2018年08月15日

降圧剤及び脂質異常症薬の効果とライフスタイル

降圧剤及び脂質異常症薬の効果とライフスタイル
                 :HOPE-3研究から
 
Effects of Lipid-Lowering and Antihypertensive Treatments
in Addition to Healthy Lifestyles in Primary Prevention



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 健康的なライフスタイルとは  1:禁煙 2:運動 3:体重 4:食事  の4項目です。
HOPE-3研究からデータを集積して、心血管疾患のリスクが中等度の12,521人を対象に、降圧剤としてブロプレス(ARB)+降圧利尿薬。脂質異常症薬としてクレストール(スタチン系)と、対象としてプラセボを服用してもらい、4項目のライフスタイルとの関係を調べました。


纏めますと

1) ライフスタイルの4項目中、2項目以上が健康的な人は、1項目以下の人に比べて心血管疾患の
   リスクは0.85でした。

2) クレストールを服用では、ライフスタイルの4項目中、2項目が健康的な人はリスクが0.74ですが
   1項目以下の人はリスクが0.79でした。

3) ブロプレス+降圧利尿薬での効果は、2項目以上が健康的な人はリスクの軽減が乏しいようですが、
   逆に1項目以下の健康的でない人の方が、リスクは0.78と効果がありました。

4) 当然ながら、ブロプレス+降圧利尿薬とクレストールの併用は効果的で、2項目以上はリスクが
   0.74で、1項目以下では0.61でした。

5) 研究中に4項目すべてが健康的な人は2%しかいませんでした。繰り返し指導する事により改善
   した人が33%だけで、現状維持が44%、残念ながら悪化した人が26%でした。

6) 結果は下記のPDFのグラフをご参照ください。





私見)
 結果を意訳しますと、何よりも健康のため4項目全てに留意することにより、薬剤療法に匹敵する効果が
 あるという事が証明されました。
 陳腐な論文(?)と侮らないでください。医療関係者は教育家と異なります。
 ライフスタイルの改善は、上記の様に大変難しいものです。
 そういう患者さんにこそ、危険因子を推し量って治療するのが腕の見せ所と思いました。





HOPE-3.pdf

hope.pdf

















posted by 斎賀一 at 13:09| Comment(0) | 循環器

2018年08月08日

病原性大腸菌0-157と動物とのふれあい

病原性大腸菌0-157と動物とのふれあい

小児科Vol. 59 No.8 2018 野村由美子氏 .独立行政法人国立病院機構弘前病院小児科



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 病気を起こさない大腸菌と、赤痢菌が結婚したのが病原性大腸菌の0-157です。病原性大腸菌には
背番号がついています(0-1とか0-111とか)。一般的に病原性でも人―人感染はありませんが、
この0-157は人―人感染が起きますし、毒素により血小板減少、貧血、腎不全をきたし、
溶血性尿毒素症候群を引き起こします。
食中毒としては年間4,000例ほど報告があり、2007~2016年の集団発生事例は年間で17~22件が
報告されているそうです。又、2007~2017年までに保育所幼稚園での集団感染例は112件の報告との事です。


雑誌小児科より、某保育所で発生した0-157の報告がありましたので纏めてみました。


 1) 某年6月に2例0-157の事例が某保育施設で発生
    遺伝子検査で同一である事が証明された。

 2) 当該保育施設の立ち入り検査が実施
    その保育施設では保育方針として素足保育、牛糞使用の自家野菜栽培を利用した給食、
    敷地内での牛、ポニー、羊、ヤギ、犬、ウサギ、小鳥の飼育、園児と動物とのふれあいをしていた。
    又、施設内で簡易プールがあったが、十分な衛生対策はとられていなかった。

 3) 検査対象者数は園児65名、職員14名、家族52名の中0-157陽性者は20名
    (園児は13名、職員0名、園児家族7名)。
    施設内飼育動物は羊1頭、山羊2頭から陽性が認められた。

 4) 検証
    牛には糞便以外に口腔内にも0-157は存在し、舐められることで感染する可能性がある
    との事です。動物とのふれあい場所における飲食の禁止、終了後の手洗い、
    手指消毒は必須であるが、今後はふれあう場合の服装(着脱容易な上着等)も考慮する必要が
    あるかもしれないとの事です。
    簡易プールの対策も充分に監督する必要があります。



私見)
 ペットや動物とのふれあいは子供の教育に大事です。
 関係者や保護者が注意してください。
 尚、夏風邪が流行しています。簡易プールや手軽な水遊び場での感染にも注意したいものです。
 (老婆心より)






posted by 斎賀一 at 20:27| Comment(1) | 小児科

2018年08月07日

食物アレルギーとアナフィラキシー

食物アレルギーとアナフィラキシー

宮城県立こども病院アレルギー科
   三浦 克志
  アレルギー67(1),1−7,  2018(平30)



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 食物アレルギーが全身症状のアナフィラキシーに成らないか、又学校でそれが起きた時に適切な対応が出来るか、保護者の方の心配は尽きません。
今回、食物アレルギーに関して良く纏まった論文がありましたのでブログしてみます。


 1) 食物アレルギーを起こすアレルゲンが生体に侵入する経路は問わず、経口、経皮、吸入、粘膜、
    注射、胎盤などが考えられる。

 2) 「アレルゲン等の侵入により複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を
    与え得る過敏反応」をアナフィラキシー、さらには、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を
    伴う場合」をアナフィラキシーショックと定義

 3) 全国の小学校、中学校、高等学校における食物アレルギーは平成16年の割合が2.6%だった
    のが、平成25年には4.5%とこの間に1.7倍と増加していた。アナフィラキシーに至っては、
    平成16年の0.14%から平成25年の0.5%と3.6倍に増加していた。

 4) グレード1(軽症)、グレード2(中等症)、グレード3(重症)に分けられ、
    グレード3には日本小児アレルギー学会の「一般向けのエピペンの適応」の症状が含まれている。
    アドレナリン筋肉注射の適応は、グレード3の症状を認めた場合であるが、
    グレード2の症状でも、@過去に重篤なアナフィラキシーの既往がある場合、
    A症状の進行が激烈な場合、B呼吸器症状で気管支拡張薬の吸入でも改善しない場合、
    はアドレナリンの投与を考慮する。

 5) 症状が一旦改善した後に、再びアナフィラキシー症状が出現する二相性の反応があり、
    多くの場合は初回のアナフィラキシー発症後、72時間以内に発症する。
    最近のsystematic reviewによると、アナフィラキシーの症状を呈した患者の4.6%に
    発症している。

 6) 教育機関での食品摂取に対して、安全性を担保した指導が行われる必要がある。
    このため、家庭で行う必要最小限の除去とは異なり、完全除去か、解除かの二者択一による
    給食提供が推奨されている。



私見)
 以前ですが、ある出版社の担当の方から私のブログに関してクレームがありました。ある書籍を、
まるまる掲載してしまったためです。私は図らずもウッカリ「ブログを見て頂きありがとうございます」と
お礼をしてしまいました。
 私の欠点は反省はするのですが、懲りない点です。
 今回も素晴らしい論文でしたので職員の皆さんに知ってもらいたいとコピペしてしまいました。


下記にエピペンのサイトを掲示します。
 https://www.youtube.com/watch?v=caZv1Zwznis



食物アレルギー.pdf


文部科学省 対応指針.pdf









posted by 斎賀一 at 21:14| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー