2017年02月27日

小児の頭部外傷;その3

小児の頭部外傷;その3
 
小児科Vol. 56 No.4 2015


       0227-5.PNG

     

 雑誌の小児科に論文が掲載されていましたのでブログしてみます。
プライマリ・ケアでの重要点が記載されています。


要約してみますと

 1) 以前より嘔吐が重要視されているが、重症度と嘔吐の有無が相関しないとのデータもあり、嘔吐が
    なければ心配ないとは言えない。

 2) 打撲時に、一過性でも意識障害や痙攣様症状があったかが重要

 3) 一過性の痙攣、意識障害及び嘔吐がなく、GCSが15点ならば経過観察で良い。

 4) 帽状腱膜下血腫(下記参照)の疑いがあれば、特に注意が必要
    触診でブヨブヨした感じ。(たんこぶは固い)

        0227-6.PNG

        

 5) 受傷後に泣き疲れて寝てしまう事があるが、起こしてでも2時間ごとに経過観察が必要。また自宅
   での入浴や通園、通学は普段通りに行い、その中での病態変化を早期に捉える事が重要

 6) 動脈性の出血は早期に症状が出現するが、静脈性では48時間後に臨床症状が出現するので、
   十分な経過観察が必要

 7) 2歳以下の受傷では全く症状が出ない場合もあり(48%)状況により、積極的にCTをとる事も
   選択肢。しかし、不穏状態でなく活発であれば、あえて鎮静剤を用いて頭部CT検査をする必要は
   ないと思われる。

 8) 受傷後の患児の機嫌を見る事も大切であり、あやしたりすることでの笑顔の有無は、乳幼児の受傷
   直後においては大切なポイントとなる。

 9) 専門医も完璧な診断が困難な事がある。問題は完璧を目指すあまり過剰な検査を行うのではなく、
   経過観察のなかで、受傷後合併症の表出タイミングを見逃さない事を目指す診療が大事である。




事故による頭部打撲のようだ.pdf








posted by 斎賀一 at 20:18| Comment(0) | 小児科

子供の頭部外傷;その2

子供の頭部外傷;その2
 
Medical ASAHI 2013 February


0227.PNG



 Medical ASAHIに論文が掲載されていました。
私としては身の丈に合った内容ですのでブログしてみます。


要約しますと

 1) 先ず病歴と身体所見
    打撲部の皮下血腫の周辺を丁寧に触診 (本院ではエコーも有効だと思っています。)
    Cushing徴候 (脳圧の亢進による血圧上昇、除脈)


 2) 意識レベルの判定


        0227-2.PNG

         合計は15点、14〜15点が軽症、8点以下が重症



 3) 総合的に診断
    CHALICE studyによる判定


        0227-3.PNG   



     
     PECARN head studyによる判定では(他の文献より引用)

        0227-4.PNG 




 4) 6時間は悪化の心配もあるので、自宅で十分に注意して経過観察をする。
    24時間経過して変化がなければ完結とする。



子供の頭部外傷.pdf








posted by 斎賀一 at 19:35| Comment(0) | 小児科

2017年02月25日

軽症頭部外傷のリスク管理;CHIIDAscore

軽症頭部外傷のリスク管理;CHIIDAscore

Development and Internal Validation of a Clinical Risk Score for
Treating Children With Mild Head Trauma and Intracranial Injury



0225.PNG




 頭部外傷時における診察の判断基準に、Glasgow Coma Scale(GCS)があります。(下記参照、これから見てください。)
その基準で13~15が軽症です。この軽症患者を対象に、リスク管理のためのスコアー化を示した論文がでました。



 要点をまとめてみました。

 1) 2004~2006年にかけて行われた後ろ向き調査のPECARNを基盤に、2015~2016年の前向き
    調査を行っています。(下記に昔の文献も掲載します。)

 2) 対象は18歳以下の頭部外傷で、GCSが13~15の軽症患者でかつCT検査を実施した15,162名
    です。

 3) 最初の身体診察及びCT検査所見でスコアー化をしています。




         0225-2.PNG 



    GCSが15は0点、14は2点、13は5点、
    CT所見で陥没骨折が7点、中心の偏移が7点、硬膜外血腫が5点、

 4) アウトカム(結果転帰)は外科的介入または死亡としています。

 5) 18歳以下の頭部外傷患者、42,735名の中15,162名がCTを実施 (35.5%)
 CT実施の内、839名に頭蓋内病変がありました。(5.5%)
    頭蓋内病変の内、611名(72.8%)はGCSが15でした。
    73名が転帰をしていて、70名が外科的介入をしています。(つまり3名が死亡)

 6) CHIIDAscoreはアウトカムに対応していました。



         0225-3.PNG  


 
 7) 一般開業医に一番関心のある点ですが、CTはとらずに経過観察で良いスコアーを0点とすると、
    その陰性適中率は98%(0点ならCTをとらなくても良い適中率)でした。
    しかしICUなど、集中治療室での管理が必要かどうかの陽性適中率は高くありませんでした。




私見)
 残念ながらCTを実施出来ない一般開業医では、GCSを重視して、PECARN(下記のネットにアクセス出来ます。)に則り、2次施設に紹介する事が肝要のようです。後日、開業医向けの論文をブログします。



 
 https://www.mdcalc.com/pecarn-pediatric-head-injury-trauma-algorithm

jamapediatrics_Greenberg_2017_oi_160097.pdf

前の文献.pdf

GCS.pdf

GCSの覚え方.pdf

ナースのために.pdf

















posted by 斎賀一 at 15:58| Comment(1) | 小児科