2019年12月14日

抗インフルエンザ薬の使い分け

抗インフルエンザ薬の使い分け
        <業務連絡用>



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 今シーズンは、インフルエンザ治療薬が多種類市上されておりメリットも多い反面、使い方に思案して
しまいます。


基本的にはタミフル
 安定した血中濃度が期待され、又10代の使用制限が2018年に削除されたため、現在では新生児から
 高齢者まで使用出来ます。

イナビル吸入剤は
 長時間にわたり気管や肺に停留して抗ウイルス効果を発揮するため、一回投与で完結します。
 一昨年からは予防投与も認可されています。
 又、本年度からコンプレッサーを用いた乳幼児向けの製剤も市上されました。

ゾフルーザは
 高率にウイルスのアミノ酸変異を生じる事により懸念されていますが、その影響に対しては未だ明らか
 ではありません。しかし抗ウイルス作用に優れ、早期より周囲への感染性を低下させる事も期待されて
 います。
 他のノイラミニダーゼ阻害薬との併用に関しては期待されますが、十分なエビデンスは未だありません。 

  (と言う事は、もしかして?)




         1214-2.PNG



   

◆参考文献
 抗インフルエンザ薬の使い分け  ; 浦上宗治  Medical Practice v.36 n.12. 2019






私見)
 最近、車の番組である著名人が言っていました。
 「初代のマツダロードスターに比べたら、今度のはしっくりいかないんですよ。初代を越していないと
 思いますね。」
 しかし、ちょっと思ったんです。この新型ロードスターにどれだけの開発努力を関係者はしたんだろう
 かと。
 世界の田崎が言っています。「このワインは高級だが、あちらはだめだと言う人は、人に対してもそう
 いった見方をするんじゃないかと思うんですよ。」

 事は人の健康に影響する薬です。厳格な専門家の評価が必要です。しかし専門家と言えども軽々に
 評価を下すべきではないと思います。
 抗インフルエンザ薬にはそれなりの特徴があります。日経メディカル総説の河合直樹氏のレポートは
 参考になります。下記のPDFで掲載します。職員の皆さん、シーズン到来で勉強しましょう。
 (本ブログの写真のロードスターに免許返納の前に購入して、九十九里海岸を一人でゆったりと走りたい
 です。本当はその気になれば、もっとぶっ飛ばせるんだぞと思いながら...。)







小児 インフ 治療薬.pdf

イナビル.pdf









posted by 斎賀一 at 16:11| Comment(0) | インフルエンザ

2019年12月13日

舌圧子とK-ポイント

舌圧子とK-ポイント
   <業務連絡用>

                     

                                                       
 日々の診療で咽頭を観察するのは意外に至難の業です。舌圧子と患者さんの舌との格闘の連続です。
インフルエンザ特有の咽頭所見もあり、この時期は苦労しています。
今回、日経メディカルからK-ポイント刺激による開口方法が紹介されていました。私も試していますが、
かなりの業です。
私もそれなりに工夫しました。舌圧子を水平に患者さんの左側に挿入し、ゆっくりと臼歯の奥まで入れていきます。そこで舌圧子を時計回りに回転し軽くこのK-ポイントを刺激します。
最近、毎日これに凝っています。


 結核診断にはT-スポット、BANさんの好きなのはG-スポット、今回私がハマっているのはK-スポット!








舌圧子.pdf

Jaw Opening and Swallow Triggering Method for Bilateral-Brain-Damaged Patien.pdf









posted by 斎賀一 at 19:36| Comment(1) | その他

2019年12月12日

 65歳以上の肺炎球菌ワクチンについて

 
65歳以上の肺炎球菌ワクチンについて
 
Use of 13-Valent Pneumococcal Conjugate
Vaccine and 23-Valent Pneumococcal Polysaccharide
Vaccine Among Adults Aged ≥65 Years


  
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 アメリカのCDCのMorbidity and Mortality Weekly Reportから、65歳以上の肺炎球菌ワクチンに対する最新の勧告が発表になっています。
CDCとACIP(advisory committee on immunization practices)の見解では若干の相違があり
そうですが、結論的には全ての65歳以上の人に23価ワクチン(ニューモバックス)の後、13価ワクチン
(プレベナー)を接種する必要はないとの事です。


以前に私のブログでも紹介しましたが、もう一度予備知識として纏めてみます。

1) 肺炎球菌ワクチンは2種類あり、日本では小児には13価ワクチン(プレベナー)を、65歳以上の
   成人には23価ワクチン(ニューモバックス)を接種します。作用の違いは下記のPDFを参照ください。
   結論的に比較しますと
  ・13価ワクチン(プレベナー)の利点
    細胞免疫と液性免疫の両方を刺激するため、何回も接種するとブスター効果が認められ小児にも
    効果がある。
    長期の免疫維持が可能。
  ・13価ワクチン(プレベナー)の欠点
    粘膜の抗体を刺激して菌の増殖を抑制するので、キャリアの肺炎球菌叢に変化を及ぼす。
  ・23価ワクチン(ニューモバックス)の長所   
    侵襲性肺炎球菌感染症の70%をカバーしている。
    咽頭の肺炎球菌叢に変化を及ぼさない。
  ・23価ワクチン(ニューモバックス)の欠点
    液性免疫のみを活性化するので、何回接種してもブスター効果は無い。
    長期の免疫維持は出来ない。

2) 具体的な事例として仮想空間で考えたいと思います。
   お爺ちゃんとお孫さんが週末に抱き合ったとします。・・・その危険率は?



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  ・お爺ちゃんが23価ワクチン(ニューモバックス)を接種していて、お孫さんが13価ワクチン
   (プレベナー)を接種していない場合は、お爺ちゃんの細菌叢には変化がないので、危険率は同じ。
  ・お爺ちゃんが23価ワクチン(ニューモバックス)を接種していて、且つお孫さんも13価ワクチン
   (プレベナー)を接種していれば、双方の危険率に変化はまずない。
  ・お爺ちゃんがなにも接種しておらず、お孫さんが13価ワクチン(プレベナー)を接種していれば、
   お孫さんの細菌叢に変化が起きている可能性があり、お爺ちゃんも危険があるかもしれない。
   しかし現実的には子供の接種により成人の肺炎球菌の感染は低下している。
  ・お爺ちゃんが23価ワクチン(ニューモバックス)の後に13価ワクチン(プレベナー)を接種していて
   お孫さんが13価ワクチン(プレベナー)を接種していない場合は、お爺ちゃんの細菌叢に変化が
   起きていてお孫さんの危険率もあがる。
   しかし、基本的には肺炎球菌の温床は子供から大人です。

Morbidity and Mortality Weekly Report

前置きが長くなりましたが、本MMWレポートを纏めてみます。

1) 施設に入居している高齢者は、13価ワクチン含有の肺炎球菌感染症の危険がある。
   特に13価ワクチン(プレベナー)を接種していない子供の多い地域では、その危険がある。

2) ACIPは全ての65歳以上の人に、23価ワクチン(ニューモバックス)の後に13価ワクチン
   (プレベナー)を接種する事を勧奨してきたが、子供の13価ワクチン(プレベナー)が行き渡り、
   65歳以上の人に13価ワクチン含有の肺炎球菌感染症の危険が低下しているのに、更に13価
   ワクチン(プレベナー)を接種しても社会として効果はあまりない。



         1212-3.PNG



  
3) 結論として、65歳以上の人には23価ワクチン(ニューモバックス)の後に13価ワクチン
   (プレベナー)を接種するかは、臨床家と相談して決める事としています。
   接種する事に賛成の立場も表として記載していますので、参考にして下さい。

参考までにUPTODATEの最新版This topic last updated: Nov 27, 2019

1) 23価ワクチン(ニューモバックス)は以前85~90%をカバーしていたが、最近では50~60%と低下
   している。

2) 13価ワクチン(プレベナー)が成人にも有効と言うハッキリした科学的根拠はないが、ハイリスクの
   成人に使用されている。

3) 23価ワクチン(ニューモバックス)を、ハイリスクの人には5~10年後に再接種する事を勧めている。
   これは5~10年後に効果が減少するからである。
   しかし、適切な時期とその後の回数は不明である。
   一般的なリスクとしての慢性疾患のある人では、10年後の再接種を推奨している。

4) 23価ワクチン(ニューモバックス)の再接種を5年以内に行うと、免疫反応が鈍くなってしまう。
   5年経てばこの免疫反応は回復する。

5) 何れのワクチンも接種していない成人は、最初に13価ワクチン(プレベナー)を接種してから23価
   ワクチン(ニューモバックス)を接種する事を勧めている。
   細胞免疫のB細胞が最初に活性化されていると、免疫応答が活発化されるからである。

6) インフルエンザワクチンとの同時接種は、安全性が確立されている。

7) 結論的にはMMWレポートと同じ勧告です。






私見)
 現時点では65歳以上での23価ワクチン(ニューモバックス)の再接種は、一般的には10年後で良さそう
 です。しかも何を接種するかは未だはっきりとしません。
 取りあえず理想形としてのマニュアルは下記の様です。



         1212-4.PNG 
 
         上記の図は今回の勧告前のものです。







1 本論文.pdf

2 肺炎球菌ワクチン1.pdf

3 私のブログより.pdf










posted by 斎賀一 at 13:50| Comment(0) | ワクチン