2017年07月31日

くも膜下出血のケイススタディー

くも膜下出血のケイススタディー

n engl j med 377;3 nejm.org July 20, 2017



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 NEJMより、くも膜下出血のケイススタディーが載っていましたので纏めてみました。


1) くも膜下出血の原因の10%が、脳動脈瘤に関係ない。

2) アメリカでは人口の1~2%に脳動脈瘤が認められている。

3) 遺伝的要素もあり、Ehlers–Danlos syndromeや多発性嚢胞腎の人には脳動脈瘤が多い。

4) 7mm以上の脳動脈瘤は破裂の危険性が出てくる。

5) 動脈瘤の破裂の前には、10~40%にマイナーリーク(微小な出血)といって軽微な頭痛がある。
   2~8週間前が一般的。(風邪や普通の頭痛と鑑別が難しいです。ある脳外科の専門医が、頭痛の
   診断には1時間以上かかると言っていました。実地医家の立場ではなおさら注意が必要です。)

6)  診断にはCTが有力。ただし、くも膜下出血発症後の3日間が100%の診断確率で、5日過ぎると
   50%に低下する。もしもCTで診断できなくても、強くくも膜下出血が疑われれば髄液検査を行うが、
   偽陽性もあり、最近では推奨されていない。その他にMRI、MRAなどの画像診断の進歩がある。

7) くも膜下出血の再出血は24時間以内に4~14%起こり、その危険は30日間存続する。

8) くも膜下出血の血圧管理に関しては、依然として論争がある。

9) くも膜下出血の治療には、開頭術とコイル充填術がある。
   現在、2つのトライアル(調査結果)がある。
   開頭術の方が歴史もあるし症例も多いが、コイル術の方が術後1年間では優勢である。
   (ISATとBRAT研究      ※下記のPDFを参照)
   しかし、血腫が大きい場合や40歳以下の患者では、開頭術のほうが有効と思われている。
   何れにしても、治療に関しては両方の術式に成熟した施設での実施を推奨している。

10) 血管攣縮が破裂後3~4日で70%起こり、ピークは7~10日で、14~21日で軽快する。それにより
    神経症状が4~14日で出現し、死亡や後遺症の原因となる。
    虚血は血管攣縮の支配領域とは異なる部位で起こる事がある。

11) 遅発性の脳虚血がperfusion-CTで疑われたら、double-H療法を行う。
    hypervolemia and hypertension (輸液と高血圧療法)

12) 水頭症
    くも膜下出血による血腫により、発症後数日から数週間後に水頭症は起こる。
    術後軽快していた患者が、急に神経症状を含めて悪化してくる場合は疑う。

13) 術後の輸液管理と血圧管理に関しては論争が現在でもある。




私見)
 友人の脳外科のK先生にとっては初歩的なブログと失笑されそうですが、実地医家の私にとっては、
 “初心に帰る”  虫垂炎とくも膜下出血の診断です。
 図譜は下記のPDFをご参照ください。(あまりにも綺麗な図譜なのでNEJMには申し訳ないのですが、
 拝借してしまいました。)





くも膜下出血.pdf











posted by 斎賀一 at 19:53| Comment(1) | 脳・神経・精神・睡眠障害

2017年07月27日

糖尿病初期治療後のHbA1cが予後を予測する

糖尿病初期治療後のHbA1cが予後を予測する

Early Glycemic Control and Magnitude of HbA1c Reduction
Predict Cardiovascular Events and Mortality



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 オランダからの報告です。


1) 新規にU型糖尿病と診断された24,752人(平均年齢62.5歳)に対して、初期治療としてメトグルコ
   単独を処方し平均で2.6年間経過観察しています。

2) メトグルコを処方して180日後の到達A1cの値と低下率を調べ、その直後からの心血管疾患と
   脳卒中の頻度を、最長10年間集計しています。

3) 結果的には、初期治療のメトグルコ服用から180日後のA1c到達値と減少率が、その後の心血管
   疾患の出現頻度と死亡率に関係したとしています。

4) 論者は考察しています。
   A1cを7以下にする事はコンセンサスがあるが、6.5以下にする事に関しては異論がある。
   Metabolicmemoryやlegacy effectと言って、初期治療効果がその後の予後に関与するとの論文
   もあるがそれを証明した形である。




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   尚、A1c到達値と低下率によるグループは下記に示します。


           0727-3.PNG  




私見)
 初期治療に良く反応する群はそれだけ予後も良いと言う事ですが、当然バイアスが係ります。しかし、
 それを逆手にとって、初期治療にあまり反応が良くない場合は更に真剣にコントロールをする必要が
 あると理解しました。
またヘモグロビンA1cは、コントロールの指標に充分に耐えられる検査である事も証明されたようです。

 グラフ関係はPDFにしました。



HbA1c.pdf

A1c.pdf













posted by 斎賀一 at 14:35| Comment(2) | 糖尿病

2017年07月25日

新生児の搾乳器による汚染

新生児の搾乳器による汚染

Cronobacter sakazakii Infection Associated with
Feeding Extrinsically Contaminated Expressed
Human Milk to a Premature Infant − Pennsylvania, 2016
           


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 MMWRより、NICUに入院中の新生児が搾乳器による汚染から敗血症になり、不幸な転機になったとの報告があり、警鐘を鳴らしています。

 症例は月齢29週で出産し、NICUに入院後21週で敗血症になっています。
ベッドサイドで病院用と母親専用の搾乳器を用いていました。
敗血症の原因菌はCronobacter sakazakiiです。 (下記のPDFを参照)
病院の搾乳器には同定されていませんでしたが、母親の方に菌が同定されていました。




私見)
 院内感染は否定的ですが、セッティングがNICUです。
 どの様な感染経路か分かりませんが、院内でも自宅でも搾乳器の洗浄管理には注意が必要です。
 搾乳器には手動と電動がありますが、洗浄しやすいのは手動のようです。
 CDCから洗浄のマニュアルが出ていましたので添付いたします。




mm6628a5.pdf

breast-pump-fact-sheet.pdf

クロノバクター.pdf

厚生労働省:育児用調製粉乳中のEnterobacter sakazakiiに関するQ&A.pdf










posted by 斎賀一 at 20:42| Comment(1) | 小児科