記に関しては最近NEJMに利尿薬の総説が載っております。私のブログをご参照ください。
    2017-11-24)





私見)
 本院でも血圧のコントロールが不良の場合には降圧剤の就寝前服用を指導していますが、全ての降圧
 剤の服用を就寝前とする傾向のようです。
 本院でもその方向にシフトしていこうと思っています。




   
寺脇教授の講演.pdf









posted by 斎賀一 at 20:56| Comment(0) | 循環器

2018年01月29日

スタチン(脂質異常症治療薬)は高齢者に効果がない?

スタチン(脂質異常症治療薬)は高齢者に効果がない?

Association of Baseline Statin Use Among Older AdultsWithout
Clinical Cardiovascular Disease in the SPRINT Trial



0129.PNG



 SPRINT研究のサブ解析がJAMAに出ていましたので掲載します。
以前の私のブログで御紹介しましたHOPE研究とは若干異なる見解です。 (2016-4-7、2016-4-8)



纏めますと

1) 70歳以上で今までに、臨床的に心血管疾患の既往のない人を対象にしています。
 
2) アウトカム(研究結果)として、心筋梗塞、急性冠症候群、脳梗塞、心不全、心血管疾患関連死を
   挙げています。

3) SPRINT研究の9,361人中70歳以上の3,054人で、スタチンを服用していた人1,350人を対象に
   しています。

4) 結論的には、スタチンの服用の有無はアウトカムに関与していませんでした。
   結果は下記のグラフをご参照ください。





私見)
 以前のHOPE研究でのブログでも述べていますが、70歳以上でのスタチン服用に関しては心血管疾患の10年リスクの算定と、既往歴や現在の病状が重要なようです。




高齢者のスタチン.pdf







posted by 斎賀一 at 21:06| Comment(0) | 脂質異常