2017年09月11日

スピリーバは軽症COPD(慢性閉塞性肺疾患)にも有効

スピリーバは軽症COPD(慢性閉塞性肺疾患)にも有効

Tiotropium in Early-Stage Chronic Obstructive Pulmonary Disease
             N Engl J Med 2017;377:923-35


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 COPDは世界的に増加傾向です。
喫煙は勿論、高齢化や大気汚染も関与して、今後もCOPD関連の死亡率の増加が懸念されています。
COPDの診断は呼吸機能検査が主です。1秒率が判定基準になります。
GOLDの診断基準では、1秒率が80以上がステージ1、50~79がステージ2です。
70%以上で呼吸症状が無いか、軽症(労作時の呼吸困難がない)の場合をCOPDの軽症としています。
スピリーバは中等症以上のCOPDに有効との報告は以前の論文で証明されていますが、(私のブログを
ご参照ください。)

 今回はこの軽症COPD患者に対して、スピリーバ(長時間作動の抗コリン吸入薬)がその後の病状の
進展に有効かどうかの報告が、かの中国からされています。
  (大気汚染は深刻な社会問題となっていると思います。)

詳細な結果は、NEJMの日本版を同時に掲載しますので参照ください。


結論的には

1) スピリーバを2年間使用すると、気管支拡張薬吸入前での1秒率の変化はそれ程ないが、吸入後
   では明らかに1秒率の低下はなかった。

2) 明白な1秒率の低下の予防効果は無いが、CPODそのものは症状が無くても1秒率の悪化は進んで
   いるので、更に重症化の進展を抑制出来るかもしれない。

3) しかもスピリーバの方が急性増悪の頻度も少ないし、QOLの改善も認められた。

4) 副作用の出現(心血管疾患の増悪や尿閉)はコントロールと同じである。




 
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私見)
 心血管疾患を有する高齢者でも、COPDの軽度の症状があれば、スピリーバの吸入はQOLの改善と
 重症化の進展予防には効果があり、副作用は懸念しているほど心配はないようです。





早期慢性閉塞性肺疾患におけるチオトロピウム | 日本語アブストラクト |.pdf


気管支拡張薬外用剤型一覧(1).pdf











posted by 斎賀一 at 20:12| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2017年09月09日

スタチン(脂質異常症治療薬)は糖尿病患者の下肢切断を予防できる

スタチン(脂質異常症治療薬)は糖尿病患者の下肢切断を予防できる

Statin Therapy Reduces Future Risk of Lower-Limb Amputation
in Patients With Diabetes and Peripheral Artery Disease



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 糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬と下肢切断の関係が懸念されていますが、今回は
「スタチン系の治療薬が糖尿病患者の下肢切断を予防できる。」 との台湾からの報告です。


 詳細はmedscapeに載っていましたのでそれを参考に纏めてみました。

1) 20歳以上の糖尿病で、末梢動脈疾患(PAD)を有する69,332人が対象

2) 2000~2011年にかけて台湾でのデータベースから調べています。

3) 内訳は
   スタチン系服用は11,409人、非スタインの脂質治療薬が4,430人、何れも服用しない53,493人
   です。 

4) スタチン系を服用する事により下肢切断は25%減少し、心血管疾患の発生は22%低下しました。
   この事からスタチン系は心血管疾患に有効ばかりでなく、糖尿病患者でPADを伴っている人の下肢
   切断の予防にも効果がありました。

5) 非スタチンの脂質治療薬(フィブラート系やゼチーアなど)では下肢切断を予防出来てはいません
   でした。

6) 論者は、スタチン系は脂質異常の改善ばかりでなく、pleiotropic effects つまり抗炎症作用や
   直接的な抗動脈硬化作用が関与しているようだとしています。




私見)グラフは下記のPDFに掲載しました。
   糖尿病患者でSGLT2阻害薬を処方する場合、PDAを合併していたら積極的にスタチン系を処方
   するのが良いかもしれません。





Statin Therapy Reduces Future Risk of Lower-Limb Amputation in
Patients With Diabetes and Peripheral Artery Disease.pdf


statin.pdf

スタチンの効果.pdf







posted by 斎賀一 at 15:16| Comment(0) | 糖尿病

2017年09月07日

今シーズンのインフルエンザ・ワクチンの勧告

今シーズンのインフルエンザ・ワクチンの勧告
                   アメリカのCDCより
 
Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines:
Recommendations of the Advisory Committee on Immunization
Practices − United States, 2017–18 Influenza Season



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 アメリカのCDCより今シーズンのインフルエンザ・ワクチンに関する勧告が発表になりました。
日本でのワクチンの内容やガイドラインはまだですが、現時点でのアメリカの内容を参考にしたいと思い
ます。


纏めてみますと

1) 生後6カ月より8歳までは2回接種が必要
   そのために最初の1回目はワクチンの接種可能の出来るだけ早い時期に接種して、2回目は遅くても
   10月の末には終わらせておきたい。

2) 早く接種すると抗体がインフルエンザ・シーズン全体をカバー出来ないかもしれないが、(特に高齢者
   やシーズンにより)遅い接種は逆にシーズンの前半の予防が出来なくなる。勧告としては出来るだけ
   早期の接種を勧めている。しかも、インフルエンザの流行は何回も起こるのが一般的である。
   (2年前にはワクチンの供給が早過ぎて、流行のウイルス型の変化に対応出来ませんでした。供給は
    可能な限り遅く、接種は早くと論者は述べています。)

3) 特に接種を勧める人は
   6か月から5歳の乳幼児、50歳以上の人、妊婦や妊娠の可能性のある婦人、基礎疾患のある人、
   肥満、施設の従事者
   

4) 乳幼児の1回の接種量が0.25と半量なのは、アレルギー反応が強く出るとの以前の研究からである
   が、最近の研究では0.25と0.5での局所反応の差は無いとの事

5) 妊婦に関しては、妊娠の如何なる時期でも接種は可能である。
   ただし、妊娠初期のデータが主であり、妊娠中期以降のデータはやや少ないようです。

6) 接種前の6週間以内に、ギランバレー症候群を罹患した人は注意

7) 卵アレルギーである人の接種は可能
   ワクチンの製造の初期に卵は使われるが、その後は細胞で増殖していくので卵の成分はかなり希釈
   され、ワクチンの中に含まれる量は極めて僅かである。
   但し、卵アレルギーで全身症状のある人(アナフィラキシー)に関しては配慮が必要
   インフルエンザ・ワクチンによるアレルギー反応は、卵とは無関係に起こり得る。
   よって接種後は15分の経過観察が必要であり、アレルギー対策を十分にしておくことは勿論重要

8) インフルエンザ・ワクチンとインフルエンザ治療薬(予防投与を含めて)の併用は可能

9) インフルエンザ・ワクチンと他の不活化ワクチンの同時接種は原則として可能であるが、熱性痙攣
   の頻度が増加する。
   (詳細は省略しますが、本院ではインフルエンザ・ワクチンとの同時接種は原則行わない予定です。)





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私見)
 今後色々な団体からガイドラインが出てくると思います。
 そろそろインフルエンザのシーズンかと思うと、夏休みの気分も吹っ飛んでしまいます... 。




Prevention and Control of Seasonal Influenza.pdf










posted by 斎賀一 at 15:03| Comment(1) | インフルエンザ