2017年05月31日

蜂窩織炎に対する抗生剤の選択

蜂窩織炎に対する抗生剤の選択

Effect of Cephalexin Plus TrimethoprimSulfamethoxazole vs Cephalexin
             
Aloneon Clinical Cure of Uncomplicated Cellulitis   


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 皮膚の化膿性疾患でも、蜂窩織炎は初期の診断と治療に注意が必要です。
MRSA(多剤耐性の黄色ブドウ球菌)の存在も配慮しなくてはなりませんし、病変が急に進展する可能性も警戒しなくてはなりません。

 今回の論文ではケフレックス単独群と、MRSAを想定してバクタを追加した群との治癒率を比較しています。
大雑把に言って、ほぼ同じく80%の治癒率でした。
著者は、軽症の蜂窩織炎ではMRSAを想定しなくても、ケフレックス単独で良いのではとしています。





私見)
 そうは言っても耐性菌を心配して、本院ではケフレックスにバクタやダラシンを併用しています。(ケフレックスとバクタに関しては下記のPDFを参照ください。)
 また他の教科書によりますと、蜂窩織炎が重大な疾患に進展するのを、初期には予測が出来ないとも記載されています。
 
 患者さんには何時も「私は小心者で御免なさい。」と言い訳しています。




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         Medical Practice 34 no3 2017より





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         Jmed 見逃したらコワイ外来で診る感染症 より





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         Medical Practice vol.30 no.12 2013 より

 


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         Uptodateより





Cephalexin Plus Trimethoprim-Sulfamethoxazole for Clinical Cure of Celluliti.pdf  


間違いだらけの抗菌薬使用 外来編.pdf


uptodate.pdf






posted by 斎賀一 at 19:47| Comment(1) | 感染症・衛生

2017年05月29日

スタチン(脂質治療薬)による筋肉痛はノセボ効果?

スタチン(脂質治療薬)による筋肉痛はノセボ効果?

Statin-associated muscle symptoms: beware of the nocebo effect



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 脂質異常症の患者さんに治療薬のスタチン系を処方しますと、色々な副作用情報から筋肉痛を心配
して、服用をご自分で控える事が多々あります。
実際にはスタチンによる筋肉障害は、年間に0.2%以下と言われています。
しかし服用した5人に1人が筋肉痛や筋肉疲労を訴えるとのデータもあり、この乖離が問題でした。
 今回の論文では、その症状の多くはノセボ効果(下記のPDF参照)によるとの事です。


研究はASCOT-LLAです。

 1) 10,000人以上の高血圧を伴った脂質異常症の患者を対象に、スタチン系のリピトールと偽薬に
    分かれての研究です。

 2) ブラインド(リピトールと偽薬の薬品名を伏せる。)での3.3年の経過観察では、両者とも年間2%の
    副作用との報告でした。しかし、心血管疾患の発生が偽薬の方で明らかに増加してしまい、中途で
    この研究は中止となりました。

 3) その後オープン(薬品名を公表して経過をみました。)での2.3年間は、リピトールの方が年間
    1.26%の副作用で訴えが多く、偽薬は1.0%でした。





私見)
 スタチンで筋肉痛を訴えた場合、その多くはノセボ効果かもしれません。
 しかし自己免疫性筋症の場合もあり(以前のブログを参照ください。)患者さんには服用の必要性を説明
 する事が大事です。




Statin-associated muscle symptoms_ beware of the nocebo effect - The Lancet.pdf


ノセボ.pdf













posted by 斎賀一 at 20:12| Comment(0) | 脂質異常

2017年05月27日

高齢者にメバロチン(脂質異常症治療薬)は有効か?

高齢者にメバロチン(脂質異常症治療薬)は有効か?

Effect of Statin Treatment vs Usual Care on Primary
Cardiovascular Prevention Among Older Adults



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 世界的に高齢化社会の到来です。心血管疾患の予防のために脂質異常症の治療薬のスタチンが汎用されていますが、75歳以上での利点に関しては、あまり研究がされていません。また65歳以上では、スタチンの副作用(横紋筋融解症など)は若い人に比べて5倍にも跳ね上がります。
 心血管疾患の10年危険率は、フラミンガム研究より計算しております。
 (スタチンの服用の基準として、最近では7.5%から10%に引き上げる意見もあります。)
しかし高齢者においてフラミンガム研究の危険率の計算では、十分な予測が出来ない事も指摘されています。よって80歳以上では適応されていません。(cut-off)


 今回の論文はALLHAT-LLTの二次解析です。

まとめますと

 1) 65歳以上の高血圧の治療は行っているが、心血管疾患の既往のない2,867人
   LDLコレステロールは120~189、中性脂肪は350以下を対象にしています。
    (心血管疾患の既往がないとは下記のグラフを参照ください。)

 2) 6年間追跡調査

 3) 全死亡率はメバロチン服用で19%、非服用で16%
   75歳以上に絞ると、全死亡率は服用群で31%、非服用で23%でした。

 4) 筆者は述べています。
    横紋筋に障害が出る可能性があるので、スタチンの服用によりフレイル(身体機能の低下)を誘発
    しかねない。
    更に認知症にも関与するとのデータもある。 (この点は論争があるとの事です。)




私見)
 65歳以上ではスタチンの使用は再考を要し、75歳以上では処方する利点がないのかもしれません。
 私としては十分に心の準備をしてから決定したいと思います。





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   jamainternal_Han_2017_oi_170031.pdf








posted by 斎賀一 at 15:39| Comment(0) | 脂質異常