2017年12月29日

喘息とCOPDの吸入治療薬に対するFDAの勧告

喘息とCOPDの吸入治療薬に対するFDAの勧告
 
FDA Drug Safety Communication:FDA review finds no significant
increase in risk of serious asthma outcomes with long-acting beta
agonists (LABAs) used in combination with inhaled corticosteroids
               (ICS)



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 以前より吸入薬のLABA(長期作用気管支拡張薬)とICS(吸入ステロイド薬)の合剤の安全性に関して、 アメリカのFDAから製薬会社に対して市販後調査をするようにとの勧告が出ていましたが、今回正式にその結果報告がありました。



1) 41,297人の喘息及びCOPD患者を対象に、6カ月間LABA+ICSを使用しています。
   12歳以上と4~11歳のスタディを含んでいます。

2) 疾患の増悪、入院率、死亡率等に関して調べていますが、吸入使用による利点の方が、リスクつまり
   副作用よりも明らかに上回っていました。

3) 但し、LABA単独での使用に関しては依然として警告(warning box)から解除されていません。

4) 効果に関してもICS単独よりもLABA+ICSの方が優れていました。







私見)
  以前よりLABA単独での喘息の増悪が問題視されていました。
 しかしこれに関しては賛否両論があり、スタディのデザインの問題だとか、対象にコントロールに熱心
 でない黒人が多かったためだとか言われていましたが、現在ではLABAは必ずICSと併用する事になって
 います。
  それでもFDAはLABA+ICSをwarning boxに入れていましたが、今回の報告で、それは解除され
 ました。 (個人的意見ではこのLABA単独でもかなり有効な患者さん層があり、十分なコンセンサスと
 説明を得られれば、単独使用も可能と思っているのですが?)




utm_campaign.pdf


配合剤.pdf










posted by 斎賀一 at 16:15| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2017年12月27日

心房細動の生涯リスク

心房細動の生涯リスク

Genetic Predisposition, Clinical Risk Factor
Burden, and Lifetime Risk of Atrial Fibrillation



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 以前からの報告では、55歳以上の心房細動の生涯リスクは25%と推定されていましたが、
今回の論文では多遺伝子解析(1,000以上)と臨床リスクを組み合わせて調査しています。



纏めてみますと

1) 4,600人の55歳以上で、心房細動の既往が無い人を対象
   9.4年間の追跡調査で、580人に心房細動が発症しています。
   この論文での発症率は37%と、以前の報告よりも多い結果です。

2) 心房細動に関連する多遺伝子を1,000以上解析
   臨床リスクとしては、肥満、高血圧、喫煙、降圧剤の服用、糖尿病、心筋梗塞と心不全の既往
   としています。

3) 臨床リスクがあれば心房細動の発現は遅れますが、結果的にはやがて同じように増加傾向となって
   います。

4) 一方で多遺伝子が高リスクの場合は臨床リスクが低くても、心房細動の生涯リスクは43%と高く
   なります。






私見)
 結果的には、心房細動の危険因子は遺伝的要素が強いとの結論ですが、論者は述べています。
心房細動を過小評価している事と、診断、関心が一般的に低い点が心房細動の予後を悪くしているとしています。
 臨床リスクだけを厳格にしていればよいとは言えず、また体質で決まっていると決めつけることも、予後の改善に悪影響を及ぼします。
 臨床リスクを減らして心房細動の出現を遅らせたとしても心房細動は発症しますので、特に発作性心房細動の症状には、実地医家として十分な注意が必要です。






CIRCULATIONAHA.117.031431.full.pdf








posted by 斎賀一 at 19:57| Comment(1) | 循環器

2017年12月25日

インフルエンザ・ワクチン接種に卵アレルギーは心配ない

インフルエンザ・ワクチン接種に卵アレルギーは心配ない

Administration of influenza vaccines to egg allergic
recipients: A practice parameter update 2017



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 以前の私のブログでもアメリカのAAP(小児科学会)、CDCによるガイドラインから紹介しましたが、今期のインフルエンザ・ワクチンに関しても昨年と同様に卵アレルギーの患者さんに特別の配慮をしなくても接種してよいとなっていますが、その根拠なる研究を検証しメタ解析した論文が出ていましたので掲載いたします。


 纏めてみますと

1) アメリカでは卵アレルギーのある人は全人口の5%との事です。

2) 卵アレルギーの人にインフルエンザ・ワクチンを接種しても、アナフィラキシー(アレルギーの全身
   症状の事で、必ずしもショックを意味しません。)を起こす頻度は1人/10万人程度との事です。
   (ちなみに10人/10万人の重大な副反応が出現すればそのワクチンに対してはイエローカードが
   出ますし、10人/10万人の頻度の悪性腫瘍を希少癌と定義しています。)

3) 一般的なインフルエンザ・ワクチン接種での調査では卵アレルギーがある人の4,315人(その内、
   アナフィラキシーの既往が656人)に接種してもアナフィラキシーは起きていません。

4) 日本では承認されていませんが、インフルエンザ・生ワクチンでの調査では
   卵アレルギーのある人の955人(その内、アナフィラキシーの既往が412人)に接種してもやはりアナ
   フィラキシーは起きていませんでした。

5) 以上より、インフルエンザ・ワクチンを接種する際に問診で卵アレルギーがあるかを聞かなくても良い
   し、接種後に特別な時間的経過観察をしなくても良いとしています。
   但し、当然ながら一般のワクチン接種と同様の経過観察と、もしもの時のアレルギー反応対策を講じ
   ておかなくてはいけないとしています。





私見)
 以前のブログでも本院での方針を述べましたが、万が一でも卵アレルギーの人にインフルエンザ・ワクチンを接種して、強い反応が出た場合に責められるのは僕です。打たれ弱い私としましては、インフルエンザ・ワクチンの接種時には今まで通りに問診、経過観察を十分に行ってください。
 本院職員の皆さん宜しく!
 (離乳食前の乳幼児に関して事前に少量の卵の摂取を試みるかは、保護者に任せるとします。)





Administration of influenza vaccines to egg allergic recipients.pdf









posted by 斎賀一 at 21:03| Comment(2) | インフルエンザ