2017年11月18日

大動脈弁置換術と僧帽弁置換術における機械弁と生体弁との比較

大動脈弁置換術と僧帽弁置換術における機械弁と生体弁との比較
 
Mechanical or Biologic Prostheses for
Aortic-Valve and Mitral-Valve Replacement
                    N Engl J Med 2017;377:1847-57.


1118.PNG



 本院でも大動脈弁と僧帽弁の手術を行う患者さんが多くなってきました。
以前よりも早期に紹介する傾向となっていますが、いつ患者さんをしかるべき専門病院に紹介するかも含めて思案する事も多くなっております。

 本年度アメリカのAHAと、以前より日本循環器病学会からガイドラインが出ています。
患者さん用の日本胸部外科学会の手引き書と南方謙二氏の文献が的確なので、併せて下記に掲載いたします。
 一般的に生体弁は耐久性の問題で再手術の機会がありますが、機械弁の場合は一生抗凝固薬(ワーファリン)を服用しなくてはならなく、出血や血栓症のリスクがあります。何れのガイドラインもどちらの弁置換術が良いかは示していませんが、50歳以下の場合は耐久性の問題で機械弁、70歳以上の人では脳梗塞などの合併も懸念されるので生体弁を推奨しています。


 前置きが長くなりましたが、今回NEJMから機械弁と生体弁とを比較した論文が出ました。


纏めてみますと

1) 先ず患者の年齢による層別化を行って、15年間の経過で比較しています。
   大動脈弁では45~54、55~64歳に分けました。
   僧帽弁では40~49、50~69、70~79歳に層別化しています。

2) 機械弁の方が生体弁と比較して、15年生存率が高く優位との内容です。
   この傾向は大動脈弁では55歳になるまで、僧帽弁では70歳になるまで続いていました。

3) やがて両者で生存率の差が無くなるのは、機械弁において出血や脳梗塞の危険率が増加するためと
   推測しています。

4) 今後カテーテルによる弁置換術が広まれば、ガイドラインも変化するものと論者も推測しています。
   元文献のグラフはPDF化し、下記に掲載しました。
   私個人の書籍の抜粋とAFPの文献も、私の勉強のためPDF化しました。

     1 )極論で語る循環器内科 : 丸善出版
     2) ワシントンマニュアル : メディカル・サイエンス・インターナショナル

   TAVIに関する患者さん用の手引書も掲載しますのでご参照ください。





私見)
 医療の進歩はめざましいものがありますが、この分野でも機材の開発が盛んで、一概にどちらの弁置換術が優位なのか言えない時代がすぐそこまで来ているかもしれません。





心臓弁膜症:日本胸部外科学会.pdf

人工弁選択.pdf

AHAのガイドライン.pdf

弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン.pdf

NEJMより.pdf

弁膜症の抜粋.pdf

TAVIのおはなし.pdf

大動脈弁狭窄症の診断と治療.pdf

Aortic Stenosis.pdf

Aortic Stenosis (2).pdf










posted by 斎賀一 at 15:55| Comment(1) | 循環器