2019年09月20日

静脈血栓塞栓症(VTE)に対するDOAC(エリキュースとイグザレルト))

静脈血栓塞栓症(VTE)に対するDOAC(エリキュースとイグザレルト)
 
Systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of
apixaban compared to rivaroxaban in acute VTE in the real world
 


0920.PNG

     

 静脈血栓塞栓症(VTE)とは、肺血栓塞栓症(PE)と深部静脈血栓症(DVT)を併せた疾患概念です。
それらは迅速な診断と治療を要します。
心房細動で処方されるDOACがヘパリンに変わり、VTEにも用いられています。
DOACの中でもエリキュースとイグザレルトが、プラザキサやリクシアナよりも多く処方される傾向の
ようです。
今回の論文はVTEに関して、このエリキュースとイグザレルトとのガチンコ勝負をメタ解析した論文が
出ています。


1) 心房細動の無い急性のVTE患者24,041人を対象に調べています。

2) 主要転帰は6か月後のVTEの再発率、及び重大な出血と軽症の出血です。

3) 結果は
  ・VTEの再発率は、エリキュースが1.14%、イグザレルトが1.35でほぼ同等です。
  ・比較的重症の出血は、エリキュースが0.74%、イグザレルトが1.03%です。
  ・軽症の出血は、エリキュースが4.95、イグザレルトが8.77です。

4) 考察として効果は同等ですが、副作用の出血に関してはエリキュースの方が優位なようです。
   これは、エリキュースが1日2回の服用である事の薬物動態によるところが大きいと解釈しています。
    (eak-to-trough ratio)







私見)
 患者さんの服用回数の希望にもよりますが、エリキュースが無難でしょうか。








1 VTE.pdf

2 NOAC.pdf












posted by 斎賀一 at 17:28| Comment(0) | 循環器

2019年09月19日

大腸癌検診に隔年の便潜血は有効

大腸癌検診に隔年の便潜血は有効
 
Diagnostic Yield of One-Time Colonoscopy vs One-Time
Flexible Sigmoidoscopy vs Multiple Rounds of Mailed Fecal
Immunohistochemical Tests in Colorectal Cancer Screening



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 隔年の便潜血反応検査(FIT)は1回ぽっきりの大腸ファイバー(TCF)や、S字状結腸ファイバー
 (SCF)よりも有効との論文がありました。


纏めますと

1) 50~74歳の症状のない30,007名を対象にしています。
   隔年のFIT群は郵送で実施し15,046名、1回だけのSCF群が8,407名、
   1回だけのTCF群が6,600名の3群の比較です。
   FIT陽性者はTCFを勧めますし、SCFで下記の所見のポリープが存在した場合は、続けてTCFを
   勧めています。(10mm以上、villous pattern、高異型性、20mm以上の過形成ポリープ、
   鋸歯状(SSA)、3個以上のポリープ)

2) 主要転帰は、其々の3群で見つかったCRC(結腸及び直腸の悪性度が高い病変)の累積数です。

3) 累積受診率はFITが77%、SCFが31%、TCFが24%です。
   累積CRC発見率はFITが4.5%、SCFが2.3%、TCFが2.2%でした。
   スクリーニング検査としての累積CRC発見はTCFが9.1%と一番高く、次がSCFの7.4%で
   FITは6.1%でした。
   スクリーニングでは陰性でも、次に大腸がんが見つかる確率は、FITで0.13%、
   SCFで0.09%、TCFで0.01%でした。

4) FITはCRCを発見するスクリーニング検査としては、十分にその価値があると結論づけています。
   本論文でのCRCは、大腸癌を直接意味しませんので注意してください。
   又、FITとはこの場合に便潜血陽性を意味します。







私見)
 スクリーニング検査としての精度はTCFが勝りますが、累積受診率はFITがTCFの3倍もあり、当然その
 結果、FITの累積発見率は一番高くなります。
 ザックリと言って、FITが陽性の場合に悪性度が高い結腸病変の確率は20人に1人ですが、スクリー
 ニングとしてTCFを行った場合は10人に1人の割合となります。


 そこで本院からの提案は

 ・少なくとも2年に1回は、便潜血反応の検診を受ける。
  検診目的で大腸ファイバーを希望する場合は、原則10年に1回は受けてください。
 ・一回でも便潜血が陽性ならばそれは確率の問題なので、それ以上便潜血検査を行っても意味がない。
  次のステップとして、大腸ファイバー検査を受けてください。
 ・痔のある方は便潜血検査を受けずに、10年に1回の大腸ファイバーでの検診を受けてください。

尚、以前のわたしのブログも参照ください。 (便潜血で検索)
便潜血陰性の場合の、偽陰性が問題です。






Diagnostic Yield of One-Time Colonoscopy vs One-Time Flexible Sigmoidoscopy .pdf






posted by 斎賀一 at 14:07| Comment(1) | 消化器・PPI

2019年09月18日

胃癌予防の三種の神器

胃癌予防の三種の神器
 
Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic
supplementation on gastric cancer incidence and mortality



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 以前から提唱されている胃癌の予防として、・ピロリ菌の除菌・ビタミン剤のサプリ・ニンニクがあります。
今回中国の研究者から22年間の追跡調査が発表になりました。同じ研究者から以前に15年間の報告がありましたが、更に期間を延長しての論文です。



纏めますと


1) 中国の胃癌の多発地域(山東省)に対して調査を行いました。
   この地域は栄養的に偏っているとの事です。(しかしこの設定自体が本論文の限界を示しているとも
   指摘されています。)

2) 山東省の住民3,365名を登録
   血清学的に、ピロリ菌陽性の2,258名と、陰性の1,107名を抽出しています。
   ピロリ菌陽性者は  ・2週間の除菌 ・ビタミンサプリ ・ニンニクサプリ の3群に対して、
   コントロール群と其々比較検討する2×2×2を実施しました。
   一方のピロリ菌陰性者は  ・ビタミンサプリ ・ニンニクサプリ の2群とコントロール群を
   比較した2×2を行っています。
   尚ビタミンサプリとニンニクサプリの2群は、平均で7.3年間服用しています。

3) 1995~2017年間で151例(4%)の胃癌が発生し、胃癌関連死亡は94例(3%)でした。
   ・22年間の経過観察でコントロール群と比較して、胃癌発生の危険率は
     除菌群の危険率は0.48
     ビタミン群では0.64
     ニンニク群では0.81 でした。
   ・22年間の胃癌関連死亡例の危険率は
     除菌群の危険率は0.62
     ビタミン群では0.48
    ニンニク群では0.66でした。
     其々の3群では効果に時間差がありました。  ※下記のPDF参照
  
4) 本論文では、ピロリ菌感染と大腸がんの発生に関して関連性は証明できませんでした。
   更に次の要は見解を記載しています。
   ピロリ菌の胃癌に関する発癌機能は早期に起るので、除菌が遅れると高齢者ではその効果がない
   とする論文があるが、ピロリ菌除菌は腸上皮化生の発生には変化を及ぼさないが、萎縮を改善し
   慢性胃炎の程度も軽減し、更なる腸上皮化生の進展を防いでいる。
   更に55~71歳の高齢者で腸上皮化生があっても、除菌の効果があるとする研究報告もある。
   よって除菌が遅れても発癌を予防出来る事が証明されている。
   推論だが、除菌によりピロリ菌以外の発癌性の菌もなくなり、その後の胃癌の予防にも繋がるため
   高齢者も若い人と同様の除菌効果があるとしています。



         0818-2.PNG






私見)
 勿論、私は総合ビタミン剤とニンニクを愛用しています。
 しかし 4) の見解はやや強引すぎる展開ではないかと思います。
 腸上皮化生がある種の胃癌の発生母地である事は間違いないのですが、除菌との関係は更に勉強を
 したいと思います。
 但し高齢者に対しても除菌の効果はある程度ありそうです。






Helicobacter pylori treatment.pdf














 
posted by 斎賀一 at 19:05| Comment(1) | 消化器・PPI