2017年08月13日

カンピロバクター食中毒が増加傾向

カンピロバクター食中毒が増加傾向

Increasing Campylobacter Infections, Outbreaks, and
Antimicrobial Resistance in the United States, 2004–2012



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 以前より指摘されていましたが、アメリカでもこの8年間で21%もカンピロバクターによる食中毒が
増加しているとの報告です。
しかもそれに対する抗生剤の耐性化も進んでいると警告しています。
増加傾向は4歳以下と60歳以上に認められています。勿論、若い人も食文化の変化で増加傾向です。
耐性化はキノロン系のシプロキサンで23.4%、エリスロシンで2.1%認められています。(日本では更に
増加しているとの報告です。その主な原因は鶏の飼育に抗生剤、特にキノロン系を混ぜて食べさせている
からです。本院では、治療にホスミシンを第一選択としています。)


カンピロバクターに関して考察いたしましたので、下記のPDFに纏めてみました。


文献.pdf


カンピロバクター.pdf













posted by 斎賀一 at 17:57| Comment(1) | 消化器・PPI

2017年08月12日

肺炎球菌ワクチン導入後の急性中耳炎の変化

肺炎球菌ワクチン導入後の急性中耳炎の変化

Epidemiology of Acute Otitis Media in the Postpneumococcal Conjugate Vaccine Era



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 肺炎球菌ワクチンの導入後に急性中耳炎は減少しているようです。
それでもアメリカでは年間で500万人の患児が急性中耳炎に罹患し、1,000万回の抗生剤処方、
3,000万回の受診をしているとの事です。(患児一人当たり年間で、2回の抗生剤処方と6回の受診と
なります。)
今回の論文では急性中耳炎で耳漏、又は鼓膜穿刺で病原菌が判明した615名を対象に調査しています。


纏めますと、

 1) 2006〜2016年間の生後6カ月から36か月(3歳)の基礎疾患が無く、急性中耳炎に罹患し、
    病原菌を特定できた乳幼児、615人を対象に調査しました。

 2) 最初に発病した月齢を特定できた231人を見てみますと、1歳までが一番多い傾向です。
    更に月齢が低い乳幼児では、その後繰り返す傾向でした。


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 3) リスク因子はワクチン導入前後で大きく変化はありませんでしたが、
    原因菌には変化を認めています。


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        Spnが肺炎球菌、Hfluがインフルエンザ菌、Mcatがモラキセラ菌
       (従来の抗生剤の効果も減少している事がこの事からも分かります。
        特にペニシリン系が効きにくい菌が多くなっています。)

  
 4) リスク因子として考察しています。


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       男児
         男児の方がリスクは多い傾向ですが、免疫機能に関係するとしています。
       母乳
         免疫が関与して、母乳栄養が予防に効果があるとする論文が多い様ですが、
         今回の研究でははっきりしていません。
       家族歴 
         遺伝子レベルで現在解明されているようです。
       集団保育
         当然、保育所では急性中耳炎の原因菌に暴露されやすい事になります。
       その他
         受動喫煙、アトピーに関しては他の研究ではリスクとされていますが、
        今回の論文では明白ではありませんでした。



私見)
 ワクチンの導入により、更に新たな問題も発生している感があります。
 ガイドラインでは、急性中耳炎の殆どは経過観察で良いとしています。
 逆に難治性の中耳炎は、従来の抗生剤が効きにくい傾向が浮かび上がりました。
 どのような中耳炎が治療の適応なのかの峻別も重要ですし、急性中耳炎に抗生剤を使用する際には、
 使用薬剤、及びその服用期間に充分な配慮が必要の様です。



Epidemiology of Acute Otitis.pdf














posted by 斎賀一 at 16:01| Comment(3) | 小児科

2017年08月10日

難治性の喘息患者の鑑別の仕方

難治性の喘息患者の鑑別の仕方

                  All That Wheezes . . .
                  n engl j med 377;5 nejm.org August 3, 2017


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 喘息の治療はガイドラインに沿って行いますが、その基本は頂上作戦です。
まずしっかりした治療から始め、ステップダウンする方法です。
 (血圧などは裾野作戦で、少しづつステップアップする方法です。)
それでも喘息のコントロールが不良の場合は、ステップアップしていきます。
その際に治療に抵抗する症例が稀にあります。
その場合はもう一度初心に立ち返り、喘息かどうかを検討する重要性がある事を示した論文が、NEJMの症例検討に載っていましたので掲載します。


 纏めてみますと

1) 提示された症例は、granulomatosis with polyangiitisと言った稀な疾患です。
    (以前、私が学生の時にはウェゲナー肉芽腫症といわれていました。)
   この病気に関しては今回省略します。

2) ペット
  単にペットの種類やそれに対するアレルギーだけでなく、ペットからの感染症(人畜感染症)、特に
  寄生虫も検討する。

3) 副鼻腔炎
  アレルギー性の関連性を調べる。

4) カビ
  スクラッチテスト、及び血液検査(IgA)の両方を行う。
  特にアスペルギールスは重要

5) 難治性の場合、一度はCT検査で間質性肺炎関連をチェック

6) 血液検査
  好酸球
  ANCA(血管炎の検査) : 陽性率は60%と、意外に低いが推奨

7)最終的には肺の生検






私見)
 以前はカビのスクラッチテストを汎用していましたが、印象ではあまり適用する患者さんが居りません
 でした。そのうち検査薬が期限切れとなり、血液検査(IgA)も高額なため控えてしまいました。
 喘息が難治性の場合に限り、再度カビの検査に挑戦しようと思います。
















posted by 斎賀一 at 13:22| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー