2016年11月30日

ノロウイルス流行時の補水に関して

ノロウイルス流行時の補水に関して

 
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 日経メディカルに、感染性胃腸炎の補水に関しての記事が載っていましたので掲載いたします。

 要点をまとめますと
  1) ナトリウムが十分に含まれた補水液を選ぶ。
  2) 医療機関を受診する前から、補水に気をつける。
  3) 一回に5cc程度から始める。
  4) リンゴ味を好まない場合は、全体を凍らせてそれを砕いてシャーベットにするか、人肌に温めて
     与える。
  5) 補水と点滴では、重症脱水でなければ同等の効果



私見)
 以前、私のブログでご紹介いたしましたが、希釈したリンゴジュースも効果的ですので、早めの補水を
 心掛けてください。
(補水、またはノロで検索してください。)




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日経補水.pdf 





posted by 斎賀一 at 19:43| Comment(1) | 感染症・衛生

2016年11月29日

米国と英国の腹部大動脈瘤の治療の差

米国と英国の腹部大動脈瘤の治療の差

Thresholds for Abdominal Aortic Aneurysm
Repair in England and the United States
N Engl J Med 2016;375:2051-9.



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 各国によって腹部大動脈瘤の手術時期は異なります。
2005~2012年にかけての腹部大動脈瘤の手術の時期と臨床結果の差を、米国と英国とで比べています。
米国の278,921例、英国の29,300例を対象にしています。(米国の方が10倍)
手術頻度は英国の方が少なく(オッズ比;0.47)
大動脈瘤関連死は英国の方が多く(オッズ比;3.60)
破裂での入院は英国の方が多く(オッズ比;2.23)
手術時の大動脈瘤の大きさは、英国では63.7mmで米国では58.3mmでした。
結果的には米国の方が、動脈瘤破裂率と動脈瘤関連死は低かったとの事です。

 筆者は下記のように考察しています。
  1) 米国ではステントを用いたステントグラフト治療が、英国より2倍近く多い。
     しかし手術での入院中の死亡率と術後3年間の生存率に両国に差がない事で、ステントグラフト
     治療の安全性が証明された。
  2) 動脈瘤破裂や関連死が、英国では米国に比して2倍多い事は早期での治療が有効である。
  3) 50~84歳で腹部大動脈瘤が30mm以上の頻度は、米国では1.4%、英国では1.3%とほぼ同じ
     である。この事からも両国での比較が可能である。



私見)
 60mm以下でのステントグラフト治療が推奨のようです。

N Engl J Med 2014;371:2101-8.より開腹術による血管再建とステントグラフト治療の図譜が載っていますので添付いたします。


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下記より、本論文からのグラフです。


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         動脈瘤破裂の頻度の差



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         動脈瘤関連死の差



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         手術時の動脈瘤の大きさの両国での差


以前の私のブログもご参照ください。






posted by 斎賀一 at 21:00| Comment(0) | 循環器

2016年11月28日

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

Graves’ Disease
 N Engl J Med 2016;375:1552-65



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 最近、バセドウ病の患者さんが来院しました。疾患について十分に説明出来ませんでしたので、ブログで解説いたします。
またNEJMで最近、総説が載っていましたので、それを基にしてみます。


総説をまとめてみますと

 1) 30~50歳が一番多く罹患する。

 2) ヨードの摂取とバセドウ病の関係は長期的には関係がない。
    しかし、短期的な過剰摂取は疾患を一時的に増加させるかもしれない。

 3) 高齢者の方が一般的症状(疲れやすい、食欲低下、循環器症状)は多い。
    心房細動は若い人では稀であるが、60歳以上では10%以上となる。

 4) 原因としては、遺伝と環境が考えられています。
    環境としては、ヨード摂取(日本では稀とされています。)・ストレス・喫煙・感染

 5) 分子生物学的研究では免疫機能の異常が指摘されています。
    本来、甲状腺の細胞は再生能力が旺盛ですが、免疫細胞に甲状腺細胞の抗原が付着し、甲状腺
    刺激の抗体(TSHレセプター抗体)が作られ、それが甲状腺に作用して甲状腺細胞の増殖、甲状腺
    ホルモンの増加につながります。下記にシェーマのPDFを添付します。

 6) 診断
    臨床症状と各種の血液検査で決めていきます。
    (血液検査としてTSH,FT4,FT3,TRab,TSabなどがありますが、検査費が意外に高く、FT3は稀で
    あり、TSabは感度が80%以下のために、本院では2次検査としています。またバセドウ病以外で
    も甲状腺機能亢進症はありますので、鑑別診断は慎重にしなくてはいけません。
    そのために再度来院されて追加検査を行う事も多々ありますのでご了承ください。)

 7) 抗甲状腺薬としてはメルカゾールとプロパジールがあります。
    妊娠の初期にはプロパジールを処方いたしますが、一般的にはメルカゾールの方が副作用が少な
    く汎用されます。
    残念ながら、メルカゾールでの治癒率は50%前後です。
    一度緩解して、投与を中断してからの再投与での治癒率は20%以下のようです。

 8) メルカゾールで副作用が出た場合はプロパジールに変更しますが、論者は副作用の頻度は同じ
    なので、変更はせずに他の治療選択とするとしています。

 9) アイソトープ治療
    下記にPDFを添付いたしました。
    癌の発生は心配ないが、眼球突出は悪化することがある。
    治療後は一生、甲状腺機能検査を続ける必要がある。

10) 外科手術
    手術前に甲状腺機能を正常化しておくことが予後にとって重要
    更に、手術前の1週間はヨードを服用
    妊娠希望、甲状腺肥大が著明、他の治療を好まない、等の場合は適応
    眼球突出には効果がない。



私見)
 甲状腺の疾患は多く、更にバセドウ病の診断、治療に関しても複雑です。
 慢性疾患でもあり、本院でも経過により専門病院にご紹介する場合もあるのでご遠慮なくご相談下さい。
 やや専門的になってしまいましたので、医師会のパンフをPDFで下記に添付いたします。参照ください。
 プリントが必要な場合は受付にお話し下さい。



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        免疫細胞が甲状腺の抗体を作り、刺激してホルモンを増加させる。



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        意外に見落とされる皮膚症状と指



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         田上哲也氏より
         大事なことは禁煙



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                                      田上哲也氏より


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ヨードを多くとると甲状腺機能は低下するが、直ぐに(10日前後)エスケープが起こり正常化する。
診断が判明するまでヨードを服用する場合がありますし、バセドウ病で少量のヨードを併用することも
あります。
                                       以上、深田修司氏より



健康の森/バセドウ病.pdf

健康の森/バセドウ病2.pdf

健康の森/バセドウ病3.pdf

眼球突出の治療.pdf

甲状腺アイソトーぷ.pdf







posted by 斎賀一 at 21:28| Comment(0) | 甲状腺