2017年06月02日

急性心筋梗塞

急性心筋梗塞

Acute Myocardial Infarction
N Engl J Med 2017;376:2053-64.
 


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 NEJMに急性心筋梗塞の総説が掲載されていましたので、実地医家の立場から簡単に纏めてみました。
心臓に血液を供給している冠動脈の閉塞の形により、下記の様に分類されます。
最近では柔らかい粥状硬化が多く、それが冠動脈内で破綻し一気に閉塞を起こして心筋梗塞に至る、急性冠症候群が問題です。
その予防や、発症後の実地医家の内科的治療に関しては省略して、二次施設に如何に迅速に転送するかに絞り、纏めてみました。


1) 心電図のST部分の変化により、心筋の障害部位と程度を予測します。
   血液検査も迅速診断が可能になっていますが、発症後直ぐには判定出来ず、その組み合わせも
   必要になります。
   下記の図は心筋梗塞を分類しています。簡単に眺めてください。



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村川氏の教科書に急性冠症候群について記載されているので、下記に添付いたします。
最近では不安定な(急に破綻するプラーク)粥状病巣を、画像診断できる可能性が出てきているようです。


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           上記は村川裕二氏の循環器病ファイルより



 心外膜下の太い冠動脈が原因ではない心筋梗塞が、10%と増加傾向である。
 (通常の血管造影では診断できない可能性もありそうです。)


2) 血液検査ではトロポニンテストが一番早く信頼が高い。
   更に最近では高感度トロポニンテストが世界的に注目されているが、特異度が低く(心筋梗塞以外
   でも陽性になる。)現在、アメリカで承認されていない。
  
   下記に雑誌Medical Pracliceより添付いたします。


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 日本は現段階で高感度な迅速トロポニンテストは販売されていません。
通常の迅速トロポニンテストもH-FABPも、陰性の時に心筋梗塞を否定出来る価値があると著者は述べています。(それだけでは実地医家の立場からは物足りないし危ないです。)

    上記はMedical Praclice vol.32 no.10 2015より



3) 後方病院への転送に際して、一次施設(実地医家を含めて)の処置は却って無駄な時間と費用を
   費やしてしまうし、そのマイナスの逆効果は36%にまでなると概算しています。
   (クーリングを含めた処置、酸素療法などもあまり効果的でない。)


4) 実地医家としては急性冠症候群の疑いがあれば
    ・アスピリン (小児用バッファリンを推奨、バイアスピリンは腸溶錠なので不適)
    ・ニトログリセリン舌下錠
    ・鎮痛剤としてモルヒネ (本院では血圧が著しく高くなければソセゴンを使用)
   以上の投与を行って、速やかに二次施設に転送する事が大事。


5) 症状発現から12時間以内、且つ実地医家から二次施設には90分以内に転送する事を目標とすべき
   である。

6) 原因冠動脈のPCI(カテーテル治療)での治療が先決だが、その後他の狭窄している部位をいつ治療
   するかは現在研究中。

7) 二次予防のため、炎症を抑える意味で、コルヒチン(痛風治療薬)を用いる事が注目されている。




私見)
 その他、関連事項について調べ、下記のPDFに纏めました。
 本院の院内勉強会として見てください。
   (毎回私のブログを読んでくれている職員に感謝を込めて?)



心筋梗塞の勉強.pdf





posted by 斎賀一 at 20:00| Comment(0) | 循環器