2017年10月23日

乳児の遅発性聴力障害と遊離ビリルビン(アンバウンド)

乳児の遅発性聴力障害と遊離ビリルビン(アンバウンド)

Chronic Auditory Toxicity in Late Preterm and
Term Infants With Significant Hyperbilirubinemia



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 新生児には生理的黄疸があり心配は殆どありませんが、中には注意が必要で核黄疸に繋がる場合があり、早期の適切な対応が必要になります。
 黄疸の原因のビリルビン代謝について前置きとして記載します。
赤血球が破壊して、間接ビリルビン(非抱合型)が出来ますが、多くがアルブミンと結合しています。
一部がイオン化して、アルブミンと結合していない遊離ビリルビンが少量血液の中にあります。これが血液脳関門を通過して、核黄疸を誘発します。間接ビリルビンは肝臓に行き、グルクロン酸と結合して直接ビリルビン(抱合型)となります。間接と直接を併せて総ビリルビンと言います。
  (詳しくは下記のPDFの図を参照ください。)

今回の論文は、上記の遊離ビリルビンが乳児の遅発性聴力障害に関与して、その診断の良い指標になるとの事です。


纏めてみますと

1) 間接ビリルビンが高値の時は核黄疸の治療の対象になるが、これは急性の聴力障害に対して重要な
   指標である。急性聴力障害は可逆的(元に戻る、治る)であるが、慢性聴力障害は不可逆的であり、
   これに関しては遊離ビリルビンが関与している。

2) 出生時に間接ビリルビンが20mg以上か、生後2週間以内でAAPガイドラインによりビリルビンが
   高値と判定された乳児約100名を対象に、生後2~3カ月と9~12カ月に聴力検査をしました。
     (ガイドラインのグラフはPDFで)

3) 間接ビリルビンが25mg以下の63人中5人(8%)が慢性聴力障害で、遊離ビリルビンが最も関係
   していました。
   間接ビリルビンが25mg以上の30人中7人(23%)が慢性聴力障害で、これも遊離ビリルビンが最も
   関係していました。  (グラフはPDFで)

4) 一般的に総ビリルビンを指標にしているが、慢性の聴力障害を予測するためには不備であり、間接
   ビリルビンが高値の場合は、同時に遊離ビリルビンを測定して定期的に聴力検査で管理する必要が
   ある。






私見)
 時々本院にも黄疸気味の乳児が来院する事がありますが、母乳栄養児と簡単に考えないでフォローしたいと思います。
 尚、資料には総ビリルビン、間接ビリルビン、遊離ビリルビンと色々ですので注意してください。





Chronic Auditory Toxicity in Late Preterm and Term Infants With Significant .pdf

遊離ビリルビンと新生児黄疸.pdf

新生児黄疸.pdf


















posted by 斎賀一 at 19:52| Comment(0) | 小児科

2017年10月21日

大腸ファイバー検査時の鎮静剤

大腸ファイバー検査時の鎮静剤
                   <ツイッター版>

17 - Use of Diphenhydramine as an Adjunctive Sedative
for Colonoscopy in Patients on Chronic Opioids



 大腸ファイバーの基本は無麻酔ですが、時に検査による痛みがあり、患者さんにとっても大変な検査と
なってしまいます。
本院では麻酔薬は使用していませんが、今回の論文では抗ヒスタミン剤の注射がsedation(鎮静)に
有効との事です。
患者さんの状態を選別して使用する事も選択肢と思います。
ただし用法、用量には十分に注意が必要である事は勿論です。



World Congress of Gastroenterology at ACG2017.pdf


ジフェンヒドラミン.pdf


















posted by 斎賀一 at 14:47| Comment(1) | 消化器・PPI

2017年10月19日

小児ではブルフェンの方がモルヒネ(麻薬)より有効

小児ではブルフェンの方がモルヒネ(麻薬)より有効
 
Oral Analgesics Utilization for Children
With Musculoskeletal Injury (OUCH Trial)



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痛みに対してモルヒネよりブルフェン(NSAIDs)の方が有効との論文がでました。


纏めますと

1) 6〜17歳の骨筋肉系の外傷痛の501人を対象

2) 筋肉や軟部組織の外傷が60%、骨折が38%

3) モルヒネ+ブルフェン群、モルヒネ単独群、ブルフェン単独群に分けて調べました。

4) 痛みをビジュアルスケールで評価しています。

5) ベースライン(最初の時点)からの痛みの軽減を30分、60分、90分、120分で判定しました。

6) 60分では各群での差はありませんでしたが、120分ではブルフェン群が他の群より痛みが軽減
   していました。

7) この事から、小児では骨筋肉系の疼痛に関してはブルフェンを使用する事により、モルフィネの使用
   を減らすことが出来るとしています。





私見)
 話は違いますが、解熱鎮痛薬としてブルフェンが脚光を浴びてきたとも言えますでしょうか?
 以前に、喘息発作の増悪にアセトアミノフェンが関与している可能性があり、ブルフェンの方が安全との
 論文がpediatricsに掲載されました。
 ライ症候群についても調べてブログ化してみたいと思います。  (何やら意図的?)




Oral Analgesics Utilization for Children With Musculoskeletal Injury (OUCH T.pdf









posted by 斎賀一 at 15:20| Comment(2) | 小児科