2017年12月19日

糖尿病ガイドライン;2018年版、ADAより

糖尿病ガイドライン:2018年版 ADAより
Standards of Medical Care in Diabetes−2018



1219.PNG
  
      

 アメリカの糖尿病学会のADAより最新版のガイドラインが発表になりましたので、本院で関連する項目を主に纏めてみました。


1) 妊娠糖尿病の定義は、妊娠前には糖尿病の既往が無く、妊娠中期から後期にかけて糖尿病と診断
   された人を言います。  (以前の私のブログをご参照ください。)

2) 糖尿病の診断には、空腹時血糖、75g糖負荷試験での2時間値、ヘモグロビンA1cがありますが、
   相互にバラつきがあり、一番信頼されるのは2時間値とされています。A1cは個人的というより
   統計学的な意味合いがあり又赤血球の疾患でも影響を受けると言った問題があります。
    (以前のブログでは1時間値が有効と報告しました。)

3) 前糖尿病状態と言う概念には未だコンセンサスが得られていませんが、心血管疾患のリスクを考え
   る上では重要です。

4) 若年者の場合で肥満、糖尿病の家族歴、acanthosis nigricans(頸部の色素沈着)等が認められ
   たら糖尿病のスクリーニングを行う。

5) 糖尿病患者は若干、悪性腫瘍の発生が多いとの報告があり、定期的な検査が必要である。
   特に肝、膵、子宮、内膜、結腸、乳腺、膀胱等

6) アルコール摂取は中等度なら良いとしていますが、その点に関しては他のガイドラインに従う事を
   勧めています。
    (アルコールは基本的にエンプティカロリーとされています。)

7) 低カロリー甘味料は基本的には良いとしていますが、ある報告では体重増加を招くとしていますので
  一概に安全とはいかない様です。

8) エクササイズ(運動)に関してはかなり厳しい記載です。
   1日に60分以上で、少なくとも週に3回以上。
   しかも2日と開けずに頑張る。
   座ってばかりの人は30分おきに動くようにする。  (駈けずり回りながら仕事する。)
   糖尿病性網膜症、神経症、起立性障害のある人は主治医に要相談

9) 糖尿病患者さんは精神的に鬱状態になり易いので、コンサルタントを定期的する必要がある。

10) 糖尿病の予防
   肥満、60歳以下、妊娠糖尿病の人には、メトグルコが糖尿病の発症予防に有効との報告がある。
   その他の薬剤も有効との報告もあるが、副作用や費用の点で推奨していない。
   メトグルコを使用する場合には、ビタミンB12欠乏症に注意する。

11) 治療目標はA1cで7以下、高齢者や低血糖が心配な人は8以下とする。

12) 低血糖の場合(70以下)はブドウ糖を15~20g摂取して、15分後に血糖を測定
   血糖が55以下の場合はグルカゴンを注射する。

13) 血糖降下薬に関しては従来通りですが、若干変更されています。
   ファーストラインはメトグルコに変更は無いのですが、特に心血管疾患が伴っている場合は
   SGLT-2阻害薬で、特にカナグルとジャディアンスを推奨しています。
   血糖が300以上かA1cが10以上の時は、メトグルコをそのままにしてインスリンを追加する。

14) 高血圧に関しては
   140/90で治療対象となり、それ以下が目標
   心血管疾患があれば130/80以下を目指す。
   ACE-I、ARB、CCB、降圧利尿薬が適応
   尿中アルブミン/尿中クレアチニンが300mg/gr以上なら、ARBを更に増量したほうが腎症の予防
   効果ありとしていますが、30~300mg/grでも予防効果はあるとして推奨しています。
    (腎症の予防にACE-IとARBは有効ですが、急な投与は腎機能に悪いとも以前より指摘されて
     います。アルブミン尿があれば、慎重に投与してまいります。)

15) 脂質異常症
   糖尿病と心血管疾患を合併している場合にはLDLは70以下が目標
   空腹時中性脂肪が500以上では、膵炎の誘発に注意する。

16) 心血管疾患を合併している場合
   心血管疾患の既往やリスクが高い人には、低用量アスピリンやプラビックスの処方を勧めています。
    降圧剤についてもACE-IとARBを推奨
    eGFRが30以上の場合はメトグルコを推奨していますが、不安定狭心症や心不全の合併の場合は
   注意となっています。
    最近のデータよりジャディアンス、カナグルを推奨しています。

17) 糖尿病性腎症(DKD)
   1日の蛋白摂取は0.8gr/kg/日以下を推奨
   尿中アルブミン/尿中クレアチニン(UACR)が30以上の時は、降圧剤としてACE-IかARBを推奨
   していますが、30以下の場合で血圧が正常の場合は投与しても予防効果はないとして、推奨して
   いません。

18) 神経障害
   振動覚、温痛覚、を調べる。
   痛覚に関してはフィラメントが有効

19) 高齢者はA1cを7.5以下とするが、合併症や認知症などがある場合は8.0〜8.5を目標とする。
   何よりも低血糖に注意が必要





私見)
 グラフは元文献をご参照ください。
 常に見ておきたいものだけをPDFにしてみました。




Standards of Medical Care in Diabetes−2018.pdf

糖尿病ガイドライン.pdf













posted by 斎賀一 at 22:23| Comment(1) | 糖尿病