2017年11月29日

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)について

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)について

Cause, Pathogenesis, and Treatment of Nonalcoholic Steatohepatitis
            N Engl J Med 2017;377:2063-72.



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 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とNASHとの関連性を含め、最近のデータを交えた総説がNEJMに出ました。

 先ず私のこれまでの理解としましては、NAFLDは脂肪肝であって炎症は無いので、進行性は少ないがNASHは肝炎であるため進行性の生物学的特徴を有し、肝硬変、肝がんの危険性は少ないが、全くないという訳ではない。肝機能検査のASTがALTより増加傾向ならば、NASHに移行している可能性がある。
と理解していましたが、今回の総説ではかなり私なりに訂正が必要なようです。


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                              日本消化器病学会のガイドライン



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                          日本消化器病学会誌 : 2017年5月号より





NEJMの総説を纏めてみますと

1) アメリカではNASHの80%に肥満、72%に脂質異常症、44%にU型糖尿病を合併しています。

2) NASHの特徴は、肝組織に線維化が起きている事です。
   しかも進行性の病態と捉えていますが、その変化はダイナミックで線維化の無いNAFLDに後退する
   事もあれば肝硬変に進行する例もあり、個々の症例で異なっています。

3) NASHが無くてもNAFLDから肝癌が発生する事もあるし、アメリカで問題になっているのは子供でも
   NASHを罹患している点です。




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4) 原因として、脂質代謝、遺伝子関係、環境因子(腸内細菌も含めて)
   が記載されていますが、煩雑なので省略します。
    (メカニズムが複雑なのか、未だ不明瞭なのか私には判然としませんので...。
     つまり省略となります。)

5) 診断の基本は肝生検との事です。

6) 治療に関しても未だ黎明期の様ですが、ライフスタイルは重要な様です。
   糖尿病治療薬のアクトスに関しては、紆余曲折がありそうです。



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私見)
 色々な文献からも、今後は非B、非Cの肝炎からの肝癌発生が懸念されていますが、ウイルス性肝炎の
 場合は患者さんの対象が絞り込まれますが、このNAFLDからの肝癌発生は少ないとは言え、ある日
 突然、と言う事もあり注意が必要です。
 診断に対する色々なマーカーは肝生検以外は不十分との事で、外来での対策が重要視されます。





本当は怖い脂肪肝.pdf

NAFLD_NASHガイドライン.pdf

病理.pdf

Coffee Linked to Lower Risk for Severe Liver Fibrosis.pdf

Dietary Treatment of Nonalcoholic Steatohepatitis.pdf

Fatty liver disease.pdf

NASH症例で繰り返し肝生検により F3stageから肝硬変へ進展した症例の臨床的特徴.pdf

びまん性肝疾患の病変進展度診断.pdf

肝疾患-脂肪肝を除くー.pdf

肝組織脂肪化におけるBモード像.pdf

脂肪肝経過観察中に見つかった4cm大の肝細胞癌.pdf

脂肪肝実質に出現する簾状エコーの発生機序に関する考察.pdf

非アルコール性脂肪性肝疾患.pdf














posted by 斎賀一 at 18:36| Comment(1) | 肝臓・肝炎

2017年11月27日

糖尿病治療薬・SGLT-2阻害薬(カナグル)の心血管疾患に対する効果

糖尿病治療薬・SGLT-2阻害薬(カナグル)の心血管疾患に対する効果
 
Canagliflozin for Primary and Secondary Prevention of Cardiovascular Events



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 カナグルは糖尿病患者の心血管疾患に対して有効に働くとの論文が出ていましたが(CANVAS研究)、今回の論文では更に解析して、その効果を一次予防(心血管疾患にまだ罹患していない人を対象)と
二次予防(既に罹患している人が更に再び罹患するのを予防できるかを調べる)に分けての発表です。


結論的には

1) 10,142人を188週間観察しました。
   一次予防群が34%で、二次予防群が66%でした。

2) カナグルを服用していての主要転帰(死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の発生)は、当然
   ながら二次予防群の方が高くて37人/1,000人/年でした。
   一次予防群では16人/1,000人/年です。

3) 一次予防と二次予防とでの違いはハッキリしませんでしたが、心不全での入院率と腎疾患の悪化に
   対して、カナグルは二次予防では明白な効果がありました。
   また全体としては、カナグル服用の方がプラセボと比して有効でした。

4) 懸念されている下肢切断は頻度としては少ないようですが、カナグルの服用に関係して発生している
   ようです。
   十分な注意が必要ですが、他のSGLT-2阻害薬も同様に注意が必要とされています。






私見)
 SGLT-2阻害薬は心血管疾患を罹患している患者さんでも再発予防に貢献できそうです。
 一次予防に関しては更なるデータの集積が必要としています。
 データの解説と図は下記のPDFとしました。
 尚、私のブログ : 2017年8月23日 などのカナグル関係のブログを併せてご参照ください。



カナグリプチン.pdf

カナグル.pdf

SGLT 下肢切断.pdf

SGLT2阻害薬一覧.pdf
















posted by 斎賀一 at 19:36| Comment(1) | 糖尿病

2017年11月25日

糖尿病で心不全を合併している場合はβブロッカーが有効

糖尿病で心不全を合併している場合はβブロッカーが有効
         <ツイッター版>




 βブロッカーは糖尿病を誘発すると言われています。
アーチストはその傾向が少ないと言われて、本院でも心不全と糖尿病を合併している患者さんには少量のアーチストを処方しています。
今回、アブストラクトでの情報では糖尿病がない心不全の患者さんに比して、糖尿病を合併している心不全患者さんの方がβブロッカーの効果が顕著であり、且つ大量に使用した方が有効との事です。
  (以前にも似た文献がありました。)
ACE阻害薬でもその傾向との事です。





私見)
 ゆっくりとお財布を叩いて元文献を読んでみようと思いますが、俄かには決められません。
 取り敢えず、アーチストを慎重に投与するのは良いかもしれません。




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                   糖尿病診療ハンドブック : 中外医学社 より





dm αブロッカー.pdf

1818.pdf














posted by 斎賀一 at 13:57| Comment(0) | 糖尿病