2017年11月08日

65歳以上の高齢者はインフルエンザに注意

65歳以上の高齢者はインフルエンザに注意
 
The Role of Healthcare Professionals
in Protecting Older Adults against Influenza



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 アメリカのCDCより、65歳以上の高齢者に対してインフルエンザの啓蒙活動としてのパンフレットを
含めたお知らせありました。


その内容は

1) インフルエンザで入院する人の50~70%は、65歳以上の高齢者である。
   また、インフルエンザ関連死の85%も65歳以上の高齢者でした。

2) 年齢と共に免疫力は低下してくる。それと関連してインフルエンザのワクチンの効果も減弱してくる。
    (アメリカでは対策として高齢者に対して特別のワクチンがあるようですが、日本では上市されて
     いません。)

3) 65歳以上の高齢者では慢性の基礎疾患を持っている人が多く、合併症を引き起こす可能性が高い。

4) インフルエンザが治癒しても、高齢者は健康な時ほどの完全回復には程遠く、その後の生活にも影響
   する。

5) インフルエンザに罹患する事により心臓発作、脳卒中やその他の心血管疾患を誘発する。

6) インフルエンザのワクチン接種率はやや増加傾向であるが未だ理想には程遠い。





私見)
 高齢者の方にはインフルエンザのワクチン接種をお勧めすると同時に、罹患した場合は合併症の悪化や治癒後の管理も充分に行うことが必要なようです。
 三段階、つまりインフルエンザの予防、罹患時の合併症の有無、回復時のチックと多岐に亘ります。
この啓蒙活動は医療関係者様でもあります。





The Role of Healthcare Professionals in Protecting Older Adults against Influenza.pdf

65-flu-fact-sheet.pdf

65-flu-poster.pdf

care-for-older-adults-care-about-flu-infographic-pdf.pdf












posted by 斎賀一 at 19:43| Comment(0) | インフルエンザ

2017年11月06日

慢性腎臓病(CKD)の栄養指導

慢性腎臓病(CKD)の栄養指導
 
Nutritional Management of Chronic Kidney Disease
                 n engl j med 377;18 nejm.org November 2, 2017


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 NEJMより慢性腎臓病(CKD)に対する栄養指導の総説が載っていました。
従来の日本におけるガイドラインとは若干異なる感じですので、纏めてみました。


蛋白質について

 1) 動物実験では1.5gr/kg/day以上の蛋白を摂取させると、腎臓の糸球体濾過率が亢進して炎症の  
    前段階を誘発し、腎疾患を悪化させることが証明されている。
    これは糖尿病性腎症と同じ原理である。

 2) 動物実験では、蛋白制限食は腎臓糸球体の輸入細動脈を収縮して糸球体圧を低下させるので、
    濾過率も低下して腎臓病の悪化を防ぐ。
    (PDFのグラフをご参照ください。)

 3) 人体では、動物実験程には低蛋白食が軽症の腎臓病に対して効果が無いとされていましたが、
    最近の研究では、軽症段階のCKDにも効果あるとのデータが蓄積されるようになりました。

 4) 中等度以上のCKDでは0.6~0.8/kg/dayが一般的だが、0.6以下の場合もある。しかし糖尿病性
    腎症、高血圧性腎症、多発性腎嚢胞などでは1.0以下程度の軽めの蛋白制限の方が、糸球体圧を
    維持していて予後が良い。


食塩について

 1) 食塩制限がCKDの予後に好影響力があるかは明白でない。
    しかし一日に4.5gr以上と2.7gr以下では両方ともCKDの悪化を招く。

 2) 一般的には4.0gr以下が推奨されている。
    但し、水分貯留の症状がある時には3.0gr以下が適当


カリウムについて

 1) 健康な人においては、高カリウム血症が無ければカリウムの摂取は4.7gr/day以上あった方が
    心血管疾患の予防にもなる。

 2) しかしCKDの人はカリウムの摂取が多いと悪化する。
    また、血清カリウムが5.5以上と4.0以下の場合もCKDは悪化する。
    当然、高カリウム血症の人はカリウムの摂取制限が必要。
    過剰なカリウム摂取制限は、逆に心血管疾患の悪化を招く。


その他、リン、カルシウム、ビタミンD

    ほぼ日本のガイドラインと同じなので下記のPDFをご参照ください。



蓄尿にて栄養指導が適切かを、定期的に判定する事が大事だとしています。





私見)
 蓄尿により摂取量を判定する計算式があり、ネットにより検索できます。
 下記にサイトを紹介します。それぞれの特徴があるので選んでください。(登録が必要なサイトもある
 ため注意してください。)
 本院も初期のCKDに積極的に蛋白摂取の指導を行います。




http://www.shiga-jin.com/calculation/05.html

https://pfizerpro.jp/cs/sv/calculator/calculatorC_D/generalcontents/1259743301701

https://www.adpkd.jp/selfcheck/calc_protein.html




下記にNEJMの表とグラフをPDFで掲載します。

CKDの文献から抜粋してやはりPDF化しました。

  

  1) 腎臓病診療に自信がつく本;株式会社カイ書林
  2) CKD診療ガイドライン2012:日本腎臓病学会
  3) やさしい慢性腎臓病の自己管理;医薬ジャーナル社




NEJMより.pdf

CKDの栄養指導.pdf

腎臓の働きを少しでも長持ちさせるには?.pdf

新CKD-MBDガイドラインを活用し適正なリン管理を/秋澤忠男氏が変更点を解説.pdf











posted by 斎賀一 at 20:41| Comment(1) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2017年11月04日

除菌後のPPI(潰瘍治療薬)が胃癌を誘発?その1

除菌後のPPI(潰瘍治療薬)が胃癌を誘発?その1
 
Long-term proton pump inhibitors and risk of gastric
cancer development after treatment for Helicobacter pylori
                                         BMJ;GUTより


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 色々なネットで紹介されている論文ですが、若干誤解が生じるといけないので私もブログしてみました。
胃酸の分泌抑制薬は、強力なPPIとやや弱めのH2ブロッカーがありますが、以前よりPPIは胃癌を誘発
しないか懸念されていました。
多くの論文では誘発はしないものとされています。 (その2 でご紹介予定)
今回の論文では、ピロリ菌除菌後に引き続きPPIを服用すると、胃のホルモンのガストリン分泌が亢進して
粘膜増殖を引き起こし、やがて胃癌に結びつく危険があるとの事です。


纏めますと

1) 対象は18歳以上(平均54.3歳)の63,397人のピロリ菌の除菌成功例を対象にしています。
   2003~2012年に除菌して、最終2015年12月まで調査しています。

2) H. pylori除菌失敗例、除菌前または除菌後12力月以内に胃がんと診断された患者、除菌時または
   除菌後に胃潰瘍と診断された患者は除外しています。(胃潰瘍を胃癌と誤診している可能性を除外
   するため)

3) Confounder(交絡因子)つまり直接関係のない因子が紛れ込まないために、比較対象としてH2
   ブロッカー使用者と、ピロリ菌の除菌をしないでPPIを服用した人も同様に調査しています。

4) 比較した危険率の表を下記のPDFで示し解説します。





私見)
 若干の意訳と大いなる偏見で本論文を解釈します。

 1) ピロリ菌がいると萎縮性胃炎になっている。これが胃癌の発生母地でもある。

 2) ピロリ菌による萎縮性胃炎とは、胃底腺(固有腺)の萎縮である。そのため胃酸の分泌が低下して
    いるところにピロリ菌の除菌を行うと、萎縮性胃炎は治癒の方向に向かうが、再び胃底腺の回復に
    より胃酸が分泌され始める。そのため除菌後に却って胸焼けなどの消化器症状が出現する。
    ここでPPIを処方すると胃酸の分泌は抑制されるが、逆にガストリンホルモンが分泌されてきて
    しまう。
    このガストリンは粘膜を増殖する作用があり、胃癌発生の母地である萎縮性胃炎があると、胃癌が
    発生する危険が増加する。

 3) よって除菌後の胃酸分泌が亢進した場合の治療としては、あまりガストリン分泌に関与しないH2
    ブロッカーを投与した方が無難。

 4) 下記のPDFで解説しますが、単に逆流性食道炎の治療や、抗血小板薬と抗凝固薬とを併用する
    PPIの場合は、原則として胃癌発生とは関係ないので取り敢えずは併用しても良い。



 最近はPPIの風当たりが強いようで、かわいそうになってしまいます。
 今回の本論文の主旨はピロリ菌除菌後で萎縮性胃炎がある場合に、長期にPPIを服用するのを問題視
 した点だと思います。
(個人的な過激な意見を申しますと、ピロリ菌の除菌は程々で定期的na胃カメラ検診をお勧めします!?)

 尚、英国では逆流性食道炎の略語はGERDではなく、GORDとなります。これは英国ではesophageal のスペルがoesophageal になるからです。
  (ネット検索より)




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 胃体部では固有腺が胃底腺と同じ意味です。ここから胃酸が分泌されます。
 萎縮性胃炎とは、ピロリ菌による炎症でこの胃底腺が萎縮してしまう事です。
  「それじゃ〜 萎縮性なら胃酸がないから胃薬はいらないか?」 と言う事ですが...。
 後日、その2で考えたいと思います。




PPIと胃癌.pdf









posted by 斎賀一 at 18:49| Comment(2) | 消化器・PPI