2017年08月28日

糖尿病治療薬のカナグルとPro-BNP(心不全のマーカー)

糖尿病治療薬のカナグルとPro-BNP(心不全のマーカー)
              <ツイッター版>



 またまたカナグルで恐縮です。
カナグルを服用していると、心不全の血液マーカーの上昇を抑制できるとの報告です。
結局、カナグルは心不全患者さんにも有効との結論です。

 現在、私はSGLT-2阻害薬の差はあまりないのではと認識していますが、心不全の状態を把握するのに、腹部エコーで下大静脈を計測するのが簡便と思っています。
その際に、幅が縮小してくると血管内脱水の状態も想定され、それが懸念されている下肢切断に繋がるのでは、と推定しています。
 “ 過ぎたるは及ばざるが如し ”  を教訓に慎重に治療して参りたいと思っています。




カナグル.pdf








posted by 斎賀一 at 19:55| Comment(0) | 糖尿病

2017年08月26日

持効型インスリン注射薬のトレシーバとランタスの比較・特に心血管疾患との関係

持効型インスリン注射薬のトレシーバとランタスの比較
                特に心血管疾患との関係
 
Efficacy and Safety of Degludec versus Glargine in Type 2 Diabetes
 
        

0826.PNG

      

 糖尿病治療に関して、現在ではインスリンの早期での導入も視野に入れられています。
しかし、インスリン導入により体重増加や低血糖も生じ、この事が心血管疾患に関連しないかどうか懸念されています。
現にACCORD試験では、インスリンの導入により心血管疾患の増加も認められ、積極的なインスリン治療の方が予後は悪いとする結果報告になっています。この事は実地医家にとって足かせになっている感もします。

 しかし、2012年に発表されたORIGIN 研究では早期の糖尿病患者にランタスを導入しても、懸念された心血管疾患の増加はありませんでした。
  (下記のPDFのグラフを参照ください。)
今回のNEJMの論文のDEVOTE研究はトレシーバとランタスを比較する事により、トレシーバが心血管疾患に悪影響を及ぼすかを調べています。


纏めますと

1) トレシーバを投与する群(3,818 例)とランタスを投与する群(3,819 例)に無作為に割り付け
   平均2年間の観察です。

2) ベースラインでは、平均年齢 65.0 歳、平均糖尿病罹病期間  16.4 年、平均糖化ヘモグロビン値
   8.4±1.7%であり、患者の 83.9%がインスリン投与を受けていました。

3) 長時間作用型の両インスリン(持効型)は、それぞれ夕食から就寝までの間に、1日1回注射して  
   います。注射の量は漸増していますが、下記のPDFを参照ください。

4) 結論的には2 型糖尿病で心血管イベントリスクの高い患者において、トレシーバは主要心血管イベン
   トの発生率に関してランタスに対する非劣性を示しました。(悪くは無い。)
   つまりトレシーバも心血管疾患に悪影響はありません。(下記のPDFのグラフを参照ください。)




私見)
 トレシーバもランタスも心血管疾患を増加はさせないようですが、ランタスの方が低血糖の頻度は多い
 ようです。40人に対して1人がトレシーバに有利な計算になるようです。
  尚、私のブログの 2017.07.07 もご参照ください。



DEVOTE研究.pdf

ORIGIN研究.pdf








posted by 斎賀一 at 15:05| Comment(1) | 糖尿病

2017年08月24日

心不全の治療にBNPは有効か?

心不全の治療にBNPは有効か?

Effect of Natriuretic Peptide–Guided Therapy on Hospitalization or
Cardiovascular Mortality in High-Risk Patients With Heart Failure and Reduced




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 私が医者に成りたての頃に比べて、心不全の診断は格段に進歩しました。
  (私でも簡単に出来るようになりました。と言ってはひんしゅくを買うかもしれませんが。)
そのトゥールの一つがBNP(本院ではPro-BNP)です。
患者さんにPro-BNPの値の変動についても説明しますが、血圧の数値と同じように一喜一憂されることがあります。「アバウトに考えてください。」と説明しても後の祭りで、なかなか納得してもらえません。

そんな患者さんのためになる論文が出ていましたので掲載します。


纏めますと

1) 対象は、心エコーで駆出率が40%以下に減少している心不全患者
   864名、平均年齢63歳、女性が32%

2) Pro-BNPを指標として1000以下を目標に徐々に治療していく群と、ガイドラインに沿って
   (下記のPDFを参照) 治療していくコントロール群とに分けています。

3) アウトカム(結果の評価)は心血管疾患の死亡率、全ての疾患の死亡率、最初の入院までの時間、
   全入院率としています。

4) 平均経過観察期間は15か月です。

5) Pro-BNP群はコントロール群と比較して、心血管疾患の死亡の危険率は0.94
   全疾患の死亡の危険率は0.84、  最初の入院までの期間の危険率は1.04
   全入院の危険率は1.29でした。
   殆ど両群では差がありませんでした。

6) 12か月後のPro-BNPの値は、Pro-BNP群では53%の減少で平均1209
   コントロール群では48%の減少で平均1397でした。
   目標の1000以下の到達率は、Pro-BNP群で46%、コントロール群では40%でした。

7) 結論的には両者で明らかな差はありませんでした。





私見)
 Pro-BNPの診断的価値はありますが、治療の成果に関するトゥールとしては、一つの参考にしか
 ならないようです。
  尚、心不全のガイドラインに関しては私のブログ : 2017.5.15 をご参照ください。





j.jacc.2017.04.025.full.pdf


Natriuretic Peptide–Guided Therapy for Heart Failure _ Cardiology _ JAMA _ T.pdf










posted by 斎賀一 at 14:52| Comment(1) | 循環器