2017年01月13日

前立腺癌に対する新しいガイドライン

前立腺癌に対する新しいガイドライン



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 2016年10月に、前立腺癌に対するガイドラインが新しく改訂になったとの事ですが、詳細に関して私はまだ見ていません。
同年の日本医師会雑誌、11月号に前立腺癌の特集がありましたので、それを代用してまとめてみました。


 1) 近い将来に、男性の癌による頻度は前立腺癌が一番になると予想されている。高齢化社会の到来と
    PSA健診の効果と考えられている。

 2) ラテント癌(臨床症状がなく病理解剖などで偶然に発見される前立腺癌)は本来、早期診断で少なく
    なるはずだが減少しておらず、若い人ではむしろ増加している。この事は前立腺癌が生物学的に
    増加している事を表している。 (食事の欧米化による影響か、とも推測している。)

 3) PSA検診に対しては賛否両論があり、ここ数年は世界的に混乱していた。
    PSA検診無用論がアメリカから発信されたが、これに対してヨーロッパでは有用論が支配的で、
    今回の日本での新しいガイドラインでも有用であると結論づけている。
    但しPSAが1.0以下では毎年検査しなくても良く、1.0~4.0は毎年検査をすべきと層別化している。

 4) 診断の基本は生検(経直腸的にエコーガイド下で、生検刺を刺して前立腺組織を採取する。一般的
    に8~10本あるいは12本採取する方法)であるが、最近ではMRIの進歩により、先にMRIを実施
    する施設が多くなっている。

 5) 病理診断は一般的な臓器の診断とは異なり、構造異型をもって行う。
    (詳細は省略しますが、大腸ポリープのグループ分類とは異なります。)
    グリーソンスコアー(一番多い異型と二番目に多い異型を足す。)で構造異型を表していましたが、
    患者さんに説明する時にやや理解しにくい点があり、代わってグレードグループも用いられていま
    す。現在は病理の報告書は、この両者を併記するのが慣例です。




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         大ざっぱに言って、腺管構造があるかで決めています。



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 生検の場合は3から始まりますので、最低でも(一番良性でも)3+3で6から始まります。

 6) 限局癌の治療
     a;以前はPSA監視療法と言われていましたが、PSAはかなり変動するのでMRIなどの画像診断
      も取り入れるので、単に監視療法としています。癌の進展を疑う場合には基本的に生検を行う
      としています。 (しかし生検は侵襲的のため、PSAや画像診断も参考にしていきます。)
       この監視療法の適応は、グレードグループが1か2の場合です。
     b;手術療法は最近ではロボット支援手術が半数で行われている。
       この方が手術時の出血が少なく、手術時間も短縮される利点がある。
     c;放射線療法も最近では進歩が目覚ましく、IMRT,シード治療,小線源治療があります。

 7) 進行癌の治療
     この分野も進歩が著しく、新薬が登場しています。
     参考までに順天堂のPDFも載せてみました。

     尚、下記の処方例はvol.70 no.4臨床泌尿器科増刊号2016より抜粋しました。



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私見)
 監視療法も過剰診断、過剰治療を避ける意味で設けられた治療法の一種です。 
 当然ながら、十分な監視が必要なようです。
 ロボット支援手術も施設により習術度があり、一概にこの方法がベターとは言えないようです。

 

前立腺癌ガイドライン.pdf


前立腺がんの薬物療法 _ 順天堂大学・順天堂医院泌尿器科.pdf






 
posted by 斎賀一 at 22:00| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺