2017年06月12日

DAA(経口C型肝炎治療薬)の3剤併用療法の有効性

DAA(経口C型肝炎治療薬)の3剤併用療法の有効性
 
Sofosbuvir, Velpatasvir, and Voxilaprevir
for Previously Treated HCV Infection
                    n engl j med 376;22 nejm.org June 1, 2017


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 今までに他のDAA薬(インターフェロンを用いない経口療法)で効果の無かった人を対象に、新たな
DAA合剤(3剤併用)を使用する事により、かなり有効な結果が得られたとの報告です。


DAAの遺伝子配列をおさらいしますと



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NS3/4AのVoxilaprevir、NS5AのVelpatasvir、及びNS5BのSofosbuvir の3剤併用です。
  (NSとはnon-structureの意味です。)



今回のNEJMの論文を纏めてみますと

1) 今までにDAA不成功例(耐性ウイルスの出現が主)の多くの例が、NS5Aに対する耐性ウイルスに
   よるものでした。
   NS5BのSofosbuvirは色々なウイルスの型に有効です。
   今回の治験では更にpangenominic(多種類のウイルス型に有効)なVoxilaprevirとVelpatasvir
   を併用しています。

2) 色々なウイルスの型の患者を対象にしています。
   しかも全て以前の治療に不成功の患者で、代償性肝硬変も含んでいます。

3) 基本的には12週間の治療でSVR(血液にウイルスが居なくなった状態。C型肝炎はRNAウイルス
   なので、血液にいなくなれば治癒したものと考えられます。)を調べました。
   2つのスタディの報告です。




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4) NS5AはC型肝炎の治療には重要な役割を担っているために、レジメには外す訳にはいきませんが、
   耐性ウイルスの出現が懸念されています。予想通りにNS5Aに対する耐性ウイルスが出現していた
   が、SVRにはその影響は無かったとの事です。

5) 副作用に於いても問題になる事例は殆どありませんでした。



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私見)
 未だ治験の段階ですが、一度DAAで不成功の患者さんにも朗報です。
 明日、C型肝炎ウイルスの生活環を調べてブログします。












posted by 斎賀一 at 19:55| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2017年06月08日

心房細動のガイドライン(AAFPより)

心房細動のガイドライン(AAFPより)

Pharmacologic Management of Newly Detected Atrial Fibrillation



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 アメリカの学会(AAFP)より、開業医向けの心房細動に関するガイドラインが出ましたので、纏めて
 みました。


 1) 心房細動のリズムを治療するより、脈拍数のコントロールが優先される。
    不整脈の治療薬は副作用があり、脈拍数をコントロールした方が入院率を減少させる。
    脈拍のコントロールの治療薬としては、ワソラン、β遮断薬、ジギタリスがあり、はっきりした
    エビデンスは少ないが、ワソランが優れているようだ。

 2) 脈拍のコントロールは110以下のやや緩い目標の方が、80以下の厳格なコントロールより脳梗塞
    が減少する。
    両者で入院率、心不全、死亡率、QOLに差は無く、しかも緩いコントロールの方が薬物の副作用も
    少ない。

 3) 心房細動の患者に対しては常に脳梗塞のリスクを勘案しなくてはいけない。
    特に二つのツールであるCHADS2とCHA2DS2-VAScを用いるが、その差はあまりない。
    また抗凝固薬を用いた時の出血のリスク予測も充分にしておくことが大事。

 4) 抗凝固薬のワーファリンは不安定で治療域が狭いので、DOACの方が有効かもしれない。
    どのDOACが優れているかは現時点では判明していない。
    腎機能低下の患者でもDOACは適応があるが、end-stage(透析患者やe-GFRが30以下)では
    エビデンスがあるワーファリンが推奨される。


 5) 抗凝固薬と抗血小板薬(アスピリンやプラビックス)との併用は、出血のリスクが増加するので
    推奨しない。
    ワーファリン単独に対して、ワーファリンとプラビックスとの併用を比較した試験があるが、脳
    梗塞の予防効果は同じであった。
    DOACとの併用試験は現在ない。
    ステント治療後では当然、一定期間での併用療法は推奨される。




私見)
 心房細動のオピニオンリーダーの、山下武志氏の論文がありましたので、掲載いたします。
 尚、DOAC(NOAC)に関しては以前の私のブログをご参照ください。




a-fib-guideline.pdf

山下武志氏の書籍テーマで見るNOAC治療の成熟:日経メディカル.pdf

初心に返れ!心房細動診療.pdf

心房細動治療の新時代.pdf








posted by 斎賀一 at 13:06| Comment(0) | 循環器

2017年06月07日

マイコプラズマ症の考察

マイコプラズマ症の考察
                       ツイッター版(本院、院内勉強会として)



 咳を制すれば、実地医家の外来を制する事が出来るといつも思っています。
咳嗽を如何に診断し如何に治療の戦略を練るのかは、臨床家の力量に係っているとも自負しています。
しかし、残念ながら未だその奥義を極めるには程遠いのが現状です。
 肺癌、結核、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症、等注意しなくてはいけない呼吸器疾患は多くあります。咳喘息と言った病名も独り歩きしている感があります。

 今の私にとって最初に乗り越えなくてはいけない壁は、マイコプラズマ症と認識しています。
マイコプラズマ症の診断方法は何を用いるべきか、診断後はどのような治療をすべきか、もしマイコプラズマ症でなかったら、次のステップはどうあるべきか思案いたします。
そこには過剰診断と見逃しの事実も横たわります。

 田中裕士氏の 『止まらない咳の診かた』 のマイコプラズマ症の豆知識を抜粋いたします。
下記のPDFを参照ください。
またその他の疾患についても、そのUのPDF(小児科Vol. 56 No.8 2015、小児科Vol.51 NO.9 2010及び日医雑誌第142号第63号/平成25(2013)年9より抜粋)に併せました。



長引く咳ーT.pdf


長引く咳-U.pdf













posted by 斎賀一 at 18:42| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー