2017年01月24日

前糖尿病のスクリーニング法と介入治療

前糖尿病のスクリーニング法と介入治療
 
Efficacy and effectiveness of screen and treat policies in prevention of type 2
diabetes: systematic review and meta-analysis of screening tests and interventions



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 “前糖尿病”との診断名には反対意見がありハイリスク群としている論文もありますが、日本では下記のように境界型とか、糖尿病型としています。(必ずしも前糖尿病とは一致しませんが)




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        Medical Practice vol.32 110.1 2015より




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         糖尿病治療ガイドラインより



 前糖尿病とする診断基準はアメリカ糖尿病学会(ADA)が一般的ですが、WHOによるものもあります。

ADAによると 
 空腹時血糖が100~125、負荷試験の2時間血糖が140~199、A1cが5.7~6.4 のいずれか

WHOによると
 空腹時血糖が108~125、負荷試験の2時間血糖が140~199、A1cが6.0~6.4 のいずれか


明らかにWHOなどの従来の基準に比べてADAの新基準は緩い印象です。
ADAの基準により前糖尿病状態が多くなるようです。
(この事に関しての論文を、以前に私のブログでもご紹介いたしました。)

今回の論文は前糖尿病と診断する正確さと、その後の治療的介入の成果を検証しています。




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      WHOの基準では27%が前糖尿病と診断されます。
      空腹時血糖、糖負荷試験での2時間血糖、A1cでの診断結果を図譜で示しています。




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      ADAの基準では54%も前糖尿病と診断されています。




今回の論文を要約しますと

 1) 18歳以上を対象に調査

 2) 負荷試験での2時間の血糖値を基準にして比較調査しました。
     空腹時血糖値は感度が0.25で特異度は0.94
     A1cは感度が0.49で特異度は0.79でした。
     何れにしましても、前糖尿病と診断するにはA1cも空腹時血糖値も正確さに劣るようです。

 3) 前糖尿病と診断しての介入治療として、ライフスタイルの改善では37%の効果に比して、メトグルコ
   の投与では26%とやや低下傾向です。


 筆者は糖尿病の発生抑制にこのスクリーニングと治療の戦略は不十分で、糖尿病と無関係の人まで対象になってしまう可能性を指摘しています。




私見)
 前糖尿病という診断名も場合によっては曖昧で、必ずしも糖尿病に直結しないかもしれません。
 随時血糖、A1c、尿糖、眼底検査などの臨床症状など、総力を挙げて糖尿病のリスクを判断しなくてはいけないようです。この事は特定健診での指導の際にも注意が必要になりそうです。 
(何れにしても王道は無いと言う事でしょうか。)

Uptodateの内容も参考にしてみます。



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       FPGの5.6は血糖100で、 7.0は125です。






Efficacy and effectiveness of screen and treat policies in prevention of type 2.pdf





posted by 斎賀一 at 22:11| Comment(0) | 糖尿病

2017年01月20日

原発性アルドステロン症の新基準

原発性アルドステロン症の新基準



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 日経メディカルに、原発性アルドステロン症の診断のための新基準が載っていましたので、ご紹介いた
します。

 血圧の原因は多くが体質というか不明です。しかし治療抵抗性の場合や比較的若い人の場合は、二次性高血圧といって何らかの疾患により、高血圧を引き起こしている事があります。
特にこの原発性アルドステロン症は、意外に多い疾患だと言われています。
以前は低カリウムの場合に鑑別すると教わりましたが、カリウムが正常な方が多く、高血圧患者には積極的に鑑別検査を実施する必要があるようです。

 原発性アルドステロン症は、副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることによって起こる高血圧の疾患です。
過剰分泌の原因は、副腎の過形成と良性の腫瘍である腺腫の二種類ですが、この過形成とは副腎の細胞が多いか大きいかだけで、増殖はある程度で止まります。従って手術などの積極的な治療は必要ありません。
 一方の腺腫は良性ですが、腫瘍ですので増殖し、アルドステロンの分泌も多くなるので合併症も出現します。
この二つを鑑別するために、更なる精査が必要となります。

 今回の基準では、スクリーニング検査でアルドステロン/レニンの比(A/R)と、単独でのアルドステロン値の両者が診断基準となりました。ここで異常値が出たら、更に精査としてカプトプリル負荷試験(機能確認検査)を実施します。
この両方の検査(血液検査)で陽性の時に専門病院へのご紹介となり、過形成と腺腫の鑑別をしてもらいます。




私見)
 やや煩雑な検査過程ですが、ご了承ください。
 更に次の点にもご留意ください。


 1) スクリーニングのA/Rでは30分以上の安静臥症が必要
 2) カプトプリル試験は原則早朝空腹時
 3) 降圧剤のARBやACE阻害薬は検査に影響するので、本院では原則、降圧剤の第一選択薬はCCB
   を用いています。





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原発性アルドステロン症に新基準.pdf







posted by 斎賀一 at 20:05| Comment(0) | 循環器

2017年01月19日

60歳以上の高齢者の至適血圧は?

60歳以上の高齢者の至適血圧は?
 
Pharmacologic Treatment of Hypertension in Adults Aged
60 Years or Older to Higher Versus Lower Blood Pressure
Targets: A Clinical Practice Guideline From the American College
of Physicians and the American Academy of Family Physicians



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 60歳以上の高齢者(?)の至適血圧に関して、アメリカの学会のACPとAAFPよりガイドラインが発表に
なりました。


 1) 持続して血圧が150以上の人は、脳卒中や心血管疾患の罹患が増加するので、150以下に治療
   する。

 2) 更に積極的に降圧する利点は限られているが、ケ−スにより必要な場合がある。
    (以前に本ブログでもご紹介したSPRINT研究では、高齢者も120以下にした方が効果があると
    していましたが、ACCORD研究では、同じ対象者でもあまり積極的な治療の効果はなかったとして
    います。その事を踏まえてのコメントかと思われます。)

 3) しかし積極的治療(目標を120)で心配されている副反応の、認知機能の低下、めまい、転倒による
   骨折、QOLの低下などは標準治療と殆ど差がないとしています。

 4) 既往に脳卒中や心血管疾患がある等、リスクの存在する場合は140以下としています。

 5) 拡張期血圧に関しての研究は十分でないため、今回のガイドラインには記載されていません。

 6) 当然ながら、体重の減量、運動、食事療法を薬物療法と伴に実施しなくてはなりません。

 7) 積極的にジェネリックを勧めています。




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私見)

 一般的には高齢者(60歳以上?の人)の血圧は150以下を目標
 脳卒中や心血管疾患のリスクがあれば140以下
 もしも費用対効果を考慮しても利点があれば120以下も可

 
 以上が、ま〜結論でしょうか。
 それにしても、なんで急に高齢者が70歳以上になったんでしょうか?
 しかも准高齢者や超高齢者とかの分類まで出来て...。
 私は後期高齢者じゃないけど、今年だけは “准高齢者” なんですか?
 偉い人は何かと人を分類したがるんでしょうか...。
 従来通りに高齢者で頑張りますから大きなお世話です!




AIME201703210-M161785 (1).pdf




posted by 斎賀一 at 15:19| Comment(1) | 循環器