2017年08月18日

笠原群生、異次元の世界

笠原群生、異次元の世界


   
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  昨日はブログ用の良い情報がなく、テレビを観ていましたら偶然、肝臓移植医師の笠原群生氏の番組が放送されていました。

本物の医師である事は間違いないのですが、巡礼者のような物静かな彼は自分にとって異次元の人
でした。
今後何年も医師をしていても理解できないし、また生まれ変わっても到達できない境地の世界でした。


     “ あの局面で肝生検を実施するのはどんな心境なんだろう? ”

圧倒され、ガックシして、寝つきの悪い夜でした ...。



 気を取り直して、ダグ・ハマーショルドの次の言葉を思い浮かべて今晩は寝ます。
 
        「神はお前の能力以上の事は要求していない。」



それから、いつも使う次の言葉は封印しよう。 

    「あなたの気持ちは分かります。しかし、こちらの立場も考えてください。」









posted by 斎賀一 at 19:31| Comment(1) | 日記

2017年08月16日

片頭痛について

片頭痛について

n engl j med 377;6 nejm.org August 10, 2017



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 NEJMに総説が掲載されていましたので纏めてみました。


 1) 子供の頃から発症し、10~14歳より急に増加し35~39歳まで増加傾向です。
    女性は閉経後まで罹患しますが、それ以降は減少します。
    女性の方が男性より3倍の罹患率です。

 2) 前駆症状(aura)は一般的に視覚症状と思われていますが、
    視野の狭窄、視野がギザギザ(アリス現象)、閃輝暗点などの視覚症状だけでなく、めまい、
    しびれ、言語障害、倦怠感、アロディニア(皮膚の異常感覚)等を含めてauraとしています。
    片頭痛にはこのauraのある場合とない場合があり、分類されていますが、
    よく問診をするとほとんどの患者にauraがあるとの事です。

 3) 原因として血管収縮説が以前はありましたが、現代それは否定的です。
    明白な原因はまだ解明されていませんが、神経化学物質の関与が想定されています。

 4) 片頭痛と心血管疾患との関係が問題視されていますが、これも断定には至っていないとの事です。
    現に片頭痛の時に脳梗塞は発生していません。

 5) 診断には頭痛の特徴として、吐き気を伴う動けないほどの頭痛と思われていますが、多くは軽度〜
    中等度の事もあり、頭痛の程度よりも随伴する症状の方が大事だとしています。それは光や音に
    関する過敏反応、吐き気、精神機能の不全を挙げています。

 6) 頭痛が徐々に発生して、しかも一過性ならばMRIなどの画像診断は必要ないとしています。
    では、どのような時に重大な他の疾患を想定するかのレッドフラッグとしては、
    急な頭痛発作、発熱、頭痛発作の間もある程度の頭痛の持続、他の随伴症状がある時と記載して
    います。

 7) 片頭痛の誘因
    女性では生理前や生理中に増悪する。この事は、環境やホルモンバランスが深く関与している
    事を示唆する。
    誘因としては不定期な食事(食事を抜いてしまう)、不規則な睡眠、不規則なカフェインの摂取、
    ストレスを挙げています。
    逆に言えば、食事、カフェインの摂取、睡眠、運動は定期的に行う事が大事
 
 8) 常用薬物のチェック
    胃酸分泌抑制剤(PPI)、精神薬(SSRIなど)、オピオイド、カフェイン含有の鎮痛薬、ピル、
    血管収縮の鼻閉点鼻薬は、中止か減量を指示

 9) 治療の基本はトリプタン(下記のPDFを参照)
    2時間しか効果の無い場合もあり、多くが副作用を心配するあまり、十分な量を服用しなかったり
    作用の弱いトリプタンを使用している。

 10) 急性期には点滴、制吐剤も有効。嘔吐が強い時には、イミグランの鼻腔用
     (本院用に記載)

 11) トリプタンは片頭痛の早めの時期に服用すると効果があるが、問題は頻回使用により、副作用の
     出現ばかりでなく、却って頭痛を悪化させてしまう懸念がある。(指導するに悩ましい問題です)
     FDAでは1か月に10回以上の使用には警告をしています。

 12) 予防薬として
     抗うつ薬、ブロプレス、βブロッカーがありますが、患者の基礎疾患により選択すべきとして
     います。




私見)
 薬物療法はほぼ従来通りと思っていますが、スタッフ一同と協力し、生活スタイルの指導を更に充実
してまいります。
 コーヒーは3杯以上飲むのが良いとブログしましたが、片頭痛のある方は朝か、一日一杯だけが良い
かもしれません。



片頭痛とトリプタン.pdf












posted by 斎賀一 at 20:12| Comment(1) | 脳・神経・精神・睡眠障害

2017年08月15日

DAA(C型肝炎の経口治療薬)は死亡率を減少させる

DAA(C型肝炎の経口治療薬)は死亡率を減少させる

Impact of Sustained Virologic Response with Direct-Acting Antiviral
Treatment on Mortality in Patients with Advanced Liver Disease




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 DAAが肝癌の発生を抑制するかは今後の課題とされていましたが、DAAで治療成功(SVR)の場合は
肝細胞癌の発生を遅らせるか、または抑制し、その後明らかに亡率の減少をもたらすとの論文が発表
されました。


1) DAA治療した15,059人を対象
   13,992人がSVR、 355人が治療不成功、 712人が再発
   治療不成功例の多くは、事前に肝障害が進んでおりました。

2) SVRでは、不成功例と比べて死亡の危険率は0.26と低下
   1年間での死亡率は79.6%も低下します。

3) 血清アルブミンと死亡率が関係していました。
   3以下で危険率は3.86倍、 3~3.4で2.01倍
   腎機能とも関連がありそうだとしています。

4) 治療前に肝細胞癌の既往があってもSVRに達成していれば、死亡/100人/年は、21人から7.5人に
   減少します。






私見)
 肝癌の既往があっても(治療で肝癌が消失)、肝機機能が安定していれば、DAAの治療対象になるかと
 思います。






Impact of Sustained Virologic Response with Direct-Acting Antiviral Treatmen.pdf










posted by 斎賀一 at 16:08| Comment(1) | 肝臓・肝炎